(2)勘と根性のプロダクトマネジメントからの解放
プロダクトマネジメントについて考える時、実は一番恐ろしいのはプロダクトマネージャー一人ひとりの「経験」に引っ張られてしまうことかもしれません。プロダクトマネージャーをしてきた方々であれば「成功体験」「失敗体験」の1つや2つはあるかと思います。ここで言う「経験」はその両方を指します。
残念ながら日本におけるプロダクトマネージャーを取り巻く環境はまだまだ試行錯誤の最中であり、企業によって期待役割も大きく異なっているように思われます。そのため一概に「プロダクトマネジメント経験がある」と言っても、その経験は必ずしも同じ前提条件の中で築かれたものではないことが多々あります。
そのような状態で「はい、どうぞ!」とおのおのがそれぞれが思うプロダクトマネジメントを展開したとしてもうまくいくわけがありません。チームとして共通概念を定めて、常に立ち返れる指標を作る必要があります。
ベルフェイスでも元々2名だったプロダクトマネージャーは現在5名を超えています。短期間で急激に人数を増やしたこともあり、より一層この共通概念の構築が急務でした。
そこで、いくつかの事例、文献などをたどっていく中で見つけ、採用したのが「Open Product Management Workflow(以下OPMW)」でした。
OPMWを採用し、PM組織として取り組んでいったことは大きく3つあります。
1つ目はPMチーム全員での輪読会の実施と記録の社内シェアです。全てオンラインでの実施でしたが、週次での実施と半日かけた合宿形式の実施で各自が翻訳した内容を持ち寄りディスカッションを交えながら理解を深めていきました。
2つ目はOPMWの分類にのっとり、元々一人のプロダクトマネージャーが担当していたプロダクトマネジメントの領域をStrategy、Technical、Go-To-Marketの3つに分類し、それぞれを専属のProduct Management Strategyチーム、各Product Lineチーム、Product Marketing Managementチームとしたことです。これにより、それぞれの専門性をより高めることができました。
3つ目はその高い専門性を持ったチームによる他部門との連携の仕組み化です。一人のプロダクトマネージャーが全ての領域を見て把握するのではなく、専門チームと分業することでステークホルダーもより明確になりました。それに合わせた会議体を設計することで情報流通の質と速さ、量のいずれも確保できるようになりました。
OPMWを軸としたPM組織の運用は、まだまだ立ち上がりフェーズではありますが、実際に個人ではなく組織としてのプロダクトマネジメントが回り始めていることを実感しつつあります。
PM組織拡大のために必要なこと、2つ目は「再現性のあるプロダクトマネジメントの姿を目指すこと」です。
最後に、そのあるべき姿を目指すためにプロダクトマネージャーとして必要なことについてお話しします。
(3)あらゆる不安を取り除くためにプロダクトマネージャーとしてできること
PM組織が拡大していく「1→10」のフェーズにおいて、個への依存状態を解放し、役割を明確に分け、より高度なレベルに全てを発展させていく。これらを実現させていくためには、2つの乗り越えなければならない「不安」が存在します。
まずは個から組織となるプロダクトマネジメント活動そのものへの「不安」です。一人で全領域を担当していたプロダクトマネージャーからすれば、それが結果として網羅性と専門性(広さと深さ)を高めることになったとしても、役割が分担される=自身の領域が狭まる、と考えられます。まずはこの事実をbe honestに受け止めることが求められます。
次に、他の部門が持つ「不安」です。PM組織が変化すると、それに伴い関連部門もその影響を受けます。当然最初は負担が増すこともあります。ここでプロダクトマネージャーに求められるのは、“Why”を伝えることです。プロダクトマネジメントにおいて“Why”を考えることはもはや当たり前ですが、PM組織拡大においても同様です。「なぜ、このような体制変更を行うのか」「この体制変更によって自社に、顧客にどんな価値がもたらされるのか」これらを関連部門に伝わるまで伝え続けることが重要です。
つまりPM組織拡大のために必要なこと、3つ目のポイントは「自身、自組織の可能性を信じ、伝え続けること」です。これができるのはプロダクトマネージャーだけです。
最後に
いかがでしたでしょうか。プロダクトマネージャーという職種は、企業によって多種多様な役割が求められます。チームとなり、PM組織として事業にコミットしていく上で、プロダクトマネージャー個人としても組織としても、乗り越えなければならないことがたくさんあると考えています。
記事内で紹介した、PM組織開発のために必要なたった3つのこと、
- いずれ自身(自組織)がボトルネックになることを自覚すること
- 再現性のあるプロダクトマネジメントの姿を目指すこと
- 自身、自組織の可能性を信じ、伝え続けること
これらは、私が自社での体験を通し、重要であると感じたことです。それぞれの事業フェーズによって異なる点はあるかと思いますが、皆さまの今後のプロダクトマネジメントにおいて、少しでもお役に立てると幸いです。
