SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Women Developers Summit 2024 セッションレポート(AD)

女性エンジニアの働き方のリアル──博報堂テクノロジーズの24名の回答から考えるキャリアの在り方

【Session3】広告会社でエンジニア女子が働くということは #2

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 博報堂DYグループのテクノロジー戦略会社として、2022年4月に設立された博報堂テクノロジーズ。同社では多くの女性エンジニアが活躍している。同社エンジニアはどんなプロダクト開発に携わっているのか。進化の激しいテクノロジーにどうやって追随していくのか、というエンジニアならではのスキルアップの方法、さらには女性エンジニアならではのキャリアに関する悩みなどについて、組織開発や人材育成をする2人のテクノロジー管理職が自身の経験とアンケート結果を基に対談形式で紹介した。

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

メディアのDXを推進する「AaaS」とは

 博報堂テクノロジーズは博報堂DYグループがよりテクノロジードリブンな企業体へと進化するため、2022年4月に発足、8月より営業開始した同グループのテクノロジー戦略会社である。博報堂DYグループ各社に点在していたテクノロジー領域の業務を行っていた部署や子会社が集結しているため、さまざまな専門性を持った社員が同社に参画。「2年弱で100人以上の中途採用の社員が入社し、現在400人規模の会社になった」と博報堂テクノロジーズ メディアDXセンターBIソリューション開発部部長の小山裕香氏は説明する。

 博報堂テクノロジーズのミッションは「マーケティング×テクノロジーによって社会と生活者に新しい価値・体験を提供する」。これを基に、テクノロジーを活用し、多種多様な方法で社会実装の追求を目指している。

 小山氏が所属するメディアDXセンターは、博報堂DYグループのメディアDXを推進するAdvertising as a Service(以下、AaaS)戦略の開発領域を担当する。グループ唯一の開発組織であり、AaaSによるメディアビジネスの次世代化のリードを担っている。

 AaaSとは広告メディアの次世代モデル。システムを基盤とした統合メディア運用サービスを提供することで、広告メディア活動をテクノロジーによって効率化し、メディア投資効果を最大化することで、広告主の事業成長に貢献するというサービスだ。

AaaSの仕組み
メディアDXセンター

 そんなメディアDXセンターで、小山氏は2つの領域のマネジメントを務めている。一つはBIソリューション開発部。BIソリューション開発部は、クライアントのマーケティング要件ごとにカスタマイズしたダッシュボード構築・活用のコンサルテーションと開発・運用を行う。「若手中心の30人強のチーム。半数を女性が占めています」(小山氏)

 もう一つがユーザーサポート部。AaaSソリューションの問い合わせサポート及びシステム全般を担当するチームで、ニアショアのビジネスパートナーを含め、多様な出自のメンバーで構成されている。「こちらの部署も女性比率が高く、細やかでホスピタリティの高いオペレーションDXを実現しています」(小山氏)

社会課題を解決するSaaSプロダクト群を開発

 小山氏と共に今回のセッションに登壇したのが、マーケティングDXセンタープロデュース2部 部長の麻生亜耶氏。麻生氏が所属するマーケティングDXセンターは、生活者インターフェース市場における新たな価値創造に取り組むセンター。「インターネットの普及、一人1台以上のデバイスの所有など、生活者のライフスタイルは変わってきています。このように産業や社会の仕組みが変わり、生活者と企業の接点が増えることで、そこに新しい市場が生まれる。博報堂テクノロジーズではこの新しい市場を生活者インターフェース市場と名付けました。マーケティングDXセンターは、この市場で価値を生み出していくことに取り組んでいます」(麻生氏)

 マーケティングDXセンターは4部で構成されており、麻生氏が担当するプロデュース2部は、社会課題を解決するためのSaaSプロダクトを開発している。具体的には地域の移動課題を解決するために住民同士が支え合うMaaS「ノッカル」、マイナンバーカードを活用したポイントソリューション「LoCoPi(ロコピ)」、健康に関する行動変容を促す健康経営支援プログラム「健診戦」などが挙げられる。

4部署から成るマーケティングDXセンター
プロデュース2部XT.H開発チームが手掛けるプロダクト群

 プロデュース2部XT.H開発チームも、先の小山氏のチーム同様、30歳前後の若手開発エンジニア、デザイナー、QA、PMO、プロダクト企画というメンバーで構成されており、8割以上が女性で占められているという。「1年前に登壇したときは、9割が女性だったのですが、1年間で若干、女性比率が下がってしまいました」と麻生氏は言うが、女性比率の高さは変わらない。

女性エンジニア24名の回答に見る、キャリアについての考え方

 ここからは、博報堂テクノロジーズで働く24人の女性エンジニアの「女性エンジニアのキャリアに関する悩みやアルアル」についてのアンケート結果を基に、小山氏、麻生氏の対談が行われた。

Q1「スキル習得など、技術の勉強をどのようにしてきましたか」。

 アンケート結果では、「OJT」をトップに「独学」、「学校や専門機関」、「外部講師。オンラインコースなど」、「社内研修」という順で続いた。

小山:スキル習得は私もOJTですね。必要に迫られて、という感じでした。

麻生:私も同じ。うちのメンバーにもとりあえずやらせてみる方針です。

小山:当社では資格取得や勉強のために必要な費用を会社が負担してくれるという、PLP(パーソナライズド・ラーニング・プログラム)という制度も用意研修制度を用意しています。私のチームには自分で学んだことを自組織に還元することが好きというメンバーも多く、PLPなどを活用して、自分が学んだことを共有するための研修やワークショップを開催したりしています。

Q2「今のキャリアを選んだきっかけはなんですか」。

今のキャリアを選んだきっかけは何ですか?
今のキャリアを選んだきっかけは何ですか?

