「散歩しながらエージェントを起動」──新機能が変える開発スタイル
2026年6月10日、東京で開催されたAnthropicのイベント「Code with Claude Tokyo」。「香港出身の私にとって、こうして故郷に近い場所に来られるとほっとします」と語ったのは、Member of Technical StaffのCharmaine Lee氏だ。以前の職場では1四半期かけて作った機能の説明に45分を費やすこともあったが、今は「機能のリリースが非常に速く、お見せしたいことがたくさんある」とこう切り出した。
セッションの本題は、Claude Codeの新機能を「開発者体験(Developer Experience)」と「自律性(Autonomy)」という二つの柱で整理することだ。「Claudeが長時間タスクを自律的に処理できるようになっても、人間の体験に深く投資し続けなければならない。最高のツールとは、使っていて本当に楽しいものだ」──Lee氏はそう強調し、最初の機能、リモートコントロールの紹介へと進んだ。
チームでよく語られるという「あるある」から話は始まった。「長時間のセッションを開始して一時的に席を離れると、まるで親が子どもを置き去りにするような罪悪感を覚える」。リモートコントロールはその感覚を解消するための機能だ。自分のマシンで開始したセッションを、スマートフォンやブラウザからそのまま引き継ぐことができる。Lee氏が実際にやっているのは、タスクを起動してから散歩に出かけ、歩きながらアイデアが浮かぶたびにエージェントを立ち上げていくスタイルだという。「昨日も夕食の前にタスクを起動して、ピザを待ちながらスマホで進捗を確認しました」と実体験を交えて紹介した。
デモでは/remoteコマンドを実行すると、ローカルのCLIで動いていたセッションが即座にウェブ上にも接続される様子が示された。QRコードを読み込めばモバイルアプリからも操作でき、2つのセッションが完全に連動していることが確認できた。
続いてLee氏が取り上げたのが、ペインポイントであったターミナルのちらつき問題だ。「手を挙げてもらうまでもない」と前置きしながら、原因を説明した。従来のレンダリング方式はターミナルのスクロールバックに追記する形だったため、わずかなずれでも全体の再描画が発生してちらつきが生じていた。新しい方式ではスクロールバック全体を仮想化したことで、ちらつきのない出力を実現。長時間のセッションでもメモリ使用量が一定に保たれ、差分(diff)のインライン表示やファイルパスの直接クリックといった操作が端末内で完結するようになった。さらに/voiceコマンドによる音声入力も実演された。スペースキーを押すだけで録音が開始され、自然な言葉でClaudeに指示を伝えることができる。
10セッションを管理するとき、何が変わるか
新しいレンダリングとボイス入力の紹介を終えたLee氏は、次の大きなテーマへと移行した。チームの中にはターミナル派もいるが、Claude Codeのデスクトップ版やウェブ版に移行するメンバーも増えているという。そこでAnthropicが問い直したのは「1つではなく10のセッションを管理したいとき、何が変わるか」という問いだった。この問いへの答えが、Claude Codeデスクトップの大規模な再設計として実現している。
