はじめに
Facebookは米国の代表的なソーシャルネットワークサービスで、開発者向けのプラットフォームも用意されています。今回は、Facebook用のアプリケーションの作り方について簡単に解説します。
FacebookからはPHPで書かれたサンプルアプリケーションが提供されていますが、今回はPerlを利用したいと思います。
対象読者
Webアプリケーションに興味のある方。
必要な環境
Perl 5.8以上が動作する環境を推奨します。主なPerlモジュールには、以下を使用しました。
Facebook用アプリケーション作成の基礎
Facebook Developers
Facebook Developersという、Facebookの開発者向けページがあります。ここでは主に3つの技術が提供されています。
- Interface (API)
- Query (FQL)
- Markup (FBML)
それぞれの技術について触れてから、サンプルアプリケーションの作成に挑戦します。
アーキテクチャ
まずはFacebookのアーキテクチャについて説明します。Facebook Developers Wikiの[Random Questions]-[Basic Application Architecture]に、アプリケーションをFacebook内に設置する場合の記述があります。
以下のシーケンス図を参照していただくとその構成が理解できるかと思います。
API
Facebookは豊富なAPIを提供しています。詳細はWikiの「API」ページを参照してください。
RESTインターフェイスで、Flickr APIのような「分類.動作
」の形式でメソッド名が定義されています(例えば、[users.getInfo]など)。
APIの呼び出しは、Facebookにログインした状態で利用することを前提に作られているようですので、api_key
(呼び出しアプリケーションに付与されたキー)、session_key
(ログインユーザーのセッションキー)、sig
(秘密キーを利用したMD5のハッシュ値)、v
(バージョン)がリクエストのパラメータに必ず含まれます(この辺りはNet::Facebook::API
などのAPIラッパーモジュールが実装を隠蔽してくれるので、必要最小限の設定で済むと思います)。
APIの戻り値は、XMLかJSONのいずれかの形式で取得することが可能です(デフォルトはXML)。リクエストのパラメータにformat=JSON
を指定することでJSON形式で取得できます。
豊富なAPI群を使いこなすのに、一つ一つAPIの実装を試していくのは少し億劫です。しかしFacebookはAPI Test Consoleという便利なツールを用意してくれました。このツールでは、フォームから入力したパラメータによって、どのようなレスポンスが得られるかを確認できます。コードを書く前に一度試してみましょう。先にどんなレスポンスが得られるか知ることは実装の手助けになりますよ。
FQL
FQLは「Facebook Query Language」の略で、SQLライクな記法でFacebookからデータを取得することができます。基本的には上述したAPIと同じデータを取得できます。
Wikiの「FQL」ページ中段にある「The data」の項に、テーブル名とカラム名に関連するAPIの表が記載されています。
例えば、APIのusers.getInfo
を利用するのと同様にFQLで値を取得したい場合は、次のようなFQLを発行します。
SELECT name FROM user WHERE uid=12345
利用可能なステートメントは、SELECT、FROM、WHERE、INの4つのようです。またWHERE句ではAND、OR、NOTを利用できるようです。その他いくつかの関数も用意されています(関数については「FQL」のページの「Functions and Operations」を参考にしてください)。
FQLの呼び出しはAPIのfql.query
を使います。Perlで呼び出す場合は次のようになります。
my $client = Net::Facebook::API->new( api_key => 'xxxxxxxxxxxxxx', secret => 'xxxxxxxxxxxxxx', app_path => 'http://apps.facebook.com/yourapp', ); my $response = $client->fql->query( "SELECT name FROM user WHERE uid='123456'");
FQLもAPI呼び出しで利用しますので、上述したAPI Test Consoleを使うことができます。API Test Consoleのページに行き、Methodのプルダウンメニューから[fql.query]を選んでください。選択するとqueryという入力フォームが現れますので、そこにFQLを入力してください。
FBML
FBMLはHTMLのサブセットとして定義されています(HTMLのいくつかのタグは利用できません)。また、HTMLのほかにFacebookに特化した「fb」という名前空間のタグも定義されており、Canvasに描画する際に役立ちます。セキュアな環境を意識してのことと思いますが、HTMLのscript
タグは利用できません。しかし、JavaScriptを使いたいユーザーのためにFBJSというFacebook用のJavaScriptが用意されています。
特にfbの名前空間が付いたFBML
タグは非常に便利です。実際に見た方が分かりやすいと思いますのでfb:name
の例を見てみましょう。
<fb:name uid="4">
と記述した場合、以下のHTMLを取得することができます。APIを駆使すればこのHTMLを生成することもできると思いますが、そこまで苦労しなくてもFBMLで楽に実装することができます。
<a href="http://www.facebook.com/s.php?k=100000080&id=4" onclick="(new Image()).src = '/ajax/ct.php?878645&app_id=2353941073&action_type=3&post_form_id= c8018cd30000211bddf82b49f8cc762f';return true;">Mark Zuckerberg</a>
FBML用にもAPIと同様にテスト用のツールが用意されています。FBML Test Consoleです。任意のタグを入力した後、[Preview]ボタンを押すことでプレビューとHTMLコードを見ることができます。この作業も、コードを書く前に一度行っておくとよいでしょう。