 アンケート結果の1位は「偶然。たまたま」。続いて「将来性を感じたから」、「好きだったから」、「収入や安定性」という順で続いた。

麻生:偶然ってどういうことなんですかね。

小山:新卒で配属されて、その領域に進んだという人が多いのでは。私も偶然。たまたまだから。博報堂DYグループに入社後はメディアプランナーとして仕事をはじめ、その後、ダイレクトマーケティングの部署に異動し、大量のデータとマーケティングシステムに触れていたら、いつのまにかテクノロジー人材になっていたという感じです。

麻生:私は新卒で東京・秋葉原にあるSIerに入社。その会社を選んだのは徒歩で通えたため。私の実家は秋葉原の近くにあり、その近くで企業を探すとIT企業しかなかった。就職氷河期だったけど、IT業界だけは採用を増やしていたから。でもこれも偶然、たまたまだったってことですよね(笑)。

Q3「仕事をする上でのモチベーションは何ですか」。

 アンケートでは、1位は「自己成長」、2位は「経済的安定」、3位は「新しい技術や経験との出会い」、4位が「社会貢献」という結果に。

小山:麻生さんの部署では、社会貢献を意識している人が多いのでは。

麻生:確かに中途採用の面接をしていると、社会の役に立ちたい、そういうシステムを作りたいと言う人が多いですね。若いメンバーは自己成長をモチベーションとする人も多いです。

小山:私も若い頃は自己成長がモチベーションでしたね。

麻生:年齢と共に、モチベーションは変わるよね。自己成長がモチベーションだったのは30歳ぐらいまで。11年前に博報堂に入る時は、これまでは自己成長のために仕事をしてきたが、会社の成長のために仕事をしたくなったと自己PRに書きました。

小山:今は若い子たちの成長をみるのが嬉しいです。母としては(笑)。

Q4「出世について、どうお考えですか」。

 一番多かった回答が「状況による」。

麻生:出世って何だろう。社長になること? どこまで昇進するのが出世なのか……。

小山:出世についてここに来るまで考えたことなかったなと思って。目の前のことを必死にやっていたら、いつのまにか昇進して、だんだん裁量が大きくなり、やれることも増えて楽しくなるからまた必死にやるという循環なんですよね。

麻生:やりたいことも一杯ある一方で、雑務が増え、もどかしい思いになることも。特に最近はやれる範囲も増えているはずなのに、手回らない状況になっています。なので、必ずしも出世するのが正解ということではないかもしれません。

小山:皆さんもよくお考えになってください。

Q5「職場で泣いたこと、ありますか」。

 アンケート結果は「はい」が63%。

小山:麻生さんは泣いたことありますか?

麻生:仕事が原因で泣いたことは多分、ないですね。

小山:私は1年目の頃、悔しくてよく泣いていました。思ったようにできないもどかしさや、それを注意されるのも悔しかった。でも仕事の涙は仕事で乗り切るしかありませんからね。

 泣いているとき、上司からこんな言葉で慰められました。「仕事は所詮、仕事だよ」って。泣いた理由をみると、「いろいろと重なって自分のキャパの限界に達したから」「プロジェクトで想定外の事象が発生して絶望で泣きました」など、アンケートではさまざまな泣いた理由が挙がっていますが、仕事は所詮仕事なので、思い詰め過ぎないでとお伝えしたいと思います。

Q6&7「これからもテック人材としてキャリアを積んでいきたいですか」、「この先、挑戦していきたいことは」。

この先、挑戦していきたいことは?
この先、挑戦していきたいことは?

 多くの人が「当分の間は続けたい」と回答。またこの先挑戦したいこととして、「新しいスキルの習得」を挙げる人が多かった。

小山:すばらしい回答ですね。

麻生:未来への希望がたくさん詰まっていると感じました。

 ここで小山氏、麻生氏のチャレンジしていきたいことについて、セッションの進行に携わっていた人事の方から質問が投げかけられた。

小山:今、45歳なので、今みたいな働き方ができるのはあと15年ぐらい。いま仕掛かっている領域をしっかりビジネスとして形にするには、余裕のある時間とは言えません。しっかりと計画を立てて取り組み、若いメンバーと共に成長していければいいなと思いました。

麻生:私たちが作っているSaaSのプラットフォーム「XT.H(クロステックエイチ)」を、グループ内だけではなくグループ外でも存在価値を出し得るプロダクトにしていきたいと思っています。それと共に、そのプロダクトを支える人材も育てていきたいですね。私は自称29歳なので、まだまだいけます。

Q8「仕事とプライベートの両立はできていますか。両立のコツがあれば教えてください」。

 アンケートでは「まあまあ出来ている」という回答が一番多かった。

小山:結構、みなさんできていますね。

麻生:小山さんはできていますか。

小山:毎日、楽しめているので、両立ができているんだと思います。

麻生:仕事でやりたいことが多すぎて、プライベートに時間を使っている場合じゃない。だから両立しようともしていません(笑)。

 麻生氏のこの回答に小山氏は「お後がよろしいようで」と語り、セッションを締めた。

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

提供:株式会社博報堂テクノロジーズ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/20563 2025/01/27 12:00

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング