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ハピネスチームビルディング ~自チームの成功体験を組織へ広げる~

行動と効果を言葉にする──発言や相談を「やってよかった」に変えるフィードバック

ハピネスチームビルディング ~自チームの成功体験を組織へ広げる~ 第2回

小島 優介(弥生株式会社)[著]

悪い報告にも、まず感謝する

 ポジティブフィードバックを重視すると、「問題のある報告も褒めなければならないのか」「改善点を伝えられなくなるのではないか」と感じるかもしれません。

 報告した行動への感謝と、改善を求めることは両立します。報告の内容が悪くても、タイミングが遅くても、まずは知らせてくれたことに感謝します。その後で、現在の問題への対処と、次回に望む行動を分けて伝えます。

 例えば、作業中に状況が変わり、この進め方では無駄になるとわかっていたのに、報告が遅れた場合は、次のように話します。

まず、状況を報告してくれてありがとうございます。今わかったので、これ以上無駄な作業を続ける前に、進め方を変えられます。今回は、どこまで進んだかを確認して、残りの対応を一緒に決めましょう。

次回は、この進め方では無駄になるとわかった時点で共有してください。状況が変わったことに気づいた時点で相談してもらえると、無駄な作業がさらに続くのを防げます。

 障害につながるかもしれない問題の報告が遅れた場合なら、次のように伝えられます。

言いにくい状況だったと思いますが、知らせてくれてありがとうございます。まず影響範囲を一緒に確認し、必要な連絡をしましょう。

今後は、障害かどうか確信が持てなくても、ユーザーへの影響の可能性に気づいた時点で共有してください。「まだ調査中です」という報告で構いません。早くわかれば、調査を手分けし、影響を小さくできます。

 報告の内容がわかりにくい場合も、最初から完璧な報告は求めません。経験の浅いメンバーは、結論が最後になったり、文章だけでは状況をうまく説明できなかったりすることがあります。その場合は、直接対話して起きたことを時系列で話してもらいます。

 早く報告することと、わかりやすく報告することを一度に求めると、本人は文章を整えることに時間を使い、報告がさらに遅れます。まず早い報告だけを求め、それが定着してから、報告の質を少しずつ改善します。

成功しやすい機会を先に作る

 「適切なタイミングで報告してくれたらフィードバックしよう」と待つだけでは、その機会が生まれないことがあります。特に経験の浅いメンバーは、どの時点が適切かわからないからです。

 その場合は、成功しやすい条件を具体的に設定します。テストを依頼する際には、次のように伝えます。

18時までに完了できないとわかった時点で、途中でも状況を共有してください。

 報告があったら、たとえ18時の数分前でも、遅かったことより先に、知らせてくれたことに感謝します。

完了前に状況を共有してくれたので、今日中に必要な範囲を判断できました。ありがとうございます。次は、残件数と今のペースから遅れそうだとわかった段階で教えてもらえると、もっと早く分担を調整できます。

 報告を受けて優先順位を変えたこと、別のメンバーに支援を依頼したことも伝えます。自分の報告が何に使われたかを理解できれば、本人は別の状況でも、報告する時点を考えやすくなります。

 ここまで紹介したのは、報告してくれたことへの感謝と、次にどの時点で伝えてほしいかです。筆者の前職のチームでは、それに加えて、報告・連絡・相談の目的を「遅れによる手戻りをなくすこと」と共有していました。感謝を伝えるだけで、どのチームでも同じ変化が起きると断定はできませんが、毎年配属された新卒メンバー7人は、いずれも半年以内に適切なタイミングで報告・連絡・相談をするようになり、以前のような遅い報告による手戻りは起きなくなりました。

会議で、考えがまとまる前に会話へ入れるようにする

 ここからは、会議でも発言してもらえるようにするため、発言が起きる前の入り方と、発言したあとに効果を伝えるポジティブフィードバックを紹介します。

 発言に慣れていない人は、話す内容を頭の中で組み立てている間に議題が変わってしまい、会話へ入るタイミングを逃します。ポジティブフィードバックをしたくても、発言がなければできません。

 全員へ「何か意見はありますか」と尋ね、沈黙したら先へ進むだけでは、発言に慣れていない人は会話へ入りにくいままです。進行役から、その人の経験や立場に結び付いた質問をすることで、発言の機会を作ります。

○○さんは、この案を実装する際に難しくなりそうな点はありますか?

○○さんは、過去に類似機能を担当した立場から、気になることはありますか?

 もし考えがすぐにまとまらなければ、チャットに書いてもよいと添えます。誰かが話している間でも投稿できるので、自分が話すタイミングを見計らわなくても、会話へ入るタイミングを逃すことが減ります。その投稿にポジティブフィードバックをすることで、書いた人は「書いてよかった」と感じられます。

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会議で、採用しない意見にも判断を広げた価値を伝える

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この記事の著者

小島 優介(弥生株式会社)(コジマ ユウスケ)

 デンソークリエイトで20年間BtoB向けのツール開発を担当し、現在は弥生株式会社のエンジニアリングマネージャー。 「ハピネスチームビルディング」のテーマでIT系の月刊誌「Software Design」で2022年より3年間連載。デブサミ2020関西ベストスピーカー賞1位。Microsoft Bu...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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