とある鉄道会社の社内システムエンジニア、祝園アカネの悲哀を描いたインディーズアニメ『こうしす!』が、ノベライズ版『こうしす!社内SE 祝園アカネの情報セキュリティ事件簿』として2月13日(木)に発売となりました。アニメで描かれた〈INCIDENT1 隠ぺい〉の他、書き下ろしで〈INCIDENT2 お金はどこに消えた?〉と〈INCIDENT3 さようなら京姫鉄道株式会社〉(PDF特典)も収録。社会に欠かせないインフラの鉄道で重大なシステムトラブルが起きたら、いったいどうなってしまうのでしょうか……?
『セキュリティ事案ゼロは当たり前!』
これ、なんだか分りますか? 弊社の今年度の標語です。
もちろん、事故もインシデントも起きないのがベストです。しかし、絶対というものはありません。そんなことができるなら、鉄道事故も交通事故も既に過去の遺物となっているはずです。事故はゼロにできない。セキュリティだって例外ではありません。
「プロローグ」より
『こうしす!社内SE 祝園アカネの情報セキュリティ事件簿』は、京都と姫路を結ぶ京姫鉄道の広報部システム課に配属されたシステムエンジニアの祝園アカネが、入社3年目ながらセキュリティインシデントに立ち向かう姿を描いた小説です。原作はプログラマーで作家の井二かけるさんが手がけたインディーズアニメで、2017年に公開されて現在も制作が続いています。
本書はそのアニメで描かれた〈INCIDENT1 隠ぺい〉を収録。ウイルス感染の隠蔽から始まり、信号機の異常、情報共有の停滞、F5キーアタックで致命的な打撃を受ける輸送管理システムなど、身の毛のよだつトラブルに襲われる京姫鉄道がいかに対処し復旧させていくかが見ものです。
また、書き下ろしのエピソードとして〈INCIDENT2 お金はどこに消えた?〉を収録、さらにPDF特典として〈INCIDENT3 さようなら京姫鉄道株式会社〉も。情報漏洩などシステムエンジニアなら絶対に遭遇したくないトラブルにどう対応すればいいのか、細やかな知見も豊富に詰め込まれています。
組織の情報セキュリティに関心がある方、まさに仕事として携わっている方など、作中で起こるトラブルは血の気が引くかもしれませんが、ぜひ楽しく読んでいただければと思います。
ストーリー
〈INCIDENT1 隠ぺい〉
社内システムに同時多発的にトラブルが発生。しかし、隠ぺいと連絡不備により、現状把握さえできないまま、事態は悪化の一途を辿る。サイバー攻撃が疑われるも、対応は後手に回り、影響は輸送指令所にまで波及。ついには全列車停止命令が発令され──
〈INCIDENT2 お金はどこに消えた?〉
2020年7月。世間はスポーツの祭典で盛り上がるなか、重要インフラである鉄道会社は厳戒態勢――のはずだったが、思わぬトラブルが発覚する。取引先のデザイナーから報酬が振り込まれていないと連絡が入ったのだ。しかし、振込は正常に行われており――
〈INCIDENT3 さようなら京姫鉄道株式会社〉
祝園アカネは次期社長から特命を受ける。経営破綻し、京姫鉄道グループの傘下で再出発する零細私鉄『淡鳴急行』のセキュリティ対策を支援しろというのだ。現地に向かうが、歓迎されていない様子。実は、企業文化を無視したセキュリティ規程が押しつけられていた。アカネはセキュリティ規程の作り直しを決意する――
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渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)
翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。
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