プロスポーツクラブの運営業務は、試合ごとの目まぐるしい展開も相まって、アナログで属人的な作業に頼らざるを得ない領域が多く存在している。特に試合ごとに撮影される膨大な公式写真の選定は、広報担当者の経験に依存するうえに多大な時間を消費する大きな課題となっていた。こうした現場の課題を解決すべく、Jリーグ・FC東京の親会社であるMIXIはAWSと連携し、AIを用いた「写真選定システム」を開発。広報業務の大幅な効率化を実現したという。本記事では、このシステムが誕生した背景や使用している技術選定などについて、同社の數藤(すどう)智幸氏と餌取(えとり)瑞紀氏に詳しく話を伺った。
大量の写真を毎試合選定──DXで業務負荷の軽減と属人化の解消を目指す
──まずはお2人の自己紹介と、日ごろ担当されている業務について教えてください。
數藤智幸氏(以下、數藤):私はライブエクスペリエンス事業本部 企画推進部のエンジニアリング支援グループでマネージャーを務めています。ライブエクスペリエンス事業本部はFC東京や千葉ジェッツといったプロスポーツクラブの事業を担当している組織で、その中のエンジニアリング支援グループはエンジニアリングに関する領域を横断して支援する役割を担っています。主に、サッカーチームのFC東京やバスケットボールチームの千葉ジェッツの公式アプリやWebサイトをはじめとしたシステムの開発・運用が中心です。私自身はマネージャーではありますが、実際に手を動かして開発にも携わっています。
餌取瑞紀氏(以下、餌取):私はライブエクスペリエンス事業本部のスポーツマーケティングDXグループに所属しており、スポーツクラブにおけるDX推進やマーケティング施策の企画と運用を担当しています。公式アプリを通して、ファン体験の向上や売上最大化に貢献できるよう、スポーツクラブが抱えている課題をヒアリングしてデジタル領域から支援を行っています。今回の写真選定システムも、その取り組みの一環として担当しました。
數藤:FC東京や千葉ジェッツの現場には専任のエンジニアがいません。そのため、私たちがハブとなってスポーツクラブのDXを積極的にサポートしています。
──FC東京の広報業務には、どのような課題があったのでしょうか。
餌取:FC東京では、試合ごとに数千から1万枚もの写真が撮影されます。広報担当者はその中から、SNS投稿や記事作成のために手作業で写真を選定していました。従来は一般的な写真管理アプリを利用していたのですが、写真データが増えるにつれて人物検索の精度にばらつきが出たり、登録人数が多くなって意図しない選手の写真が混ざってしまったりする課題が出てきたのです。
また、試合単位やシーン単位での絞り込みも難しく、結局は大量の写真から目視で選定する必要がありました。ピンボケや見切れも目視で弾かなければならず、膨大な時間がかかるだけでなく、担当者の経験や勘に頼る部分が大きい状況だったのです。もちろん、広報担当者はほかにも多くの業務を抱えているので、作業の効率化と属人化せずに写真選定ができる環境の構築が必要でした。
數藤:プレーシーンだけでなく、ユニフォームに印刷されているスポンサー企業のロゴがきれいに写っているかどうかも配慮しなければなりません。そういったニーズもあり、専用の写真選定システムを導入する必要があったのです。
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丸毛 透(マルモ トオル)
インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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