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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

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ベルフェイスの根幹"カスタマーサクセス"を実現させるプロダクト開発への挑戦

一人プロダクトマネージャーからPM組織へ拡大していくために重要な3つのポイントとは?

ベルフェイスの根幹"カスタマーサクセス"を実現させるプロダクト開発への挑戦 第4回

 商談などのビジネスコミュニケーションや営業マネジメントを支援するオンライン営業システム「bellFace(ベルフェイス)」。リリースから約5年の現在、3000社に導入され成長を続けています。本連載ではベルフェイスのプロダクトマネージャーをはじめプロダクト開発に携わる社員が積み上げてきた知見を共有しています。第4回のテーマは「プロダクトマネジメント組織(PM組織)の拡大」。CPO室でプロダクト全体を見ながらプロダクトマネジメントの組織を強化してきた筆者が、PM組織拡大において陥りがちな失敗を踏まえつつ、重要な考え方を解説します。(編集部)

はじめに

 読者の皆さま、はじめまして。ベルフェイス株式会社でCPO室 室長兼プロダクトディビジョン GM代理をしている吉本と申します。さまざまな媒体で記事を執筆していたので、もしかするとはじめましてじゃない方もいらっしゃるかかもしれませんが、なんだかんだで久しぶりに書かせていただきます。

 プロフィールにも記載しておりますが、私は2019年9月までベルフェイスにてプロダクトマネージャーとして従事した後、約1年半、事業拡大に向けてHR全般を担当し、2021年に再びPM組織の強化のためにプロダクト開発チームに戻ってまいりました。

 さて、こちらを読まれている方の中には、現在単独でプロダクトマネージャー(もしくはそれに準ずる役割)をされていて、事業として、組織としてスケールさせていこうという中で「この調子で自身が主軸となりどんどんいくぞ!」と自信たっぷりな方と「この先どのように進めていけば良いのだろうか」と拡大する組織に悩まれている方とがいらっしゃるのではないでしょうか?

 事業や組織が大きく変わっていく過程において、プロダクトマネジメントの在り方、PM組織の在り方も同じように変わっていきます。その変化の中で起きうることを事前に把握しておくこと、ひとごとではなく、自身にも起きうることであることを認識しておくことで、先手を打ったPM組織作りを行うことができます。

 本記事では、ベルフェイスが直面した課題と対策を基に、読者の皆さまがどのようにしていけばその課題を乗り越えることができるかを「PM組織拡大のために重要な3つのポイント」としてまとめたものを紹介します。

(1)あなた自身がボトルネックに? 突如訪れる大きなズレ

 0からプロダクトを企画し、ローンチし、少しずつ顧客も増えていく過程において、プロダクトマネージャーであるあなたはとても高い解像度で市場と顧客を理解し、何ができるのかを真剣に考え、プロダクト開発チームと協力し、プロダクトを作り上げていきます。

 あなたが作り上げたそのプロダクトは「こういうのが欲しかったんだ」と顧客に喜ばれ、「そういう世界にしていきたいんだ」と賛同され、ファンを作っていきます。そういった経験はプロダクトマネージャーをしていると大なり小なりあるのではないでしょうか。

 さらに顧客は増え、事業を拡大させていくために社員も増やしていきます。社員が増えることでできることも増え、あなたの夢はさらに広がっていき、どんどんプロダクトを進化させていきます。機能もどんどん追加されていきます。プロダクト開発チーム内から見ると、とても順調そうに見えます。ところがある日気付きます。自信を持ってリリースしたはずの機能が顧客に全く利用されていないことに。

 なぜ、そのようなことが起きたのでしょうか? 理由は大きく2つ考えられます。1つは企業の成長により、社員・関連部署の数が増え、あらゆる情報が細切れになっていくことで、情報量は増えてもその精度は必然的に低下し、プロダクトマネージャーとしての顧客課題に対する解像度が上がりきらないためです。

 2つ目は、事業・プロダクトの成長に伴い、顧客の層が広くなり、認知・期待のされ方も変化するためです。どの顧客をメインターゲットとし、どの声をメインイシューとして抽象化し、どのタイミングでプロダクトに反映していくか、といったルールが変わっていくのです。

 そんな中、元々自身で抱えていた大きなペインを解消していくプロダクトを開発することで得た成功体験が重なり、顧客理解が不十分な状態であっても「きっとうまくいく」と立ち止まることなくプロダクト開発を進めてしまうことで、顧客に届かないプロダクトが作られてしまうのです。このズレは初期であれば軌道修正しやすいですが、事業が大きくなればなるほど影響は大きくなり、取り返しが付かなくなります。つまりはプロダクトマネージャー自身がボトルネックになってしまうということです。これがさらに複数名のPM組織だった場合どうでしょう? それぞれの「きっとうまくいく」に引っ張られて課題がどんどんぼやけてしまいます。

 こういった失敗をさけるためにも、PM組織拡大のために必要なこと。1つ目は「いずれ自身(自組織)がボトルネックになることを自覚すること」です。

 では、そうならないために必要となるのは何なのか。それが「再現性のあるPM組織」の構築です。

 ベルフェイスは、「0→1(ゼロイチ)」と言われる立ち上げのフェーズの後の、「1→10」のステージにおいて、「個の経験に依存したプロダクトマネジメントからの脱却」を目指し、1つのフレームワークを用いて、PM組織を構築していっています。次の章からそちらに触れていきます。

次のページ
(2)勘と根性のプロダクトマネジメントからの解放

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この記事の著者

吉本 猛(ベルフェイス株式会社)(ヨシモト タケシ)

 ベルフェイス株式会社 CPO室 室長 兼Product Division GM代理。2011年当時、株式会社ディーノシステム代表だった中島氏と出会い、社員3名・実績ゼロの同社にジョイン。SV部門責任者を担う傍ら、インサイドセールスチームやカスタマーサクセスチーム、Web動画制作チームの統括として業...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/222 2021/04/28 11:00

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