AIエージェントという「問題児」を動かす新しいプラットフォーム
AIエージェントは、ストリーミングレスポンスへの対応、時間のかかる非同期処理、認証・認可、そしてPoC段階ではなるべく費用を抑えたいというサーバーレス要件まで、一筋縄ではいかない「問題児」であり、そのバックエンドの技術選定のハードルは高いとみのるん氏は語る。
これまではAPI GatewayとLambdaなど複数のAWSサービスを自分で組み合わせるしかなく、インフラ選定のハードルは高かった。この状況を変えたのが、昨年登場したAmazon Bedrock AgentCoreだ。
核となるAgentCore Runtimeは、専用CLIでデプロイコマンドを実行するだけでエージェントをコンテナ化してクラウド上にビルド・デプロイしてくれる、いわば「エージェント専用Lambda」だとみのるん氏は表現する。ユーザーから呼び出されたときだけ従量課金で動くため、PoCで多くのエージェントを試してもほとんど課金は発生しない。
加えて、デプロイしたエージェントの挙動はCloudWatchの生成AIオブザーバビリティ機能でトレースできるため、社内でエラーが起きた際にもどのツール呼び出しで問題が生じたかをすぐに特定できるという。
RAGは「エージェントの道具」になった
社内資料を扱うRAGにも変化が起きている。1〜2年前はRAGチャットボット単体を作るのが主流だったが、今はAIエージェントが必要なときだけ検索ツールとして呼び出す形が主流になり、社内文書検索が不要な質問にはそのまま賢く答えられるようになった。
AWSではBedrockの新機能「マネージドナレッジベース」により、S3に資料を置くだけでベクトルDB構築やチャンク分割を任せてRAG用のAPIを自動生成できる。さらに、コードを書かずマネジメントコンソールだけでエージェントをローコード構築できる「AgentCoreハーネス」と、ナレッジベースの検索をそのままMCPツールとしてエージェントに生やす「AgentCoreゲートウェイ」を組み合わせれば、社内文書検索エージェントもブラウザ上で5分程度で作れるようになったという。
インフラとRAGの整備がここまで簡単になったことで、バックエンド側の課題は一区切りついた形だ。しかし、バックエンドの目処が立っても、Webアプリとして公開するにはフロントエンドが残る。Pythonは書けてもTypeScriptは苦手というエンジニアが量産しがちなのが、見慣れたStreamlit製の画面だ。
ここでも、みのるん氏はコーディングエージェントの活用を勧める。Claude CodeやCodexに任せればReactを使ったモダンなフロントエンドも普通に書いてもらえ、Lambda Web Adapterへのデプロイまで任せられる。
実際に「パワポ作るマン」は、CloudFrontとLambda Web Adapterで配信する画面、Amazon Cognitoによるログイン、Strands AgentsとMarp CLIが動くAgentCore Runtime、そしてTavilyやBedrock、S3という構成をAWS CDKでまとめてデプロイしている。一度この「型」を作れば機能やデザインを変えた量産も容易になる。作ったエージェントはすべてOSSとしてGitHubで公開しているといい、自社の利益より業界全体の底上げを優先する考えを明かした。
