AIエージェント向けWebの4要件に対応機能を割り当て
もう一方のコンテンツ側について、同社は人間が見るための「Human Web」とAIエージェントが参照する「Agentic Web」で使われる技術が大きく異なると整理する。見やすいデザインのためのHTMLやCSSのタグはエージェントにとってノイズであり、必要な情報だけを抽出できるマークダウンや構造化データが適する。ログインや機能の利用も、フォーム入力や手動のUI操作ではなくAPIやMCP経由になる。認証は画面ログインやCookie、CAPTCHAから暗号署名と委任アイデンティティへ、決済はクレジットカードの手動入力からHTTP 402によるマイクロペイメントへ移る。人間向けのSEOに対応するのは、エージェント向けのAEO(アンサーエンジン最適化)だ。
同社が挙げるAgentic Webの要件は4つ。読み取り可能なReadable、発見可能なDiscoverable、呼び出し可能なCallable、決済可能なPayableである。前提として、アクセスしてきたエージェントを他のボットと区別して識別できることが土台になるとした。
各要件への対応機能も示された。ReadableはHTMLサイトをマークダウンへ自動変換するMarkdown for Agents。Discoverableは検索インデックスのAI Searchと、主要なAIツールから自サイトがどう見えるかを確認するAEO機能。Callableは今回発表のWebMCPで、ブラウザ内でMCPの機能をリストとして呼び出せる。Payableは使用料の支払いに用いるWalletsと、コンテンツ提供側が支払いを受けるMonetization Gatewayだ。
標準化の取り組みとしては、同社が推進するWeb Bot Auth、AnthropicのMCPに加え、今回PACTを発表した。あるサイトで正しい人間だと識別された情報を、プライバシーに配慮しつつクロスサイトで再利用できるようにする。決済側では、Coinbaseと共同開発したx402がHTTPの402(Payment Required)でマイクロペイメントを処理し、Visaと共同開発したTrusted Agent Protocolが、ボットを認証したうえで購買意図を確認して取引を行う。
行動検証エンジン「Precursor」を発表
ボット識別について同社は、企業のクローラーのような善良なボットから悪性のボットまでを分類し、中で何をしているか分からず許可なくコンテンツを取得する、グレーゾーンのボットもいるとした。これらをカタログとして参照できるBotBaseと、アクセスを制御するBot Managementを提供する。AI Crawl Controlは、クローラーの目的が学習用途か、人の代わりに動くエージェントか、単なる検索かを判別し、用途ごとに制御できるよう拡張された。
Agents Weekの主要な発表のひとつが、行動検証エンジンのPrecursorだ。CAPTCHAや同社のTurnstileなど従来の技術は、最初のアクセス時に一度だけ人かボットかを判定する。そのため、最初の判定を突破されると以降は検知できないという課題があった。
Precursorは、コンテンツの一部に小さなJavaScriptを埋め込み、ユーザー環境の情報をCloudflareへ送信する。収集するのはマウスの軌跡やキーボードの入力リズムといった動きの情報で、入力内容は取得しない。これをセッションの開始から終了まで継続して観測する。ボットは短時間なら人間の操作を真似できるが、セッション全体を通して真似し続けることは難しいという。利用者にパズルなどの操作を求めず、背後で判定できる点を特徴として挙げた。
乙部氏は「Help build a better Internet」という同社のコンセプトを挙げ、エージェンティックインターネットの時代にも、人とエージェントの双方が安全に使える基盤をパートナーとともに構築していく方針を示した。そして次のように呼びかけ、説明を終えた。「ぜひ皆さんも、実際に自分が使っているエージェントに『あなたはAIエージェントとしてどういうインフラが今後必要なのか』『どういうインターネットだとあなたが嬉しいのか』と聞いてみてほしい。今日私が説明したような要素を、エージェントも言ってくるのではないかと思う」(乙部氏)
