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マンガ版「こうしす!」傑作選

遅れる初動、はびこる隠ぺい……組織がセキュリティインシデントに対応していくには?

第3回

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解説:教えてアカネちゃん

情報処理安全確保支援士 祝園アカネ
情報処理安全確保支援士 祝園アカネ

 インシデントゼロを目指し、インシデントに対して厳罰で臨むとかえって隠ぺいを招きます。隠ぺいにより初動対応が遅れれれば、取引先にも影響が及ぶ場合があります。しかし、その時に慌てて調査を始めるというのでは格好がつきません。できるだけ早期に検知して、むしろ取引先に第一報を連絡できるような体制を平時から整えておくことが欠かせません。

 しかし、情報共有を阻害する原因は、隠ぺいだけではありません。

 社内には色々な力関係があります。例えば、年功序列であったり、部門間の序列であったり、派閥争いであったり、労働組合であったり……。そうした力関係の中で本当にマズい案件については情報が共有されないこともあります。どうすればよいのでしょうか。

 まずは、社内の連絡先窓口を作ることが必要です。経営者の理解を求め、インシデントに即応するチーム(CSIRT)を設置するのが最優先となるでしょう。しかし、それはかならずしも部署である必要はありません。実際、CSIRTの形には、個人であったり、社内横断型のチームであったり、あるいは既存部署がその役割を兼ねる形があります。

 しかし、形だけのCSIRTでは意味がありません。「CSIRTを設置したが、相談・通報ゼロ件で今日も平和」となってしまえば、設置するだけ損となります。相談すら一件もないのでは、社内に認知されていないだけかもしれません。かといって、存在感を示そうとうるさく注意して回るだけでは、かえって隠ぺいを招いてしまうことになります。

 難しいことですが、日々の活動の積み重ねにおいて「CSIRTに相談すれば何とかしてくれる」存在として、地道に社内の信頼を集めていくことが「急がば回れ」となることでしょう。

お知らせ

 今回のストーリーは、小説版でも読めます。

 『こうしす!社内SE祝園アカネの情報セキュリティ事件簿

 2022/12/31までの期間限定でKindle Unlimitedで配信中。

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この記事の著者

井二 かける(イブタ カケル)

 情報処理安全確保支援士、プログラマー、作家。「物語の力でIT・セキュリティをもっと面白く」をモットーに、作家活動、セキュリティ啓発活動を行う。主な作品はアニメ「こうしす!」、小説「こうしす!社内SE祝園アカネの情報セキュリティ事件簿」(翔泳社)、マンガ「伏石ちゃんは意図に反したい ~ハッキングから始まる高校生活~」(京姫鉄道出版)など。 Twitter:@k_ibuta@kyoki_railway

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山口 しずか(ヤマグチ シズカ)

 やりたいことはなんでもやる精神で急成長中の漫画家。2019年よりマンガアプリにて商業連載デビュー。連載の傍ら企業のPR漫画や漫画動画など媒体・ジャンルにとらわれず時代に合わせた漫画を制作中。趣味はお酒と旅行。 Twitter:@shizuckey

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https://codezine.jp/article/detail/17077 2022/12/23 11:00

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