「今必要なものがわかる」理想的なUIの作り方
では、初期表示に出す情報はどのように選定すべきでしょうか。出発点は「その画面でユーザーが解決したい問いは何か」を定義することです。理想は、ユーザーインタビューを行うことですが、困難な場合でも、想定する目的と利用場面を言語化するだけで優先順位をつけやすくなります。
不動産サイトであれば、まず「買う/借りる」、次に「沿線から探す/エリアから探す」といった大まかな軸で分け、段階的に条件を絞り込みます。エンジニアに馴染みのある概念で表現するなら、二分探索のように大きな分類から段階的に探索範囲を狭めるイメージです。最初から全物件と全条件を同列に展開はしません。

そのうえで、ユーザーの意思決定に直結する情報を「主要情報」、補足的な情報を「補助情報」として定義します。通常の物件一覧であれば、物件名や価格、間取りなどが主要情報に該当します。一方「特定小学校の学区」を指定して検索したユーザーにとっては、学区情報こそが主要情報になります。主要情報と補助情報は固定化されたものではなく、ユーザーの検索コンテキストによって変化する点に注意が必要です。
実装時のアプローチとして、表示候補となる項目に1位から10位までの優先順位を設定する方法が有効です。スマートフォン環境で3〜4項目しか表示できない場合は上位項目のみを初期表示し、画面サイズに余裕のあるPC環境では表示項目を適宜拡張します。優先順位の低い情報の置き場所に迷った場合は、詳細画面へ寄せる構成が最もシンプルです。「一覧画面は比較検討のインデックス」「詳細画面は深掘りのための領域」と役割を明確に分担させます。

もう一つ重要な視点は「全ユーザーに均一なUIを提供する」という前提を疑うことです。沿線から検索しているユーザーには最寄り駅と徒歩分数を強調し、学区から検索しているユーザーには学区情報を前面に出します。同じデータ構造であっても、エントリーポイントに応じて情報の優先順位を動的に切り替える設計が望ましいでしょう。

また、ユーザーの熟練度(ドメイン知識や操作慣れ)によっても最適な情報量は異なります。ヘビーユーザーにとっては、多機能なツールが一画面に集約されている構成が効率的な場合もあります。一方でライトユーザーに対しては、情報を徐々に開示するプログレッシブ・ディスクロージャー(段階的開示)の設計が必要です。「開発者自身が理解できるか」ではなく「初見のユーザーが迷わず操作できるか」という観点でのレビューが欠かせません。
冒頭ですべてを一覧化した画面をお見せしましたが、ここまでお話ししてきた情報設計を考慮すると、下記のようなUIが望ましいでしょう。違いを見比べてみてください。

