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Developers X Summit 2025 セッションレポート

AI時代のエンジニアはどう生きるか? シチズン時計が挑む「エンジニア×〇〇」のロールモデル構築

【session8】「コードを書くだけのエンジニア」で終わらない!事業成長を牽引する次の一手

KPIツリーとEC送客施策——「施策立案から効果検証まで一気通貫」で掴んだグロースの感覚

 グロース施策の入口として黒川氏が取り組んだのは、プロダクトマネージャーのサポートを受けながらKPIツリーを自分なりに作ってみることだった。ビジネス目標として設定された「月間データ転送数」を起点に、それを上げるためにどんな指標や施策が有効かを考えながら分解していく。慣れないビジネス思考を少しずつ体に馴染ませていく作業だった。

月間データ転送数(ビジネス目標)を起点に、利用回数/ID(KPI-1)・一人当たりの機器所持数(KPI-2)・一人当たりの測定回数へと指標を分解し、達成すべき指標を整理した
月間データ転送数(ビジネス目標)を起点に、利用回数/ID(KPI-1)・一人当たりの機器所持数(KPI-2)・一人当たりの測定回数へと指標を分解し、達成すべき指標を整理した

 その中で具体的な施策として取り組んだのが「1人当たりの機器所持数向上」だ。既存ユーザーに対して複数機器の購入を促すため、測定後の画面下部に「体重と血圧の関係を詳しく見る」というボタンを設置し、各機器を購入できるECへの流入経路を増やした。効果検証のため、このボタンのクリック数・クリック率・ユニークユーザー数を計測した。

 施策立案から実装、効果検証まで一気通貫で取り組んだことで「データ分析や施策の立案・効果検証に少しずつ感覚がつかめてきた」と黒川氏は話す。

 一方で課題も率直に語った。ビジネス理解の不足が最も大きく、競合・市場動向の把握、ユーザーがなぜ健康機器を買うかという課題認識のあいまいさ、収益と施策価値を繋げる思考——どれも「エンジニア×データ分析」の入口に立ったばかりであることを示している。

 また、データ取得の開発をして満足してしまい、データの意味を考える意識が薄いという自省もあった。「施策を立てて検証して振り返るサイクルを回さないと判断できない」という認識で、継続的な取り組みを宣言した。

既存ユーザーへの複数機器所持を促すため、Health Scanアプリ内にwebストアへの流入経路を設置。クリック率・ユニークユーザー数を計測して効果検証中
既存ユーザーへの複数機器所持を促すため、Health Scanアプリ内にwebストアへの流入経路を設置。クリック率・ユニークユーザー数を計測して効果検証中

 法務・知財との協働を経てプライバシーポリシーを改定し、KPIツリーを組み立てECへの送客施策を実装・検証した1年。それはコードの外側に自分たちの価値を見出す試行錯誤そのものだった。

 「エンジニア×○○であれば、エンジニアの枠を超えて、より広い領域で価値を発揮できる」——黒川氏はそう言い切った。AIの活用できる分野は任せて、もっと別の領域での知識を増やしていく。社内に事例がないからこそ、「自分たちがロールモデルになってこの生き方を促進したい」という言葉が、この講演の核心だった。

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この記事の著者

近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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