AWSのAIエージェント型IDE「Kiro」がさらに進化! PowersとAgent Skillsで技術コンサルの調査・回答業務を効率化
第40回 AWS Kiro:Powers、Agent Skills
本連載では、AWSに関して、なかなか時間がとれず最新のアップデートを追えていない方や、これからAWSを利用したいと考えている方に向けて、AWSから発表される数多あるサービスアップデートのうち、NTTデータのITスペシャリスト達がこれだけは押さえておくべきと厳選した内容を定期的に紹介します。本記事では、AWSが開発したAIエージェント型IDE「Kiro」の最新機能であるPowersとAgent Skillsを取り上げ、技術コンサルタントが顧客から日々受ける「事例ありますか?」「ベストプラクティスは?」といった質問への回答業務を効率化する方法を紹介します。
はじめに
筆者は普段、AWSの技術コンサルタントとして顧客の課題解決を支援しています。その現場で非常によくいただくのが次のような質問です。
- 「クラウドの費用が高い気がするんだけど、何から手をつければいい?」:まだ具体的な問いになっていない相談
- 「〇〇で基幹システムを動かしている事例はありますか? ハマりどころは?」:先行事例と注意点を求める質問
- 「この構成の場合のベストプラクティスは何ですか?」:推奨構成と根拠を求める質問
これらに答えるには、AWS公式ドキュメント、ブログ、AWS規範ガイダンス(Prescriptive Guidance)、Well-Architected Frameworkを横断的に調べ、社内の有識者にも当たって……と、1つの質問に数時間から数日かかることも珍しくありません。回答の品質も担当者の経験に依存しがちです。本記事では、この調査・回答業務をKiroで仕組み化する方法を紹介します。
なお、Kiroを取り上げるのには時事的な理由もあります。2026年4月30日、AWSはAmazon Q DeveloperのIDEプラグイン等のサポートを2027年4月30日で終了すると発表し、移行先としてKiroを案内しました。なお、サポートが終了するのはVS CodeやJetBrainsなどのIDEプラグインや有料サブスクリプションなどであり、マネジメントコンソールやSlack・Microsoft Teams連携といったAmazon Q Developerの機能は引き続き利用できます。あくまでIDEを用いたAI開発体験がKiroへ集約されていくという位置づけのため、その中心となるKiroは早めに押さえておきたいアップデートと言えるでしょう。
Kiroの最新アップデート
Kiroは、AWSが開発した「仕様駆動(spec-driven)」を特徴とするエージェント型IDEです。Kiro自体の概要や仕様駆動開発については第34回で紹介していますので、本記事ではSpec機能には深入りせず、チャットベースの調査・回答ワークフローに焦点を当てます。まず直近半年あまりの主要アップデートを整理します。
| 時期 | アップデート | 概要 |
|---|---|---|
| 2025/12 | Kiro Powers発表 | MCPサーバー・ステアリング・フックを1パッケージにした拡張機構。会話内のキーワードでオンデマンド発火 |
| 2026/2 | Agent SkillsのIDE対応 | SKILL.md(手順・知識のモジュール)をIDEでも利用可能に |
| 2026/2〜 | AWS公式Powerの拡充 | AWS Observability、AWS Transform、AWS SAM、Aurora DSQLなどが順次追加 |
| 2026/4 | Kiro CLI 2.0 | Windows対応、ヘッドレス実行(CI/CD組み込み) |
| 2026/5 | Kiro Web登場、Claude Opus 4.8対応 | ブラウザ版Kiroの提供開始。Opus 4.8は1Mトークンコンテキストに対応。Specsの高速化も実施 |
| 2026/6 | Kiro WebのSpec・GitLab対応 | ブラウザ版でもSpec駆動の開発ワークフローとGitLab連携が利用可能に |
MCP(Model Context Protocol):AIエージェントが外部のツールやデータと連携するための標準プロトコル。ステアリングはエージェントへの常設の指示ファイル、フックはイベントに連動して実行される自動処理です。
本記事で主に使うのはPowersとAgent Skillsです。両者は似ていますが、役割が異なります。
- Powers:MCPサーバー設定・ステアリング・フックを「Power」と呼ばれる単位のパッケージにまとめた拡張機構。キーワードに応じてオンデマンドで発火するため、必要なときだけツールと知識がロードされ、コンテキストを汚しません
- Agent Skills:SKILL.mdに記述した手順や回答の型をエージェントに与えるモジュール。タスクとの関連性で自律的に発火します
本記事では、仕組み・機能の名称を「Powers」、個々のパッケージを「Power」と表記して区別しています。
もう1つの主役が AWS Knowledge MCP Server です。AWSが提供するフルマネージドのリモートMCPサーバーで、最新のAWSドキュメントに加え、ブログ、What's New、アーキテクチャ参照資料、Well-Architectedガイダンスといった公式コンテンツを横断検索できます。なお、AWS Observability Powerなどに同梱される「AWS Documentation MCP Server」はドキュメント検索のみのため、「事例ありますか?」に答えるにはKnowledge MCP Serverが必要です。これを含む公式Powerは執筆時点では存在しないため手動で設定しますが、必要なのはURL1行で、認証も不要です。
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
この記事は参考になりましたか?
- これだけは押さえておきたい! AWSサービス最新アップデート連載記事一覧
-
- AWS「Kiro」の最新アップデート紹介! 新しいビュー「Agent Focus」や要件分...
- AWSのAIエージェント型IDE「Kiro」がさらに進化! PowersとAgent Sk...
- AWS構築をコーディングエージェントから自動化!? Agent Plugins for A...
- この記事の著者
-
奥村 康晃(株式会社NTTデータ)(オクムラ ヤスアキ)
NTTデータ入社以来、クラウドサービスのAPIを連携させることで効率的な管理を可能とするクラウド管理プラットフォームの開発に従事。現在では、クラウド導入の技術コンサルや組織での技術戦略立案にも携わる。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
