はじめに
Visual Studio 2010に用意されたデータドリブンテストとは、Excelやデータベースなどに用意された表形式のデータを利用して、同じ単体テストを異なるデータを利用しながら複数回に渡って実行するための機能です。この機能を利用することで、様々なデータの組み合わせテストを行う際に、その組み合わせの分だけ単体テストを記述しなくても簡単に対象データの網羅性を高めるテストを実施することが可能となります。今回はデータドリブンテストの作成、実行手順を紹介し、最後にデータドリブンテストを利用する際の注意事項を紹介します。
対象読者
- .NET Frameworkを利用した開発プロジェクトに携わっている方
- Visual Studioの単体テスト機能に興味がある方
必要な環境と準備
本稿で解説する内容を実際に試す場合には以下のいずれかのソフトウェアが必要になります。
- Visual Studio 2010 Professional Edition
- Visual Studio 2010 Premium Edition
- Visual Studio 2010 Ultimate Edition
まだ環境がなく、製品版も所持していない場合には、Visual Studio 2010 Professional Editionの評価版をダウンロードして試すことができます。Premium Editionの評価版は用意されていませんが、これらを包含したUltimate Editionの評価版はダウンロードすることができます。それぞれのダウンロードページにはダウンロード手順やインストール手順についての記載がありますので内容を確認のうえ、作業を行ってください。
また、既にService Pack 1が提供されているので、こちらも適用しておくことをお勧めします。Service Pack 1のインストーラーもダウンロードして入手することができます。
次に本稿で利用するソリューションとプロジェクトです。実際に作業を行う場合には、本稿に付属の「事前のサンプルファイル(CodeZine-Test-04_before.zip)」をダウンロードし、任意の場所に解凍しておいてください。なお、本稿の内容をすべて実施したものを「作業後のサンプルファイル(CodeZine-Test-04_after.zip)」として用意してあります。作業結果を確認したい場合にはこちらのファイルを解凍したものをご覧ください。
データを次々変えながらテストする
いろいろなメソッドを作成していると、場合によって複雑に決められた条件に基づいて計算などの処理を行い、その結果を取得する場合があります。条件が1~2個程度であればそれぞれに単体テストを記述して、パターンごとのテストを実施することも可能ですが、入力や条件と出力結果の組み合わせを次々と変更しながらテストを行えると便利です。Visual Studio(以下、VS) 2010の単体テストにはデータドリブンテストという機能があり、まさにこのような場合に利用することで手間を軽減させることができます。
本稿では、以下の手順でデータドリブンテストを作成し、その機能を確認していきます。
- (準備)テスト対象メソッドの確認
- 通常の単体テストメソッドの作成
- テストプロジェクトのアプリケーション構成ファイルの編集
- データドリブンテスト用のテストデータの作成
- データドリブンテストを行うための単体テストの編集