ゴールデンパスの適用先が見つからない……「Wiz Base」の正式リリースが転機に
こうして形にしたゴールデンパスだったが、肝心の適用先が見つからないという事態に陥る。GitHubで公開されているOSSの参考実装「ICASU」を土台に現場の課題を取り込みながら整備を進めたものの、適用してくれる案件がないまま時間が過ぎていった。仲間は3人から5人に増えたが、使われない状況が続くとモチベーションの維持は簡単ではない。それでもチームは定期的に「まずはここまでやったよね」と互いの成果を称え合いながら、届けるための次の一手を探り続けた。
転機になったのは、AIエージェントを動かすための社内共通プラットフォーム「みずほWiz Base」(以下、Wiz Base)の正式リリースだった。Wiz Baseは閉域や統制によって厳しく安全に作る仕組みが求められており、その開発標準としてゴールデンパスの適用先が初めて見えた。松尾氏らは作り切っていたゴールデンパスをWiz Base向けに調整し、導入を提案していく。
具体的には、どの案件でも使える汎用的な構成として、Amazon ECSのコンテナベース標準構成をIaC(Infrastructure as Code)のテンプレートとして用意し、ECSとAuroraを中心に標準化した。閉域環境では選択肢が限られ、既存案件もいずれリアーキテクチャされるという前提のもとでの設計だ。ただし、実案件に適用してみると、S3バケットによるオブジェクトストレージやキャッシュ用DBなど、想定していなかった要素が次々と見つかった。松尾氏は「汎用設計はあくまで仮説であり、実案件に適用して初めて現場に沿っているかが分かる」と、実案件を通じたフィードバックの重要性を振り返る。
