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イベントレポート

わずか1年半でフルスタックAI駆動開発プロセスを築いたみずほ証券、原動力は「AIを使わないリスク」への危機感

【AI駆動開発カンファレンス 2026夏】みずほ証券 杉谷剛氏セッションレポート

 みずほ証券は2025年1月にGitHub Copilotを導入して以来、わずか1年半でDevin、Kiro、Genesis/Nexus、Snowflakeを組み合わせたフルスタックのAI駆動開発プロセスを築き上げた。IT・システムグループ上級技術統括の杉谷剛氏は「AI駆動開発カンファレンス 2026 夏」で、その道のりと、点ではなくプロセスとして生産性を上げる発想、PoCを「人」で選ぶ考え方、専任とバーチャルのハイブリッドで組んだCoEチームの体制を語った。規制の厳しい金融機関がフルスタックのAI活用をどう現実のプロセスに落とし込んだのか、その核心が明らかにされた。

AI駆動開発プロセス構築の出発点は「AIを使わないリスク」

 事業会社のIT部門は、経営層からは生産性向上とコスト削減を求められ、ビジネス部門からはスピードアップを求められる。だが杉谷氏はそれ以上に「ITの現場での必要性」が重要だと切り出す。DXの推進や生成AIの活用でIT関連の業務量は年々増えているにもかかわらず、IT人材の有効求人倍率は他業種を大きく引き離して高止まりしたままだ。杉谷氏はこの状態を「業務と人材のスタグフレーション」と呼ぶ。少子高齢化が進めばこの傾向はさらに顕著になり、手を打たなければ立ち行かなくなる。

AI駆動開発プロセス構築の背景
AI駆動開発プロセス構築の背景

 もう一つの論点が、AIを使わない場合のリスクだ。ハルシネーションなど「AIを使うリスク」への注目が集まりがちだが、それは自社でコントロールできる。むしろコントロールが難しいのは「AIを使わない場合のリスク」の方だと杉谷氏は指摘する。開発生産性の向上にとどまらず、開発プロセス自体を人とAIの協働型に変革すること。これが、みずほ証券がAI駆動開発プロセスの構築に踏み出した出発点だった。

唯一の正解はない、それでも駆け抜けた「1年半」の軌跡

 前提として杉谷氏が強調したのは、AI駆動開発のスタイルに唯一の正解はないということだ。旧来型の大企業とスタートアップでは同じことはできないし、規制の厳しい金融機関とそうでない業種では判断基準が異なる。エンジニアリングの内製化率が高い会社と外部委託への依存度が高い会社でも、社員のスキル特性は変わってくる。だからこそ同社の事例は「一つの取り組み事例」として参考にしてほしいと杉谷氏は前置きした。

みずほ証券でのAI駆動開発の変遷
みずほ証券でのAI駆動開発の変遷

 みずほ証券がAIを活用した開発に着手したのは2025年1月、GitHub Copilotをスモールチームで使い始めたのが最初だ。転機になったのがDevinとの出会いだった。杉谷氏がDevinのデモを見たのは2025年7月15日。その場で導入を決め、翌日には関係部署に指示を出してPoCを開始した。国内の金融機関としては初のエンタープライズ契約という形で、最速約6カ月で導入している。Devinの自律性の高さに手応えを得る一方で、上流工程を担当する社員がDevinを使いこなせるかという課題に直面したことが、次の展開につながっていく。

みずほ証券株式会社 IT・システムグループ 上級技術統括 杉谷剛氏
みずほ証券株式会社 IT・システムグループ 上級技術統括 杉谷剛氏

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Kiro、Devin、Genesis/Nexus、Snowflakeを組んだフルスタック構成

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この記事の著者

近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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