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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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ProductZine Day 2026

ProductZine Day 2026

「ProductZine Day 2026」レポート(AD)

「顧客に会っている」のに、なぜ何も見つからないのか──はてな米山氏が示した顧客理解の3段階

【S-2】「顧客に会う」を今こそガチる - AIで価値も速さも妥協しないプロダクトディスカバリーの実践

議事録は長すぎて、人もAIも読みづらい

 第二段階は、聞けたエピソードを、話を聞いた本人以外のメンバーも、AIも使える形に整える段階である。

 はてなのやり方は明快だった。議事録を作らない。

 「議事録だと長すぎるし、AIも読みづらい、人間も読みづらい。なので、もう全部発言に分割してしまいます」

 インタビューを1件の単位ではなく、そこで得られた「発言」の単位で保管する。下敷きにしたのは、質的分析におけるオープンコーディング、すなわち発話を切片に分解する手法だ。「誰がいつ、どんな話をした」を1件ずつ立てていくと、1回のインタビューから100件前後のデータが並ぶ。人力では到底やれないので、自社のプロダクトにやらせる。自社チームのデータ基盤はいまや約20万レコード。BigQueryにMCP(Model Context Protocol)をつなぎ、エージェントに操作させることもあるという。

図3 インタビューを1件単位ではなく発言単位で保管する「1レコード1発言のデータベース」。画面はデモデータ(米山氏の講演資料より)
図3 インタビューを1件単位ではなく発言単位で保管する「1レコード1発言のデータベース」。画面はデモデータ(米山氏の講演資料より)

 もう一つ、米山氏が強調したのがメタデータの設計だ。

 「さすがにこれは未来永劫、絶対にユニバーサル(普遍的)でしょう、腐らないでしょう、というメタデータを付けるようにしています」

 思いつきでカテゴリーを付けると、後になって使えなくなる。煮詰めた結果は5W1Hに近づいた。いつ、誰が、何について、どんな背景で、どんな目的で語られた発言なのか。

図4 発言ごとに付与する「腐らないメタデータ」。煮詰めた結果、5W1Hに近い項目に落ち着いた(米山氏の講演資料より)
図4 発言ごとに付与する「腐らないメタデータ」。煮詰めた結果、5W1Hに近い項目に落ち着いた(米山氏の講演資料より)

 その上に、さらに「発言の分類」を重ねる。試行錯誤の末に落ち着いたのは、リーンキャンバスの項目を下敷きにした形だった。項目は、状況、行動、課題、代替手段、そして自社製品の利用実態の5つ。利用実態はさらに、ポジティブとネガティブに分けて持つ。

図5 リーンキャンバスを下敷きにした発言の分類。発言例は架空のもの(米山氏の講演資料より)
図5 リーンキャンバスを下敷きにした発言の分類。発言例は架空のもの(米山氏の講演資料より)

 そして米山氏は、この分類の付与について1つ付け加えた。

 「ちなみに、これはまだ全部人間がやっています」

整えたデータは「秒で分かる」「空白が見える」「PRDが検証できる」

 こうして整えたデータが大量にあると、欲しいアウトプットを好きな形で、しかも素早く取り出せるようになる。米山氏は取り出し方を3通り示した。

 1つ目は、理解するために使う。顧客の課題は何か、いま考えている機能は誰のどんな行動のなかで使われるべきか。そうした問いに、AIへ議事録を読ませるのではなく、整えたデータベースを発言分類とセグメントで絞り込んで答える。それだけで「秒で分かる」。

 2つ目は、発見するために使う。縦軸に業務プロセスの工程、横軸に発言の分類を置いてマトリクスにすると、課題の偏りや顧客群ごとの違い、そして空白地帯とボトルネックが視覚的に浮かび上がる。

図6 縦軸に業務プロセスの工程、横軸に発言の分類を置いたマトリクス。空白地帯とボトルネックを見つける。データは架空のもの(米山氏の講演資料より)
図6 縦軸に業務プロセスの工程、横軸に発言の分類を置いたマトリクス。空白地帯とボトルネックを見つける。データは架空のもの(米山氏の講演資料より)

 3つ目は、検証に使う。PRD(プロダクト要求仕様書)を書くとき、その機能は本当に受け入れられるのかを、支持する発話と反証する発話の両方を根拠として出力させ、比較する。さらに件数が集まると母数や割合が意味を持ちはじめ、リリース前後の分類別件数の増減という形で、定性データをある種の定量データのように扱えるようになる。

 ここまで来ると、「インタビューをしましたね、よかったですね」で終わらない。顧客の声が、組織の意思決定の基盤に転用される。インタビューの記録を組織の資産として扱うというこの発想は、前掲の記事でも「定性データウェアハウス」として語られている。

 米山氏の話は、しかしここで終わらなかった。

次のページ
顧客理解の最終段階は、「秘密」が発見できている状態

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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)

「プロダクト開発」にフォーカスしたCodeZine内のサブメディアです。プロダクトマネージャーや、プロダクトマネージャーを目指す方をはじめ、チームメンバーや事業責任者、テックリードなど、プロダクト開発を「正しく」進めていきたいすべての人のために、プロダクトマネジメントに関するあらゆる知見をお届けしま...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

関口 達朗(セキグチ タツロウ)

フリーカメラマン 1985年生まれ。東京工芸大学卒業後、2009年に小学館スクウェア写真事業部入社。2011年に朝日新聞出版写真部入社。2014から独立し、政治家やアーティストなどのポートレート、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。2児の父。旧姓結束。趣味アウトドア。

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提供:株式会社はてな

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