近年さまざまなデバイスが実用化し、コンテンツも充実してきたVR。実は1990年代にもブームがあり、その端緒となった1つが書籍『人工現実感の世界』です。当時VRがどのようなものとして捉えられていたのかが語られた同書を、このたび翔泳社で復刻。大幅に加筆して『VR原論』として5月22日に発売しました。
『VR原論 人とテクノロジーの新しいリアル』は、1991年に発売された名著『人工現実感の世界』をベースに現代の知見を加筆した、VRの可能性が余すことなく語られた1冊です。
今やどんどん実用化が進むVRですが、約30年前の構想が現代のブームに通ずるところは多い、と著者の服部桂さんは語ります。その共通点、そして差異を知ることは、今後VRがどういった方向に向かうのか、参入企業がどのような思想をもって推進しているのかを理解する手助けとなります。
本書ではその名のとおり「VRとは」という根源を問いながら、服部さんが人工現実感という訳語を当てはめた理由、ロボットと人間の関係性、そして当時ようやく形が見えてきたVRを実現する技術について紹介されていきます。また、当時著者が本に込めた熱意はそのままに、あとがきではこの30年間で発展してきたテクノロジーの文脈にVRがどう位置づけられるのかを解説します。
さらに、東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター長の廣瀬通孝さん、近年のVRブームの火つけ役でエクシヴィの代表であるGOROmanさんを招いた対談を収録。1990年代のVR技術や、これからのVRコンテンツについて話が繰り広げられます。
技術そのものだけでなく、VRの成り立ちや発展性に関心がある方は手に取ってみてください。
目次
『VR原論』のためのまえがき
第1章 人工現実感とは何か?
1 人工現実感の世界へようこそ
2 鏡の国への旅 ~3人の祖父達の軌跡
3 人工現実感をどうとらえるか
第2章 走り出した人工現実感研究
1 ロボットと人間が一体になる日 ~通産省工業技術院機械技術研究所
2 軍事用遠隔制御ロボット、グリーンマン ~アメリカ海軍海洋システムセンター
3 分子の世界のテレロボティクス ~東京大学工学部畑村研究室
4 多目的仮想環境ワークステーションの開発 ~アメリカ航空宇宙局エイムズ研究所
5 生産現場にやってくる人工現実感 ~東京大学工学部廣瀬研究室
6 医学・化学分野で実用化を目指すビジュアリゼーション ~ノースカロライナ大学コンピューター・サイエンス学部
7 〝北のシリコンバレー〟で進む仮想世界コンソーシアム ~ワシントン大学HITラボ
8 コンピューター・インターフェースに人工現実感を応用 ~IBMワトソン研究センター
9 仮想物体の手触りを伝えるバーチャル・サンドペーパー ~MITメディアラボ
10 空圧による仮想触覚研究 ~ラトガーズ大学
11 手足で触れるコンピューター・グラフィックス ~筑波大学構造工学系岩田研究室
12 立体情報をコンピューターに伝える3次元マウス ~東京工業大学佐藤研究室
13 時空を超えた臨場感通信 ~ATR通信システム研究所知能処理研究室
14 情報の理解を伝える ~AT&Tベル研究所マシンパーセプション部門
15 “As We May Think”の通信技術開発 ~NTTヒューマンインタフェース研究所
第3章 Reality Engine Builders 人工現実感を実現する製品
1 VPL社 ~データグローブ、アイフォン、RB2ほか
2 エクソス社 ~デクストラス・ハンド・マスター
3 バーチャル・テクノロジーズ社 ~サイバーグローブ
4 オートデスク社 ~サイバースペース・プロジェクト
5 センス8社 ~ワールドツール
6 ポップオプティクス研究所 ~LEEPシステム
7 コンセプト・ビジョン・システムズ社 ~ARVIS
8 インターナショナル・テレプレゼンス社 ~ステレオプティクスシリーズ
9 フェーク・スペース研究所 ~Molly, BOOM
10 シムグラフィックス社 ~フライング・マウス
11 ティ・ニ・アロイ社 ~触覚を伝えるデバイス
第4章 人工現実感の応用と展望
1 創世紀から幼年紀へ
2 街へ出た新しい現実
3 レッドウッドのコロンバス・デイ ~VPL社ジャロン・ラニアー氏との1日
4 ビッグ・ピクチャー
5 鏡の中の生態系
VR30——もしくは長いあとがき
鼎談 VR創世期を知って初めて未来が見えてきた
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渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)
翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。
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