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YOUTRUSTのiOSアプリはなぜ話題を集めたのか 代表・岩崎さんとエンジニア・朝日さんが開発の裏側を語る

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 2021年4月12日、キャリアSNS「YOUTRUST」がiOSアプリを正式リリースした。このニュースは一時、“iOSアプリ”というワードでTwitterのトレンド入りを果たすなど、大きな注目が寄せられた。なぜ、イチアプリのリリースがここまで話題を集めたのか。アプリにどんな思いをこめ、何を見据えているのか――。YOUTRUST立ち上げの背景を振り返りながらアプリ開発の裏側について、代表取締役・岩崎由夏さんとアプリエンジニア・朝日大樹さんに語ってもらった。

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「転職市場をフェアにしたい」 イチ採用担当者として感じた“不平等さ”とは

――まず、YOUTRUST立ち上げの経緯とご経歴について教えてください。

岩崎 新卒で入社したDeNAで採用業務に携わっていたのですが、採用担当になったことで転職市場がこんなにもフェアではないのかということに気づかされました。求職者のうち肌感としては7割くらいの方はエージェントに登録して転職活動をされることが多いのですが、転職エージェントのビジネスモデルは、転職が成功したらその人の年収の35%を報酬フィーとして受け取るというのが一般的なものです。ですが、報酬フィーは固定ではなく、求人している企業サイドで可変です。資金力があれば、50%や100%にフィーを引き上げることもできます。

こういった背景があるので、転職エージェントの担当者も自身の成果をあげなければいけないという思いから、報酬が高い会社の求人票を見せたり、いくつか内定が決まったとしてもフィーが高い会社を勧めるといったことが構造的に起こりやすくなっています。ですがもちろん求職者さんたちは、そういった裏側をわからず転職されていくので、知らない間に人生が誘導されてしまう。

採用担当者としてそういった現実を目の当たりにしたとき、決して転職エージェントが悪だという話ではなく、この構造的な歪みを解消するためにできることはないのか、求職者さんにとって転職市場をフェアにできる方法がないかと考え始めたのが、YOUTRUSTを起業した最初のきっかけです。

ただ私自身、起業家精神あふれるタイプではないですし、人生で起業するなんてまったく思っていませんでした。そんななか、起業家の中川綾太郎さんに「転職市場って全然フェアじゃないんですよ」と話をしていたとき、「岩崎さん、そういうときに起業するんだよ」と言われ、はじめて自分の中で起業という選択肢が生まれました。とはいえそこからすぐに起業しようとはならず……。いろいろ悩んだ結果、行っていた転職活動をやめ、起業することを決めました。

株式会社YOUTRUST 代表取締役 岩崎由夏さん
株式会社YOUTRUST 代表取締役 岩崎由夏さん

朝日 新卒でサイバーエージェントに入社し、サイバーエージェントの子会社であるシロクに出向しました。そこで2年半ほど働いたあと、スマホのゲームやアプリを開発するトランスリミットに転職し5年ほど勤務。次に転職したのは、キッズラインというベビーシッターマッチングの会社でした。

現在Flutterというプログラミング言語を使用しているのですが、それを勉強しているときに、YOUTRUST上で岩崎さんに声をかけてもらいました。当時はとくに転職に積極的だったわけではなく、副業で良い案件があればという温度感だったので、最初は副業としてYOUTRUSTに関わりはじめました。ですが一緒に働いていくなかで、YOUTRUSTの皆さんの人柄にとても惹かれていきました。私自身、誰と働くかをとても重視していたこともあり2020年12月に正社員として加わり、今に至ります。

株式会社YOUTRUST アプリエンジニア 朝日大樹さん
株式会社YOUTRUST アプリエンジニア 朝日大樹さん

ターゲットは「今の会社も好きだしいまのところ辞めるつもりはない」人たち

――YOUTRUSTではサービス立ち上げ当時は「副業」にフォーカスしていた印象ですが、「キャリアSNS」という表現の仕方に少し方向を変えたのにはなにか理由があったのでしょうか。

岩崎 根本にあったのは、先ほどお伝えしたとおり、フェアではない転職市場をフェアにしたいという思いです。それを実現するためのやりかたはいくつかあると思うのですが、「私たちがフェアな場所を作り、それを多くの人に使ってもらう」ことで、転職市場を平等にしていきたいと考えました。

とはいえいまの転職市場は、長い歴史と豊富な資金力をもったプレイヤーが多く、正面から入っていったら吹けば飛んでしまう。そうなったときに考えたのが、彼らが進出していない場所からアプローチしていこうということです。いまの転職市場のメインターゲットは、会社を辞めてすぐにでも転職したいという意欲がとても高い人たち。こういった層が全体に占める割合は、およそ5%程度です。

残りの95%の人たちの多くはというと、今の会社も好きだしすぐに辞めるつもりはないけれど、もう終身雇用の世界ではないし5年後も同じ会社にいるかはわからない。中長期で考えたら転職するかもしれないし、自分に合った会社から声をかけてくれるのならやぶさかではない、という人たちだと思うんです。日本の働くビジネスパーソンの大半がこのような考えかたなのではないかと感じています。

ですが今は、そういった人たちが登録をし、チャンスが舞い込んできたときにキャッチできる場所がないんですよね。そのため私たちは残りの95%の人たちをターゲットにプロダクトを作ろうと考えました。そのときに考えた方法が「副業」そして「SNS」のふたつの軸でした。

SNSは、Linkdinをイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。とくにいますぐ転職したいわけでないですが、欧米諸国ではLinkdinのアカウントを持っていて、名刺や履歴書代わりにLinkedInのプロフィールURLを送るのが一般的。日本でもそういった場所を作れるのではないかという戦略です。

しかし、最初はただのSNSをリリースしてもニーズがないですし、突然人はきてくれません。ではいま顕在化しているニーズのなかでSNSとも相性が良いものはなにかを考えて行き着いたのが「副業」です。先ほどの95%の人たちのトレンドとも合致します。国も重要施策のひとつとして副業や兼業の推進を挙げていますし、これから副業人口が増えていくことは間違いない。

私が周りに転職サービスを作ろうと思っていることを打ち明けると「副業でいいから良い会社を紹介してほしい」という求職者や、「副業でもいいので良い人材に加わってほしい」といった起業家の声をよく耳にしました。そこで、本当にニーズがあるのだなと実感したんです。最初から転職市場全体と戦っても負けることは目に見えていたので、まだ誰も独占していない場所である「副業」でバリューを出していこうというのが、戦略の最初の一歩でした。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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https://codezine.jp/article/detail/14055 2021/04/26 08:00

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