それでもコミュニケーションが苦手でつらい……どうすればいいか
では、こうした力はどうすれば身につくのか。だむは氏は「成功体験の積み重ね」をポイントとして挙げる。「コミュニケーションの苦手意識の根底には自信のなさがあります。100回失敗しても101回の成功体験があれば、自信を持って意見を言えるようになります。チャレンジしないと始まりません」。具体的なアクションとして提案するのは、会社のPL(損益計算書)を見せてもらう、経営者に「これから、プロダクトをどうするつもりですか?」と聞いてみる、ユーザーとの商談に参加させてもらうといった、開発の外側に少しずつ足を踏み入れることだ。「最初は小さな挑戦でもいいんです。そういう機会は作れるはずです」とだむは氏は言う。
一方、馬場氏にとって重要なキーワードは「やめないこと」だという。「最初からうまくコミュニケーションはとれません。相手のことをまだ理解していないから。失敗することを前提にして話し続けることが大事なのです。やめないで理解を深めていくと、次第に面白くなってきます。例えば、バグの原因がわかった瞬間はとても面白いですよね。みんなが同じゴールに向かって働いている、組織や人の動きが見えてくる瞬間も、同じように面白い瞬間がきっと来ます」。コードの世界で複雑な構造が解けたときの感覚を、組織や人の関係でも味わえる。その視点はまさに、CTOとして多くの人と向き合ってきた馬場氏ならではの実感だ。
AI時代が到来した今、エンジニアの女性へ送るメッセージ
セッション終盤、質疑応答の時間では「技術職や役員層が男性ばかりという構造問題をどう変えればいいか」という問いが寄せられた。
だむは氏はこれを「構造の問題でしかない」と断言したうえで、AI時代ならではの視点を加えた。「AIによって今、市場がリセットされつつあります。FDEは男女関わらず、まだ市場ができていません。ここに男女半々で参入できれば、AI時代のエンジニアの男女比率も変えられます。インターネットが出てきたときと同じくらいの、100年に1度の大転換期だと思っています」と、展望を語る。
最後に馬場氏は、CTOを目指す女性へのメッセージをこう結んだ。「高い目標を持てるのはすばらしいことです。CTOは本当に楽しいですし、ぜひ実現させてほしいと思います」。
2人が対談を通じて一貫して語ったのは、コードを書く力はあくまで出発点であり、その先に問いを立てる力、言語化する力、コード以外の世界に踏み出す力があるということだ。AI時代の「CTO力」は、特別な人だけのものではなくなっていく。
