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元GoogleのデザインリードがLINEデザイン組織のトップに 金善琯さんのデザイン組織論とは

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 2019年の10月。LINEのクリエイティブを総括するクリエイティブセンターに、新たなセンター長が着任した。 Googleでグローバルサーチ、 Google+のデザインをリードし、 Googleの様々なサービスのデザインを統合する「Kennedy Project」など Googleの核心プロジェクトを導いてきた金善琯(Kim Sunkwan、以下Sunkwan)さんだ。 Googleで組織をリードすることを経験したSunkwanさんは、チームマネジメントでなにを大切にしてきたのか。リーダーに不可欠な要素とは。今後のLINEデザイン組織の展望にも触れながら、語ってもらった。

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金善琯 (Kim Sunkwan)さんの経歴

  • 1976年:ソウル生まれ
  • 2000年:Topranker
  • 2001年:Designstorm
  • 2003年:Vinyl
  • 2004年:Yahoo
  • 2007年:Google
  • 2019年10月〜:LINE

2007年に誕生したGoogle Koreaに勤めていた際に、Google本社との共同プロジェクトを立て続けに成功させ、その実力が認められたことでGoogle本社にスカウト。韓国人としては初の本社所属のビジュアルデザイナーとなった。

本社ではGoogleグローバル検索、Google+、Googleコマース、Googleカレンダー、YouTube、Kennedyプロジェクトなどさまざまなサービスのデザインを手がけた。全世界的に有名なPokémon GOを作ったNianticでIngressやFieldTripなどの拡張現実プロジェクトを進めた。

現在は、LINEの日本におけるデザイン開発拠点である「クリエイティブセンター」のHead of Creativeと、LINEの海外展開を主導するLINE Plusのデザイン組織「Creative Lab」のリードも兼務。

クリエイティブセンターにおいてはデザイン組織を統括する立場として、デザイン戦略とビジョンの設計、デザイン哲学、およびそれに基づく新技術の設計・開発・リリースに重点を置き、デザインの一貫性、デザイン経営、UXのベストプラクティスの創出などを主導。Creative Labでは、クリエイティブセンターの支援業務やグローバルでのブランドデザイン戦略の構築を担っている。また今後、未来志向的にLINEのデザインが進んでいく方向性についての研究に携わるなど、効率的なデザイン開発を意識し両組織を運営している。

また、大のサッカーファンでもあり、イングランド、ドイツ、スペインそれぞれのサッカーとデザインそして旅行に関する本も出版している。

デザイン?絵、音楽、動作、すべてが言葉だ

――前職のGoogleでは、Googleグローバル検索、Google+をはじめ、Googleのさまざまなデザインに携わっていらっしゃいましたが、どのようにサービスデザインを作りあげてきたのでしょうか。

Googleで数多くのプロジェクトに関わりましたが、その中で鮮明に記憶に残っているふたつのプロジェクトを例にお話します。

デザインは「する」のも大事だが「説明」が半分

ひとつは通称「スカンクワークス(skunkworks)」というプロジェクトです。本社のデザイナーを含む世界中のGoogleデザイナーの中から選ばれた数名のデザイナーが参加し、Googleデザインを革新していくためのGoogleグローバル検索プロジェクトでした。これを私がリードしていた時のことです。

ホワイトボートに描きながらデザインのコンセプトを説明する際に、私は小説『星の王子様』に出てくるヘビが象を食べた形状を描きました。ヘビはGoogle検索の窓で、象は検索結果だということを説明したかったからです。つまり、ヘビの中に入ったものは、ユーザーが探そうとしている検索結果、ということです。

どんなものを内包していても、形が変わっても、ヘビがヘビであるという事実は変わらない――。

Google検索の窓は、ユーザーが望む結果を探し出すものだというストーリーテリングをしました。このように抽象的な表現でデザイナーたちに説明したことで、プロジェクトを成功に導くことができたと思っています。

私はというと、これをきっかけにGoogleの本社にスカウトされ、よりGoogleにとって核心的なプロジェクトを任されることに。検索デザインリニューアルをはじめ、Google+ほか、たくさんのプロジェクトに参加しました。そのときに携わった「ケネディプロジェクト(Kennedy Project)」はGoogleのデザイン言語を確立し、今日のGoogleマテリアルデザインの基礎となっています。

日常にある、あらゆる物やストーリーを、デザイン的に見る目を持たなければならない

もうひとつのエピソードは、Google+のプロジェクトを任されていたときのことです。私はABBAの『Dancing Queen』を流し、このように言いました。「時間が経っても持続できるGoogleのデザインにしたい」と。トレンドより持続性を追おう、と伝えたのです。

Appleのプロダクトにも影響を与えているDieter Ramsのデザインや、アイデンティティを維持しながら今なお進化を続けるフォルクスワーゲンのデザインなどからもわかるよう、“一瞬のトレンドではない持続性”は私たちの周りに馴染んでいることにも気付きました。より多くのユーザーに愛されより長い間使ってもらえる、そういったものづくりには必ずこの「持続性のあるデザイン」が備わっていたのです。

デザインコンセプト策定で大切にしている3つの方法論

そのような考えのもとで、Google+のデザインは「イームズチェア」をモチーフに進めました。残念ながら開発上の問題で実現はしませんでしたが、後日このアイディアは、Googleマテリアルデザインプロジェクトで積極的に活用されたのです。

デザイナーがなにかをつくりあげるにあたり、ビジュアルデザインコンセプトは“スタメン”であると考えています。UX/UIなど多様なデザインプロセスが実務作業には発生しますが、コンセプトを定める作業は、デザインプロセス全体の30%を占めるのです。その過程で私が大切にしている哲学であり方法論は次の3つです。

  1. 理解しやすいデザイン
  2. ストーリーがあるデザイン
  3. 持続性があるデザイン

この3つの規則を繰り返しながらさまざまなサービスのデザインに携わるうちに、私はこれらに共通し、かつ包括するものとして「シンプリファイド(Simplified)」という考えを自身のデザイン哲学として大切にするようになりました。

シンプルにすることでユーザーは理解しやすくなり、シンプルであるがゆえにストーリーは広がり、シンプルだからこそ飽きのこない持続性のあるデザインが生まれる――。そう考えるようになったのです。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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https://codezine.jp/article/detail/13458 2021/01/12 08:00

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