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IT Women Summit セッションレポート

AIで開発が速くなった分、何ができるようになった? 街に出て、先に作って、仕組みを整えた3人のエンジニアの実践

【Session 3】AIで「現場」を動かし「私」を変える! エンジニアの定義を広げていく、3つの挑戦

森山 咲(編集部)[著]

仕様が固まる前にプロトタイプを作る「開発先行」フロー

 2番目に登壇したのは、国内のIT事業会社でモバイルアプリ開発に携わるiOSエンジニアのくぼみ氏だ。「初回ミーティングに開発完了した状態で臨んだら、意思決定が爆速になった」というテーマで語った。

 一般的な開発フローでは、初回ミーティング後にプロダクトマネージャー(PdM)が仕様を固め、エンジニアが見積もりを出して開発に着手する。しかし、いざ作り始めると「ここの挙動をどうするんだっけ」という問いが後から連発し、追加ミーティングや手戻りが繰り返される。多くのエンジニアにとって「あるある」な状況だ。

「開発先行」のフロー
「開発先行」のフロー

 くぼみ氏が取り組んだのは、プロセスの順番をひっくり返す「開発先行」のフローだ。仕様が固まっていなくても、初回ミーティングの前にいったん自分なりのプロトタイプを作ってみる。開発中に浮かんだ疑問点を初回ミーティングで一気に解消し、そのままQA(品質保証のテスト)に入りリリースへ、という流れだ。対象は1日以内で作れる小規模な施策に限定するが、くぼみ氏は「いろいろ話し合う前にとりあえず作ってしまった方が圧倒的に速いという実感があります」と話す。

AIで「まず作る」ハードルが下がり、変わったこと

 具体的な進め方は3ステップに整理できる。ミーティング前は、入手できる資料をAIと一緒に読み込み、Why・Whatを自分なりに解釈してプロトタイプを作る。曖昧な点があっても立ち止まらず、自分のベスト案で作り切り、迷ったポイントはアジェンダに整理しておく。ミーティング中は動くプロトタイプを実際に見せながら疑問点をその場で潰す。意見が割れそうな箇所は「A案とB案を考えてみましたが、私はこういう理由でA案がおすすめです」と根拠ごと提案すると、意思決定が格段に早まった。ミーティング後は決まった内容をドキュメントに反映し、修正が済めばすぐテストに入る。

「開発先行」のフローで何が起きたか
「開発先行」のフローで何が起きたか

 このフローで得られる効果は大きく3つだ。うまくいけばミーティング1回で仕様も開発もほぼ完了し、開発見積もりすら不要になることもある。動く画面を見ながら話すため認識のずれが生まれにくく、議論が速く正確になる。PdMへの確認が減ることで、多忙なPdMのボトルネック解消にもつながる。「AIの登場で『まず作ってみる』というハードルが一気に下がったと感じています」とくぼみ氏。このフローを繰り返す中で、エンジニアが上流の意思決定に関わる感覚が生まれ、「プロダクトづくりが前よりずっと楽しくなりました。1番大きかったのは、自分が『これがいい』と思うアイデアを持ち込めるようになったことです」と、気持ちの変化も生まれた。

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「一軍コンテキスト」でチームメンバー全員の負担を軽減

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森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

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