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Developers X Summit 2025 セッションレポート

AI時代のエンジニアはどう生きるか? シチズン時計が挑む「エンジニア×〇〇」のロールモデル構築

【session8】「コードを書くだけのエンジニア」で終わらない!事業成長を牽引する次の一手

 シチズン時計のHealth Scanアプリ開発チームは、シニアエンジニア4名の同時離脱という危機に直面した。しかし、GitHub Copilotエージェントをいち早く導入することで、急落したベロシティを大幅に回復させることに成功する。一方で、黒川菜緒氏をはじめとするチームメンバーに芽生えたのは、「AIにコーディングを任せられる時代に、エンジニアはどう生き残るべきか」という新たな危機感だった。本記事では、黒川氏らが「エンジニア×○○」という問いを立て、法務部との協働やデータ分析・グロース施策への「越境」を通じて見出した、次世代のエンジニアの生存戦略と実践知をお届けする。

ベロシティ急落——シニア4名離脱の危機と、Copilotエージェントによる立て直し

 シチズン時計のHealth Scanアプリは、同社のヘルスケア機器とBluetoothで接続して測定データを記録・管理するスマートフォンアプリだ。2024年にリリースされ、血圧計や体重計など4機種と連携して健康状態の把握と改善をサポートする。2023年度に社内初のスクラムチームとして発足し、シチズン時計・グループ会社・外部ベンダーの3社合同体制で内製化を進めてきた経緯がある。

2024年度後半、開発に長けたメンバーが抜けたことによりジュニアエンジニアの割合が増加
2024年度後半、開発に長けたメンバーが抜けたことによりジュニアエンジニアの割合が増加

 2024年度は8名体制で、うち4名がシニアエンジニアという布陣だったが、後半にその4名全員がチームを離れた。プロジェクト全体を把握し技術的な柱を担うメンバーが一気に抜けた結果、ジュニアの割合が急増。ベロシティの数字にも如実に表れ、70ポイント前後あったものが次のスプリントでは大幅に落ち込む見通しとなり、このままでは機能リリースが止まると、チーム内に危機感が漂い始めた。

生成AIの活用により、平均ベロシティが回復
生成AIの活用により、平均ベロシティが回復

 そのタイミングで打ち手として素早く導入したのが、GitHub Copilotエージェントだ。チームはすでにGitHub Copilotを活用していたが、エージェント機能が登場したタイミングに合わせていち早く試験導入した。

 コーディング作業の推進だけでなく、それまで人間同士でやっていたペアプロ・モブプロをCopilotエージェントとのペアプロに切り替え、プロジェクトの理解深化やエラー解析に活用した。MCPサーバーとの連携を利用してGitHubのPR作成を自動化し、プロダクトバックログからの簡単なタスク実装も任せるようにした。半年ほどの運用でベロシティは50〜60ポイントまで回復した。

シチズン時計株式会社 黒川 菜緒氏
シチズン時計株式会社 黒川 菜緒氏

 しかしチームが安定を取り戻すにつれ、新たな問いが頭をもたげてきた。簡単なコードやテストは生成AIに任せ、エンジニアの作業がコードレビュー中心になりつつある。

 このスピード感が上がり続ければ、設計や動作確認は必要だとしても少人数でチームが回るのではないか。将来的にはPOと優秀なエンジニア1名でチームが機能してしまうかもしれない。「AIに仕事が奪われてしまったら、エンジニアは何をして生きていけばいいんだろう」という問いが、黒川氏の中で具体的な重みを持ち始めた。

次のページ
「エンジニア×法務」——プライバシーポリシー改定という具体的な越境

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この記事の著者

近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

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丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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