月間70億件超のコミットを、GitHubは新しいGitアーキテクチャで支える──Copilot Fusionなど新機能も発表【GitHub Universe 2026】
「GitHub Universe 2026」Opening Keynoteレポート
2026年10月28日(現地時間)、米サンフランシスコで年次イベント「GitHub Universe 2026」が開幕した。Day1の基調講演でGitHubは、複数のモデルを自動で使い分ける「Copilot Fusion」や、複数のリポジトリにまたがる作業を任せる「Copilot Projects」といった新機能、GitHub EnterpriseでのCopilot全機能の提供、そしてエージェントの大量の書き込みに耐える新しいGitアーキテクチャを示した。ステージのデモと発言を追いながら、GitHubが描く「エージェント時代のソフトウェアデリバリー」の全体像を報告する。
開発者は2億2,500万人超に、活動量を押し上げるのはエージェント
「昨年ここに来たとき、2026年は、開発者とエージェントがGitHubで仕事を始める年になると話した。そして、まさにそうなった」。基調講演の冒頭、GitHubとMicrosoftのCoreAI部門を率いるJay Parikh氏はそう切り出した。
GitHubの開発者は2億2,500万人を超え、昨年は毎秒1人のペースで新しい開発者が加わった。GitHubが毎年公表している開発者動向のレポート「Octoverse 2026」(対象期間は2025年10月1日から2026年9月30日)によると、この1年でコードのプッシュは179億回、コミットは343億件、プルリクエストは13億件に達している。オープンソースと公開リポジトリは5億6,600万件で、前年から30%以上増えた。続いて示された月間の推移のグラフでは、マージされたプルリクエストが2.2億件、コミットが73.8億件、新規リポジトリが3,030万件と、いずれも直近で急角度に伸びている。「この成長率は、きわめて珍しい。正直、少し怖いほどだ」とParikh氏は語った。
開発者の仕事は、手でコードを書く時代からAIに支援される時代を経て、いまや数十、ときには数百のエージェントを管理する時代に移った。「SDLC(ソフトウェア開発ライフサイクル)は、もう直線的ではない。むしろ、崩れつつある」とParikh氏は言う。作業のきっかけは同僚の依頼や本番環境での出来事になり、実装と検証の大部分をエージェントが担う。
応えるべきものとして挙げたのは、速度、知能、品質の3つである。アイデアから本番まで速く効率的に進むこと、プラットフォーム全体の文脈と継続的な学習で仕事の完成度を高めること、速度を上げても水準を保ち、問題を出荷前に見つけることだ。基本部品(プリミティブ)は公開し、DatadogやFigmaなどのツールともつなげられるという。
同日に示された新発表は、複数のモデルを自動で使い分ける「Copilot Fusion」、複数のリポジトリにまたがる作業を任せる「Copilot Projects」、指示ファイルを見直す「Copilot Dreaming」、リポジトリ内で動くAIワークフローの「Copilot Automations」、最も深くレビューする「Copilot Code Review Max」、プルリクエストをマージまで運ぶ「Agent Merge」である。あわせて、GitHub Enterpriseの契約形態と、新しいGitアーキテクチャ(GitHub上でGitのリクエストを処理し、コードを保存する仕組みの作り直し)も明らかにした。
モデル選びはFusionに、古びた指示の見直しはDreamingに任せる
Parikh氏に呼ばれ、Copilotアプリの新機能を実演するために壇上に上がったのは、GitHubのCassidy Williams氏である。題材は、コーヒーショップのチェーン向けアプリに「コーヒーパスポート」機能を足す作業だ。Issueに並ぶ未決事項を同僚に確認した答えを、セッションに取り込む場面で使われたのが「コネクタ」である。Copilotアプリなどの画面に置ける管理型のサービスで、Slack、Work IQ、Vercel、Netlify、Sentryなどにつながり、1か所で認証すればすべてで使える。
「複数のアプリを行き来して、コンテキストを切り替えなくて済むのは、本当にうれしい。思い込みで判断しなくても済む。正しい情報が、ここにある」とWilliams氏は言う。
実装に入る前、「どのモデルを選べばいいのだろう」とWilliams氏が投げかけると、Parikh氏が「Copilot Fusion」を紹介した。「複数のモデルを調整して、最先端の開発成果をより低いコストで届ける。タスクに何が必要かを判断し、最適な実行パターンを選ぶ」。パターンは、single、cascade、critiqueの3つである。Artificial Analysis Coding Agent Indexで、Fusion MaxはOpus 5.5 Maxから2ポイント以内のスコアで、タスクあたりのコストは半分、時間は40%短い。講演の後半で、Parikh氏はぜひ試してほしいとして、11月末までFusionの利用を30%割引にすると告げた。
実装を終えると、エージェントがアプリを動かして新機能をテストしはじめた。画面はブラウザに見える。「これは、ブラウザに見えるが、ブラウザではない」とWilliams氏は言う。正体はキャンバスで、エージェントと利用者が同じ作業画面を共有する仕組みだ。ターミナルや、利用者が作れるカスタムのキャンバスもある。
このアプリは、JavaからSvelteKitに書き直したばかりで、エージェントへの指示は更新されていない。そこで使われたのが「Copilot Dreaming」だ。Parikh氏によると、カスタム指示は「3週間くらいは、うまく働く。ところが、コードベースが先に進み、より賢いモデルが登場して、指示は、役に立つより害になりはじめる」。Dreamingは、さかのぼって指示とメモリを見直し、常に利用者の好みを反映させる。Williams氏の画面には、指示ファイルを整理するプルリクエストが開かれていた。「これからこのタスクを引き継ぐエージェントは、私たちの決定やコードベースに合った、最新のガイダンスを使える」。
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近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)
株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...
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