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AI時代の「壁」を乗り越えろ。プロダクトマネージャーが直面するカオスと、現場を動かす「仕組み化」のリアル

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AIで誰でも速く作れる時代、プロダクトマネージャーは何で尖るのか──jinjer松山CPOが10年分の「固いデータ」に賭ける理由

ProductZine編集部[著] / 丸毛 透[写]

ソフトウェア開発ライフサイクルを、生成AI中心に作り替える

 松山氏の見立てでは、生成AIの登場によってプロダクトマネジメントとエンジニアリングの境目は徐々になくなりつつある。エンジニアはより上流の工程へ向かい、プロダクトマネージャーは、要件やアイデアのかなりの部分を、実際に動くプロトタイプにして開発チームへ引き渡すようになる。

 「今までであれば、企画を出して、デザインモックという紙芝居をお客様に見ていただいて、これで要件を満たせますかというコミュニケーションでした。今はある程度動くものまで持っていけるようになっています」

 フィードバックをもらう速度が上がると、次の課題は別の場所に移る。企画からフィードバック、開発、リリースまでの流れのどこに摩擦があり、どこがボトルネックになっているのかを特定して一直線に進めることだ。

 「以前とはまったく違う世界になっていて、徐々に人がボトルネックになる世界にもなっています」

 そこで同社は、顧客の声を得てからリリースするまでのソフトウェア開発ライフサイクル全体を、生成AI中心のものへ作り替えている。いくつかのプロダクトはすでにそのラインに乗っているという。

 変わったのは、顧客の声がプロダクトマネージャーに届く経路である。従来はフォームから入った顧客の声を集め、さらにカスタマーサクセスも持ち帰って伝える伝言ゲームだったが、現在は商談の文字起こしデータから抽出し、なるべく早くプロダクトマネージャーの目に入れる。

顧客の声がプロダクトマネージャーに届く経路の変化。伝言の段を飛ばし、動くもので確認する形へ(編集部が取材内容をもとに作成)
顧客の声がプロダクトマネージャーに届く経路の変化。伝言の段を飛ばし、動くもので確認する形へ(編集部が取材内容をもとに作成/クリック・タップで拡大表示)

 組織の形も動く。大きな開発組織に複数のコミュニケーションラインが走る形から、シンプルなラインで少人数・高速に開発する形へ。いわゆるスクワッド型への転換が加速すると松山氏は見る。一方でAI活用の知見を集めるセンターオブエクセレンスやセキュリティは、横串の組織として残るだろうという見立てだ。

 この作り替えを支えるのが、CPO就任時に行った組織の一本化である。松山氏が管掌するプロダクトマネジメント部門には、プロダクトマネージャーとプロダクトマーケティングに加え、そのメッセージを市場に届ける「人事コンサルティングセールス」まで置かれている。就任時に、別部署だったプロダクトマネージャーとプロダクトマーケティングを一つの部門に統合し、それまでなかった人事コンサルティングセールスを新設した。企画からメッセージング、実行までが一部門で回る設計だ。

 狙いはフィードバックループを速く回すことと、管掌下に入れたカスタマーサクセス本部を通じて、プロダクトアウトの戦略にマーケットインの声を混ぜることである。

SaaSの枠を越え、顧客の「業務の完了」まで担う

 優先順位を大胆に変え、既存のプロセスを一から見直すこともできる。松山氏は、それが第二創業期にある同社の特徴だと語る。

 「我々は挑戦者の立場です。HRテックで日本一を取るにはどうするかを逆算すると、場合によってはこれを諦めてこっちを取る、という判断が要ります。今やっているプロセスを全部作り直せる。これは結構、勇気のいることだと思います」

 こうした変革を支える環境の一つとして、松山氏は同社の資本構成を挙げる。株主であるプライベートエクイティのネットワークを通じて、グローバル企業のAI活用の知見に触れられる。単独の事業資金の範囲にとらわれず事業を大きくしていける点も、面白さとして挙げた。

 そして松山氏は、自社の事業の形そのものにも同じ問いを向けた。

 「SaaSという業種に、とらわれてはいけないのかもしれない」

 顧客のアウトカムを、単なる機能提供ではなく「業務が完了すること」と捉えるなら、SaaSという事業の形だけに閉じる必要はない、という意味である。取材の場で、BPOやFDE(フォワードデプロイドエンジニア。顧客の現場に入り込んで実装まで担う役割)のような方向かと確認したところ、松山氏はそれも選択肢の一つだと答えた。プロダクトの範囲を機能ではなく顧客の業務の終わりで定義するなら、届け方の選択肢は変わる。

 求める人材像も、この延長にある。役割の境目が消えていくため、「私の仕事はここだけです」とは言わずにカバレッジを広く持てる人が欲しい、と松山氏は言う。会社がツールを売る会社から成果を追求する会社へ変わるのと同じで、仕事も完了まで責任を持ってやり切ってほしい。管理する人ではなく「なんとかする人」としてのマネージャー像である。

 求められるのは職域を越える姿勢だけではない。HRという複雑なドメインそのものに好奇心を持てることも欠かせない。

 「労働法規に対応するといったところは、業務としても細かいところがあるので、そこに興味がないと、最後はしんどくなってしまうのではないかと思います」

身振りを交えて語る松山雄一郎氏

 冒頭の問いに戻る。AIによって役割が均一化するなかで、どうやって尖るのか。松山氏の答えは2つの組み合わせだった。

 一つは、自分の担当プロダクトの事業責任者として、顧客への価値提供とビジネスとしての成功の両方に責任を持つオーナーシップ。もう一つは、顧客の課題、場合によっては大きな社会課題に対する好奇心と、ドメイン知識を深めていく力である。

 「お客様の課題に対しての好奇心や、ドメイン知識を深めていく力が、プロダクトマネージャーの差別化であり、その方々の存在意義にもつながっていくと思うのです」

 自分が独自に始めたサーベイの延長線上に人事プロダクトを見つけた松山氏自身が、その答えの実例だろう。10年分の固いデータも、好奇心とドメイン知識も、速く作れることでは代替できない。AIが速さを平準化した先に残るのは、そこに何を積み上げてきたかである。

jinjerでは、プロダクトづくりを担う仲間を募集しています

 jinjerでは、本記事で松山氏が語った第二創業期のプロダクトづくりを担うメンバーを募集している。プロダクトマネージャーやプロダクトマーケティングマネージャーなどの募集職種に加えて、社内制度やオフィス環境、メンバーのインタビューといったjinjerのカルチャーについても、下記の各ページで公開されている。

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この記事の著者

ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)

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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:jinjer株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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