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Developers Summit 2026 KANSAI セッションレポート(AD)

AI時代、エンジニアの働き方と役割はどう変わる? JR西日本子会社の2人が語った現場のリアル

【A-5】AIで変わるエンジニアの働き方、求められる役割(仮)

フルスタックエンジニア「のようなもの」と自称する背景

 セッションの後半では西林拓志氏が、開発現場のリアルな声を紹介した。西林氏は2025年6月にTRAILBLAZERへ入社し、共創ソリューション事業部に所属。今年4月まではWESTERのAndroidアプリの改善や技術負債分析を担当し、4月からはtabiwaのチームでフルスタックエンジニア「のようなもの」として働いている。Androidアプリの開発歴は趣味を含めて2009年から、Kotlinは2014年からと、モバイルアプリの開発を軸にエンジニアのキャリアを歩んできた。

株式会社TRAILBLAZER 共創ソリューション事業部 西林拓志氏
株式会社TRAILBLAZER 共創ソリューション事業部 西林拓志氏

 西林氏は自らを「T型の技術屋」と表現する。2010年に新卒でソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、モバイルアプリの開発を中心に15年ほど、バックエンドもPerlとPHPで3年ほど経験。TRAILBLAZER入社前の直近2社では、テックリードやアーキテクトといった役割を約7年務めてきた。新しい技術を身につけてプロダクト開発に活かし、社内外のコミュニティで知見を交換しながらプレゼンスを高めていく。それが生成AI以前の生存戦略だった。

モバイルアプリの開発を軸にした西林氏のキャリア
モバイルアプリの開発を軸にした西林氏のキャリア

 ところが生成AIの登場で、この前提が揺らいだ。コードを書くこと自体はAIが担えるようになり、専門知識もある程度はAIが補完してくれる。スペシャリストとして専門領域だけで勝負し続けられるのか、という不安がよぎった。そこで西林氏が選んだのは、自らが「狭義のスペシャリスト」と呼ぶ立場から、「広義のスペシャリスト」への転換だった。

 具体的には、AIに概念や記法を教わりながら知識を広げている。「uvはどういう世界観で動いているのか」といった概念の解説から、得意なKotlinの技法をPythonでどう書くかという言語間の橋渡し、気になっているSvelteの書き方を演習形式で学ぶところまで、AIを知識のブースト装置として使い倒す。その結果、バックエンドとフロントエンド、モバイルアプリを一気通貫で開発し、Android以外のコードもメンバーの1人としてレビューする、フルスタックエンジニア「のような」立場に行き着いた。ただし、この転身について西林氏は率直な本音も語る。

ボトルネックは、自分の「評価できる力」だった

 ここまでは前向きな転換に見えるが、西林氏は「実際はそんなにうまくいっていません」と明かした。理由は、コードが「動かない」のではなく、「正しいかわからない」という判断に時間が溶けていくことにある。AIが出したコードがモダンな実装なのか、既存の設計と乖離していないか、意図しない影響範囲がないか。AIに聞き直しても「大丈夫です」としか返ってこず、自分自身で判断がつかない。

「動かない」ではなく、「正しいかわからない」に時間が溶ける
「動かない」ではなく、「正しいかわからない」に時間が溶ける

 Androidアプリ開発に関しては、16年間で身につけた「見分ける目」と「ニオイに気付く力」がそのまま生きる。設計の良しあしやバグの気配を一瞬で見抜けるため、手が止まることもない。だがそれ以外の領域では、ドメイン知識や仕様理解の不足から、AIのもっともらしい出力に紛れた間違いに気付けない。実装を終えてレビューに回すと、既存の実装との重複や仕様とのズレが見つかり、ちょっとした修正のはずが予想以上に時間を使ってしまう。同じAI、同じプロンプトを使っているにもかかわらず、Androidアプリとそれ以外とでは開発スピードがまったく異なる。

16年間の開発で「見分ける目」と「ニオイに気付く力」が身についている
16年間の開発で「見分ける目」と「ニオイに気付く力」が身についている

 知識が不足していると、AIエージェントに指示を出すことはできても、できあがったものが本当に正しいかを評価する精度が低くなる。西林氏は「ボトルネックは自分の『評価できる力』にあるんです」と語る。

AIに使われるのではなく、使いこなす側へ

 西林氏は今後、評価できる力をひたすら育てることに注力していくという。引き続きAIに教えてもらいながら知識のブーストを図り、まずはフロントエンドに関して、Androidアプリと同じレベルまでではなくとも、一般的なエンジニアの水準まで戦える領域として広げていく。

 その先に見据えているのは、AIに使われるのではなく使いこなす側に回ることだ。最新情報のキャッチアップそのものをAIで行い、個人開発や業務、コミュニティで得た知見を、業務に最適化したAIエージェント環境の構築、いわゆるハーネスづくりに役立てていく。コードを書くことだけがAIエージェントの使いどころではなく、本セッションの登壇資料も西林氏自身がAIにインタビューされる形でアウトラインを組み立てたものだという。そのうえで、判断すること、責任を持つこと、そしてコミュニティに出てアウトプットや交流を続けることは、引き続き人間にしかできない領域として大切にしていくという。

 実装がAIに移っていく時代に、エンジニアとしてどう価値を示すか。西林氏は自身のパートを、こんな言葉で締めくくった。「AI時代のエンジニアの生存戦略、どうお考えですか。めちゃくちゃ大変だと思いますが、がんばって生き残っていきましょう」。

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DeveloperZine編集部(デベロッパージン編集部)

DeveloperZineは、株式会社翔泳社が運営する、技術と組織の意思決定を支える情報メディアです。技術選定やチームづくりに向き合い、自分の判断を確かなものとしたいエンジニアやエンジニアリングリーダーに向けて、翔泳社主催エンジニアイベント「Developers Summit」とも連動しながら実践知...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

岩本 隆之(イワモト タカユキ)

 1986年 兵庫県神崎郡出身 2009年 関西大学卒業 学生時代より写真・映像制作を行う。 写真撮影スタジオ勤務ののち、2020年独立。 現在は大阪市在住。 広告写真を中心としながら、ジャンルを問わず活動中。 HP Instagram

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