メディアのDXを推進する「AaaS」とは
博報堂テクノロジーズは博報堂DYグループがよりテクノロジードリブンな企業体へと進化するため、2022年4月に発足、8月より営業開始した同グループのテクノロジー戦略会社である。博報堂DYグループ各社に点在していたテクノロジー領域の業務を行っていた部署や子会社が集結しているため、さまざまな専門性を持った社員が同社に参画。「2年弱で100人以上の中途採用の社員が入社し、現在400人規模の会社になった」と博報堂テクノロジーズ メディアDXセンターBIソリューション開発部部長の小山裕香氏は説明する。
博報堂テクノロジーズのミッションは「マーケティング×テクノロジーによって社会と生活者に新しい価値・体験を提供する」。これを基に、テクノロジーを活用し、多種多様な方法で社会実装の追求を目指している。
小山氏が所属するメディアDXセンターは、博報堂DYグループのメディアDXを推進するAdvertising as a Service(以下、AaaS)戦略の開発領域を担当する。グループ唯一の開発組織であり、AaaSによるメディアビジネスの次世代化のリードを担っている。
AaaSとは広告メディアの次世代モデル。システムを基盤とした統合メディア運用サービスを提供することで、広告メディア活動をテクノロジーによって効率化し、メディア投資効果を最大化することで、広告主の事業成長に貢献するというサービスだ。
そんなメディアDXセンターで、小山氏は2つの領域のマネジメントを務めている。一つはBIソリューション開発部。BIソリューション開発部は、クライアントのマーケティング要件ごとにカスタマイズしたダッシュボード構築・活用のコンサルテーションと開発・運用を行う。「若手中心の30人強のチーム。半数を女性が占めています」(小山氏)
もう一つがユーザーサポート部。AaaSソリューションの問い合わせサポート及びシステム全般を担当するチームで、ニアショアのビジネスパートナーを含め、多様な出自のメンバーで構成されている。「こちらの部署も女性比率が高く、細やかでホスピタリティの高いオペレーションDXを実現しています」(小山氏)
社会課題を解決するSaaSプロダクト群を開発
小山氏と共に今回のセッションに登壇したのが、マーケティングDXセンタープロデュース2部 部長の麻生亜耶氏。麻生氏が所属するマーケティングDXセンターは、生活者インターフェース市場における新たな価値創造に取り組むセンター。「インターネットの普及、一人1台以上のデバイスの所有など、生活者のライフスタイルは変わってきています。このように産業や社会の仕組みが変わり、生活者と企業の接点が増えることで、そこに新しい市場が生まれる。博報堂テクノロジーズではこの新しい市場を生活者インターフェース市場と名付けました。マーケティングDXセンターは、この市場で価値を生み出していくことに取り組んでいます」(麻生氏)
マーケティングDXセンターは4部で構成されており、麻生氏が担当するプロデュース2部は、社会課題を解決するためのSaaSプロダクトを開発している。具体的には地域の移動課題を解決するために住民同士が支え合うMaaS「ノッカル」、マイナンバーカードを活用したポイントソリューション「LoCoPi(ロコピ)」、健康に関する行動変容を促す健康経営支援プログラム「健診戦」などが挙げられる。
プロデュース2部XT.H開発チームも、先の小山氏のチーム同様、30歳前後の若手開発エンジニア、デザイナー、QA、PMO、プロダクト企画というメンバーで構成されており、8割以上が女性で占められているという。「1年前に登壇したときは、9割が女性だったのですが、1年間で若干、女性比率が下がってしまいました」と麻生氏は言うが、女性比率の高さは変わらない。