月間70億件超のコミットを、GitHubは新しいGitアーキテクチャで支える──Copilot Fusionなど新機能も発表【GitHub Universe 2026】
「GitHub Universe 2026」Opening Keynoteレポート
月間70億件超のコミットで、最も活発なリポジトリは上限に近づく
講演の後半、Parikh氏はこれらの機能を支えるインフラの話に移った。「今年、私たちは、性能と信頼性で苦労した時期があった。その多くは、先ほどご覧いただいた規模の成長によるものだ。それは、言い訳のつもりではない。私たちは、もっとよくするし、しなければならない」。今年これまでに追加した容量は、CPUコアが400万、高速ストレージが160PB(ペタバイト)、ネットワークが毎秒50テラビット。Azureでのマルチリージョン展開への移行は、来年の初めに完了する見込みだ。
ただし、容量を足すだけでは足りないという。GitHubがGitのリクエストを処理し、コードを保存している基盤の新アーキテクチャを説明するため、April Leonard氏がステージに立った。
Leonard氏は、1人の開発者が動かすエージェントの艦隊を、すべての開発者、すべてのリポジトリに広げてみてほしいと語った。すべてのセッションがブランチを作り、履歴を読み、変更をプッシュし、その活動のすべてがGitに集まる。9月だけで、開発者とエージェントが行ったコミットは70億件を超えた。大半のリポジトリは現在の上限に余裕があるが、最も活発なリポジトリは上限に近づいている。
ロックの範囲とコードの置き場所を変え、毎秒7,200回の書き込みへ
最初に取り除いたのは、目の前のボトルネックである。GitHubはこの1年でほぼすべてのリポジトリをAzureに移したが、最も活発な約100のリポジトリでは、データセンター間の25ミリ秒でさえ影響した。そこで、書き込みのたびにリポジトリ全体をロックする方式をやめ、更新される参照(ブランチ)だけをロックするようにした。別々のブランチで動くエージェントが並行して書けるようになり、書き込みのスループットは3〜4倍になった。
ただ、Leonard氏は「これで上限は上がった。だが、私たちは、天井をなくすことを目指した」と言う。Azureのストレージチームと設計した新しいアーキテクチャの指針は、プリミティブを単純にする、ストレージとコンピュートを分離する、調整を最小限にする、の3つだ。コードは、Azure Blob Storageに耐久性のある正本として置く。Gitのリクエストに応えるサーバーは、速度のためにデータをキャッシュするだけの一時的な存在なので、需要に応じて増やせる。重要な経路に残るのは、小さな参照のトランザクションだけで、速度に最適化された専用の複製ログサービスが扱う。
古いアーキテクチャは、1つのリポジトリで毎秒数十回のプッシュで頭打ちだった。新しい設計は、数千回を目標にする。テストでは、5,000のエージェントを1つのモノレポに向けて動かし、毎秒7,200回の書き込みを持続させた。現在のスループットの約180倍で、読み取りでも、新しいアーキテクチャより先に、負荷テスト用のハーネスが限界に達した。
Parikh氏は、GitHubで最も活発なオープンソースのリポジトリの、24時間分のトラフィックを1分に圧縮して流しても、「新しいスタックは、壊れなかった」と補った。すべてのリポジトリは、来年の初めまでに新しいアーキテクチャへ移る。AIゲートウェイは数兆規模のトークンを処理し、GitHub Actionsは毎月数十億分を扱う。旧データセンターとAzureの間の帯域は4倍になった。
講演の最後に、Parikh氏は開発者に向けて語った。ソフトウェアの作り方は変わりつつあるが、開発者はこれまで以上に大切な存在だ。「作ることの最も難しい部分は、コードを書くことだけだったことは、一度もない。問題を理解し、よりよいものを思い描き、それを現実の世界で動かす力と意欲を持つことだ」。これまでに書かれたすべてのソフトウェアは、これから5年間に人間とエージェントが作るもののわずか1%になるかもしれない、とも述べ、こう締めくくった。「目標は、ソフトウェアを増やすことではない。ソフトウェアが世界に与える影響だ。みなさんが何を作るのか、楽しみにしている」。
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- この記事の著者
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近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)
株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...
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