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Developers Summit 2026 Summer セッションレポート

良い取り組みを紹介しても「いい話」で終わってしまうのはなぜか? 1人のエンジニアが、知見の広がる組織へと変えていく

【17-A-5】一人のエンジニアから始める、横の影響力のつくり方〜チームを越えて知見を広げた1年の物語〜

 社内の他チームに良い取り組みを紹介しても、「いい話でした」で終わり、誰も試してくれない──そんな経験はないだろうか。弥生でエンジニアリングマネージャーを務める小島優介氏は、1人のエンジニアとして入社してからの1年間、地道な発信と個別対話を重ね、知見が実際に「使われる」組織づくりに挑んできた。「Developers Summit 2026 Summer」のセッションでは、その試行錯誤の末にたどり着いた具体的な方法論と、自らの黒歴史をさらけ出してまで伝えようとした理由が語られた。

業務改善について他チームに共有しても「いい話でした」で終わってしまう

 小島氏には、5年以上抱えていた悩みがある。「新しいツールで効率化できた」「タスクの進め方を見える化した」といった自チームの改善を他チームに紹介すると、「いい話でした」と称賛され、Slackにもリアクションがつく。しかし、次の日にそれを試してくれることはない。「どうして試してくれないんだろう」「やればよくなるのに」。そう思う日々が続いていたという。

 だが、そうなってしまう原因は自身の「届け方」にあったと小島氏は気づく。相手の困りごとを知らないまま、自分のチームでうまくいった解決策を押し付けていただけだったのだ。どのチームにも固有の課題や優先順位がある。今の困りごとに直接つながらなければ、試す理由にはならない。そもそも「誰に相談すればいいかわからない」といったハードルがあり、実際にやってみるには労力が必要だ。そのため、良い取り組みでも「いい話でした」で終わりやすい構造になっていたのである。

弥生株式会社 NEXT BU エンジニアリングマネージャー 小島優介氏
弥生株式会社 NEXT BU エンジニアリングマネージャー 小島優介氏

 小島氏が弥生に入社したのは、約1年前、2025年6月のことだ。配属されたのはすでにスクラムマスター、PdM、デザイナー、エンジニアといった役割が揃ったスクラムチーム。小島氏はそこに新しく加わった「1人のエンジニア」だった。肩書はエンジニアリングマネージャーだが、組織図上は一エンジニア扱いで、特別な権限は何もない。ボトムアップでやっていきたいという思いから、あえてそのような形で加わることを選んだという。

「いい話」を「使われる知見」に変える4つのステップ

 そんな1人のエンジニアとしての歩みの中で、前職時代も含め5年以上に及ぶ試行錯誤の末に見つけたのが、「使われる知見」に変えるための道筋だった。「自チームで試し続けて現場の知見を増やす」「発信で認知をつくる」「個別対話を重ねる」そして「相手の困りごとに合わせて知見を渡す」。良い取り組みは押し付けではなく、この4つのステップを踏むことで相手から相談される知見へと変わっていくという。小島氏は、弥生でのこの1年間、実際にこの4つのステップを実践してきた。

「いい話」を「使われる知見」へ変えていく4つのステップ
「いい話」を「使われる知見」へ変えていく4つのステップ

 その結果、小島氏には個別に相談してくれる人が20人以上、紹介した知見を活用してくれたチームが10チーム以上生まれた。自チームで試した朝会や振り返りの工夫が他チームでも試され、「教えてもらった方法でうまくいきました」といった感謝の声も届くようになったという。権限を持たない1人のエンジニアが、なぜここまで横に影響力を広げられたのか。その具体的な方法を紹介する。

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発信で他チームはすぐに変わらない、だが「認知」はつくれる

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この記事の著者

森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

CodeZine編集部所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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