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Developers Summit 2026 Summer セッションレポート(AD)

データ活用で全社的な成果を得ている日本企業はたった8% - AIに任せる前に決めておく「意味設計」とは

【16-B-3】AIとの対話でデータ活用はどう変わるのか KPIの誤読を防ぐ生成AI時代の「意味設計」

データと意味のずれを「誰が・どう補完するか」という、繰り返されてきた課題

 意味設計というテーマ自体は新しくない。1990年代のDWH・SQLはデータを集めることが目的であり、2000年代のOLAP・Cubeは分析を高速化した。2010年代のBIセマンティックレイヤーは業務用語を揃え、2020年代前半のモダンセマンティックレイヤーは指標を複数サービスで使い回せるようにした。そして2020年代後半の生成AIは、自然言語で聞けるようにした。

 技術の形は変わっても、データと意味のずれを「誰が・どう補完するか」という本質的な課題は繰り返し現れてきたこと。そして、生成AI時代では文脈補完者が人間からAIに移り始めたことで新たな課題が生まれていると、尾﨑氏は強調する。

DWH、OLAP、BI、Modern Layer、生成AIと形は変わっても、本質的な課題は繰り返している
DWH、OLAP、BI、Modern Layer、生成AIと形は変わっても、本質的な課題は繰り返している
AI時代に文脈補完者が人間からAIに移ったことで課題が生まれた
AI時代に文脈補完者が人間からAIに移ったことで課題が生まれた

 Google Cloudのプロダクトの進化にも同じ構図が見える。2011年のBigQueryは大量データを高速・サーバーレスに分析するものであり、2020年のLooker/LookMLは指標とディメンション、計算ロジックをモデル化した。2021年のDataplexは分散データの管理・監視・ガバナンスを担い、2023年のDataformは変換と依存関係のテスト管理を担う。

 そして2024年のGemini in BigQuery・Data Canvas、2025〜2026年のGemini in Looker・Conversational Analytics・Data Agentsに至り、AIがデータと対話して答える段階まで進化してきた。2020年から2023年まではセマンティックレイヤーをどう作るかという「再発明・整備フェーズ」であり、2024年から2026年現在まではAIにどう正しく参照させるかという「参照するフェーズ」だと尾﨑氏は整理する。

 セマンティックレイヤーがやってくれるのは、指標の計算ロジックを1箇所に集約し、集計粒度を統一し、権限や参照範囲を管理し、BI・AI・業務アプリから同じ定義を参照できるようにするところまでだ。しかし、「○○を教えて」という問いが経営会議のためなのか、営業進捗のためなのか、施策評価のためなのかによって、使うべき指標は変わる。セマンティックレイヤーは必要条件だが、十分条件ではない。

「いますぐ連絡すべき顧客」をAIに聞くと、複数の答えに割れる

 後半パートでは、同社で執行役員CTOを務める岩尾一優氏が登壇し、AIに正しく答えてもらうための整理を「言葉」「データのつながり」「判断ルール」の3つに分けて説明した。

株式会社MBKデジタル 執行役員 CTO/AI・データ事業本部 本部長 岩尾一優氏
株式会社MBKデジタル 執行役員 CTO/AI・データ事業本部 本部長 岩尾一優氏

 岩尾氏はまず、障害対応を例にAIが生成する回答の現状を説明した。「P1障害INC-2048で、いますぐ連絡すべき顧客は誰か」という問いを、業務の前提を教えずにAIへ投げると、影響範囲を広く見るか、法人顧客に絞るか、優先順位まで固定するかによって、A社・C社・D社、A社・C社、あるいはC社・A社の順と、答えが割れてしまう。

 これを防ぐために、岩尾氏はまず曖昧な言葉を「障害対応優先顧客」という業務用語としてKnowledge Catalogに定義する。次に、顧客・契約・サービス・コンポーネント・障害というデータのつながりをBigQuery Graphで整理する。そして判断ルールとして、B2B顧客であること、有効契約を持つこと、契約更新まで60日以内であること、対象障害がP1かつOPENであること、契約サービスが障害の影響を受けるコンポーネントに依存していることという5条件を、検証済みクエリとして固定する。

「今すぐ連絡すべき顧客」の判断条件を固定する――B2B顧客・有効契約・契約更新60日以内など5条件を検証済みクエリとして定義
AIエージェントに正しくデータを活用させるために、「今すぐ連絡すべき顧客」の判断条件を固定する

 今回のデモでは、エージェントが判断ロジックを含む SQL を都度生成するのではなく、あらかじめ用意した検証済みクエリを呼び出す構成とした。エージェントに登録するのは、参照してよいテーブルを示す「ナレッジソース」、振る舞いを誘導する「手順」、判断ロジックを固定する「検証済みクエリ」、業務用語の意味を表す「用語集」の4つだ。自然文の質問を受け取ると、用語集と手順を参照して意味をそろえ、どの検証済みクエリを使うべきかを選び、質問からインシデントIDや基準日といったパラメータを抽出して渡す。業務判断そのものは人間があらかじめルールとして固定し、AIは自然文との橋渡しに徹する構成だと岩尾氏は説明する。

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AIエージェントは定義済みのルールに基づいて回答する

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この記事の著者

川又 眞(カワマタ シン)

インタビュー、ポートレート、商品撮影写真をWeb雑誌中心に活動。

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DeveloperZine編集部(デベロッパージン編集部)

DeveloperZineは、株式会社翔泳社が運営する、技術と組織の意思決定を支える情報メディアです。技術選定やチームづくりに向き合い、自分の判断を確かなものとしたいエンジニアやエンジニアリングリーダーに向けて、翔泳社主催エンジニアイベント「Developers Summit」とも連動しながら実践知...

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