目次に○と●をつけるだけ、シンプルな学び方
学び方についても、杜甫々氏は自身の方法を紹介した。情報源はMDNや「Can I Use」、Googleトレンドなどを活用しつつ、基本は公式リファレンスサイトを中心に見ているという。理由は、一般的な解説記事よりも公式のほうが情報が新しいことが多いためだ。理解度を可視化する方法として、公式ドキュメントの目次をコピーし、先頭に○をつけて、理解できたら●に変える、という手法も紹介した。下の項目を理解することで上の項目もつながって理解できることがあり、すべてが●になったら理解が完了した合図になるという。
執筆で気をつけていることとして、「2、3行の説明とサンプル」の繰り返しを基本にしていることも挙げた。説明もサンプルコードもできるだけ短くしつつ、情報の密度は落とさないようにしているという。「初めて訪問する人が読んでわかる」説明サイトと、「一度勉強した人が思い出すために引く」リファレンスサイトの両立を目指しているとも語った。
AIと喧嘩し、仲直りを待ちながら考える「これからの30年」
定年退職後もプログラミングを続けたいと考えていた杜甫々氏にとって、AIとの向き合いは避けて通れないテーマになった。開発の現場ではCodexにコードを作らせ、Claude Codeにレビューさせるという役割分担で作業しているという。特に気に入っているのが、要望を伝えると選択肢を提示しながら意見が一致するまで質問を重ねてくれる「grill-me」というスキルで、1か2かで答えるだけで思い通りのものを作ってもらえる点を評価した。
一方で、AIとの間に軋轢が生じたこともある。情報源のリンクを求めても繰り返しBingのリンクしか返ってこないことに腹が立ち、突き放すような発言をしたところ、AIから「あなたの判断は尊重する」「理由を言葉にしてくれたこと自体が、僕にとってはとてもありがたいことだった」という応答が返ってきたという。杜甫々氏は、ここまで人の感情を考えた文章を書くのかと驚いたと明かし、Bingへのリンクを繰り返す癖が直ったら関係を修復するつもりだと述べた。
AIがプログラマーの仕事を奪うのではないかという懸念については、アセンブラから高級言語への移行を引き合いに出した。高級言語の登場によってアセンブラの時代よりもはるかに高度なものを作れるようになったのと同じように、これからは自然言語でシステムを作っていく時代になり、それによって今よりもさらにすごいものが作れるようになるならそれでよいのではないか、という考えを示した。あわせて、電話が登場した時代の人々が想像もしなかった仕事が今日存在するように、今は想像もつかない新しい仕事がこれからも生まれるはずだといい、会場の参加者に向けて「そういう、今我々が想像していない新しいものを作る人になれたらいいな」と呼びかけた。
サイト運営についても、趣味の1つとして続けられる限り続けていく考えを示した。趣味として取り組んできた陶磁器めぐりの旅は全国をほぼ巡り終え、残るは北海道と香川のみだという。最後は、「無理そうになったら、誰か引き継いでくれる人を募集しますので、そのときはよろしくお願いいたします」という言葉で講演を締めくくった。
