スキャリティ・ジャパンは7月13日、ソフトウェア・デファインド・ストレージ製品の最新版「Scality RING7」と、オープンソースのマルチクラウドデータコントローラー「Zenko」を国内で提供開始したと発表した。
Scality RINGは、Amazon S3 APIに準拠したオブジェクトストレージを提供する製品で、複数台のサーバを束ねてストレージとして扱える。数十ペタバイトを越す大容量ストレージを構築でき、可用性と拡張性に優れる他、REST APIやNASといった複数の接続方法に対応している。Linuxが動作する一般的なx86サーバをサポートする。
米Scality Inc.の最高マーケティング責任者、ポール・ターナー氏は、昨今のランサムウエアをはじめとするサイバーセキュリティの脅威に対する対策の重要性を説き、Scality RING7の主な特長としてセキュリティ面の機能強化を挙げた。
すべての変更のバージョンコントロール、アクセスコントロール、データの暗号化、データ格納場所のロケーションコントロール、災害対策の非同期レプリケーションの機能などが追加された。バージョンを保持する世代や期間などはポリシーコントロールで制御できる。
データ書き込み後、一定期間が経過すると読み込み専用に設定できる「Write Once Read Many(WORM)」機能も実装された。コンプライアンス対策やランサムウェアからのデータ保護に活用できる。
また、オブジェクトとファイルとの相互運用性が追加され、ファイルとして書き込んだデータをオブジェクトとして読み込むことや、その逆の対応をシームレスに行えるようになった。これにより、例えば保存した動画ファイルをオブジェクトとして提供し、2日間だけ閲覧可能にするといった制御が簡単に行える。
もう一つの大きなアップデートとして、オープンソースのマルチクラウドデータコントローラー「Zenko(ゼンコ)」(Apache 2.0ライセンス)が日本時間の12日に公開された。
Zenkoの名称の由来として「非常に謎めいた狐(善狐)」というインテリジェントなイメージを気に入ったと説明するターナー氏。異なるプラットフォーム間を横断するインテリジェントなレイヤーをクラウドに提供し、Amazon S3準拠の単一インターフェースでデータにアクセス可能にする。
Zenkoを通じて書き込んだデータは、対象ストレージのネイティブフォーマットで格納されるため、Zenkoを経由せずに直接読み出せる。
2つの拡張機能「Backbeatデータワークフロー」と「Cluesoメタデータ検索」の開発が9月提供予定で進められており、データのシームレスなレプリケーションやライフサイクル管理、SQLの文法によるプラットフォームを横断した検索やサブセット化が行えるようになる。2017年末には商用版のリリースが計画されている。
なお、Scality RINGのS3ストレージ機能も同様に「S3 Server」というオープンソース(Apache 2.0ライセンス)として、GitHubとDocker Hub経由で提供されており、60万以上ダウンロードされているという。
販売は各アライアンスパートナーを通じて行われ、最小構成は200テラバイトから。
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斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)
株式会社翔泳社 ProductZine編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテックジン)」...
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