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女性エンジニアの働き方のリアル──博報堂テクノロジーズの24名の回答から考えるキャリアの在り方

【Session3】広告会社でエンジニア女子が働くということは #2

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女性エンジニア24名の回答に見る、キャリアについての考え方

 ここからは、博報堂テクノロジーズで働く24人の女性エンジニアの「女性エンジニアのキャリアに関する悩みやアルアル」についてのアンケート結果を基に、小山氏、麻生氏の対談が行われた。

Q1「スキル習得など、技術の勉強をどのようにしてきましたか」。

 アンケート結果では、「OJT」をトップに「独学」、「学校や専門機関」、「外部講師。オンラインコースなど」、「社内研修」という順で続いた。

小山:スキル習得は私もOJTですね。必要に迫られて、という感じでした。

麻生:私も同じ。うちのメンバーにもとりあえずやらせてみる方針です。

小山:当社では資格取得や勉強のために必要な費用を会社が負担してくれるという、PLP(パーソナライズド・ラーニング・プログラム)という制度も用意研修制度を用意しています。私のチームには自分で学んだことを自組織に還元することが好きというメンバーも多く、PLPなどを活用して、自分が学んだことを共有するための研修やワークショップを開催したりしています。

Q2「今のキャリアを選んだきっかけはなんですか」。

今のキャリアを選んだきっかけは何ですか?
今のキャリアを選んだきっかけは何ですか?

 アンケート結果の1位は「偶然。たまたま」。続いて「将来性を感じたから」、「好きだったから」、「収入や安定性」という順で続いた。

麻生:偶然ってどういうことなんですかね。

小山:新卒で配属されて、その領域に進んだという人が多いのでは。私も偶然。たまたまだから。博報堂DYグループに入社後はメディアプランナーとして仕事をはじめ、その後、ダイレクトマーケティングの部署に異動し、大量のデータとマーケティングシステムに触れていたら、いつのまにかテクノロジー人材になっていたという感じです。

麻生:私は新卒で東京・秋葉原にあるSIerに入社。その会社を選んだのは徒歩で通えたため。私の実家は秋葉原の近くにあり、その近くで企業を探すとIT企業しかなかった。就職氷河期だったけど、IT業界だけは採用を増やしていたから。でもこれも偶然、たまたまだったってことですよね(笑)。

Q3「仕事をする上でのモチベーションは何ですか」。

 アンケートでは、1位は「自己成長」、2位は「経済的安定」、3位は「新しい技術や経験との出会い」、4位が「社会貢献」という結果に。

小山:麻生さんの部署では、社会貢献を意識している人が多いのでは。

麻生:確かに中途採用の面接をしていると、社会の役に立ちたい、そういうシステムを作りたいと言う人が多いですね。若いメンバーは自己成長をモチベーションとする人も多いです。

小山:私も若い頃は自己成長がモチベーションでしたね。

麻生:年齢と共に、モチベーションは変わるよね。自己成長がモチベーションだったのは30歳ぐらいまで。11年前に博報堂に入る時は、これまでは自己成長のために仕事をしてきたが、会社の成長のために仕事をしたくなったと自己PRに書きました。

小山:今は若い子たちの成長をみるのが嬉しいです。母としては(笑)。

Q4「出世について、どうお考えですか」。

 一番多かった回答が「状況による」。

麻生:出世って何だろう。社長になること? どこまで昇進するのが出世なのか……。

小山:出世についてここに来るまで考えたことなかったなと思って。目の前のことを必死にやっていたら、いつのまにか昇進して、だんだん裁量が大きくなり、やれることも増えて楽しくなるからまた必死にやるという循環なんですよね。

麻生:やりたいことも一杯ある一方で、雑務が増え、もどかしい思いになることも。特に最近はやれる範囲も増えているはずなのに、手回らない状況になっています。なので、必ずしも出世するのが正解ということではないかもしれません。

小山:皆さんもよくお考えになってください。

Q5「職場で泣いたこと、ありますか」。

 アンケート結果は「はい」が63%。

小山:麻生さんは泣いたことありますか?

麻生:仕事が原因で泣いたことは多分、ないですね。

小山:私は1年目の頃、悔しくてよく泣いていました。思ったようにできないもどかしさや、それを注意されるのも悔しかった。でも仕事の涙は仕事で乗り切るしかありませんからね。

 泣いているとき、上司からこんな言葉で慰められました。「仕事は所詮、仕事だよ」って。泣いた理由をみると、「いろいろと重なって自分のキャパの限界に達したから」「プロジェクトで想定外の事象が発生して絶望で泣きました」など、アンケートではさまざまな泣いた理由が挙がっていますが、仕事は所詮仕事なので、思い詰め過ぎないでとお伝えしたいと思います。

Q6&7「これからもテック人材としてキャリアを積んでいきたいですか」、「この先、挑戦していきたいことは」。

この先、挑戦していきたいことは?
この先、挑戦していきたいことは?

 多くの人が「当分の間は続けたい」と回答。またこの先挑戦したいこととして、「新しいスキルの習得」を挙げる人が多かった。

小山:すばらしい回答ですね。

麻生:未来への希望がたくさん詰まっていると感じました。

 ここで小山氏、麻生氏のチャレンジしていきたいことについて、セッションの進行に携わっていた人事の方から質問が投げかけられた。

小山:今、45歳なので、今みたいな働き方ができるのはあと15年ぐらい。いま仕掛かっている領域をしっかりビジネスとして形にするには、余裕のある時間とは言えません。しっかりと計画を立てて取り組み、若いメンバーと共に成長していければいいなと思いました。

麻生:私たちが作っているSaaSのプラットフォーム「XT.H(クロステックエイチ)」を、グループ内だけではなくグループ外でも存在価値を出し得るプロダクトにしていきたいと思っています。それと共に、そのプロダクトを支える人材も育てていきたいですね。私は自称29歳なので、まだまだいけます。

Q8「仕事とプライベートの両立はできていますか。両立のコツがあれば教えてください」。

 アンケートでは「まあまあ出来ている」という回答が一番多かった。

小山:結構、みなさんできていますね。

麻生:小山さんはできていますか。

小山:毎日、楽しめているので、両立ができているんだと思います。

麻生:仕事でやりたいことが多すぎて、プライベートに時間を使っている場合じゃない。だから両立しようともしていません(笑)。

 麻生氏のこの回答に小山氏は「お後がよろしいようで」と語り、セッションを締めた。

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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