「とほほのWWW入門」運営30年で見た、プログラミング言語とWeb標準の進化史 流行に振り回されず学び続けるために
【A-1】「とほほのWWW入門」これまでの30年とこれからの30年
2026年に開設から30年を迎える個人サイト「とほほのWWW入門」。管理人の杜甫々氏は、「Developers Summit 2026 KANSAI」の基調講演で、1996年から見つめてきたプログラミング言語やWeb標準の移り変わり、そして2025年10月の定年退職後にあらためて向き合うことになったAIとの付き合い方を、30年分のエピソードとともに語った。フレームワークの「サポート切れ」に振り回されないための技術選びから、学びを継続する秘訣、AI時代のエンジニアへのエールまで、講演の様子をレポートする。
開設から30年、「とほほのWWW入門」を今日も更新している理由
「はい、では、今ご紹介いただきました、杜甫々と申します」。「とほほのWWW入門」管理人として知られる杜甫々氏は、こう挨拶して講演を始めた。「とほほのWWW入門」の運営歴が9月でちょうど30年になること、インターネットに触れてから38年になることを紹介した。
サイトを始めたきっかけは、1988年7月に就職先で初めてインターネットに触れたことにさかのぼる。1996年8月に自宅で初めてプロバイダに加入してHTMLを学び始めたが、当時は日本語の資料がほとんどなかった。「しゃーない、自分でまとめてみるか」「せっかくまとめたので公開してみるか」という経緯で、1996年9月10日に「とほほのHTML入門」を公開したのが始まりだ。2週間後の9月24日には「とほほのJavaScript入門」、続いて10月3日には「とほほのCGI入門」を公開し、コンテンツを増やしていった。
サイトはその後、他のホームページ入門や素材集と並ぶ1コンテンツから、いつしかサイト全体のトップへと成長した。2026年現在、トップページから4ページにわたってコンテンツが並ぶまでに拡大し、ページ数は1,662ページに達している。杜甫々氏によれば、サイト内で最もアクセスが多いのは、プログラミング関連のページではなく「珍しい名字」など読み方を集めたページだという。
扱うジャンルも多岐にわたる。プログラミング言語やフレームワークの入門記事に加え、今年はSwiftやAlpine.js、WordPressについての記事を新たに追加した。去年からはAI関連の記事も増え始め、今年はローカルAIとClaude Codeについての記事を追加しているという。技術系の記事だけでなく、陶磁器入門やタイ料理入門といった趣味の「○○入門」シリーズにも手を広げていると紹介した。
掲示板文化の源流に、実は自分がいたのかもしれない
コンテンツだけでなく、杜甫々氏は記事以外の「発明品」もいくつか手がけてきた。GIF画像の圧縮方式がUNISYSの特許に抵触するとしてフリーソフトが軒並み有償化された際には、特許に抵触しない方式で画像を生成するGIFカウンターライブラリを公開し、当時のアクセスカウンターとして使われていた。個人サイト向けのgrep型全文検索エンジンも手がけ、当時としては最高速をうたえるものだったという。
もう1つの「発明品」が、書き込みのあったスレッドが最上部に表示される、スレッドフロート型掲示板だ。1997年に自身のサイトで「とほほラウンジ」として公開したこの仕組みについて、杜甫々氏は「2ちゃんねるがあめぞうを真似して作ったんだよね、と言われたときに、開発者の方が『いや、あめぞうは全然参考にしていない。ベースにしたとしたら、こっちの掲示板だ』とおっしゃっていたそうで、もしかしたらうちの掲示板だったのかな、なんて思っております」と振り返った。1998年に登場した「あめぞう」、1999年に登場した「2ちゃんねる」よりも先に、自身の掲示板が存在していたことになる。
こうして技術の実装だけでなく、ネット文化の周辺にも関わってきた杜甫々氏だが、続けて語ったのは、この30年間で技術そのものがどう進化してきたかという視点だった。
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近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)
株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...
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