アドビは5月23日、「Apollo mini Camp @ Tokyo」と称し、開発者向けの小さな勉強会を都内で開催した。申し込み開始から6時間で250名の定員が満席になるなど、Apolloに対する日本の開発者の注目度も高まっているようだ。
アドビは5月23日、「Apollo mini Camp @ Tokyo」と称し、開発者向けの小さな勉強会を都内で開催した。申し込み開始から6時間で250名の定員が満席になるなど、Apolloに対する日本の開発者の注目度も高まっているようだ。
当日は、米アドビ社のシニアプロダクトマネージャー Mike Chambers氏、プラットフォームエバンジェリスト Dany Dure氏が来日し、アドビ社の太田禎一氏が通訳を務め、Webと融合し新しいデスクトップアプリケーションの可能性を実現する「Apollo」の最新情報や、各種デモ、今後の展開が語られた。
まずApolloの外観として、「クロスOSの実行環境」「デスクトップで動作するリッチインターネットアプリケーション」「HTMLやAjax、FlashといったWeb開発のスキルをそのまま活用可能」という特徴が語られた。マイクロソフト社の新技術との絡みに関しては、SilverlightはFlashと競合するかもしれないが、WPFはC#~ASP.NETなどから、ApolloはJava、HTML、Flashなどからの流れが主なため、結果的に競合はしないと述べた。
具体的なサンプルに、「finetune.com」(プレイリストを登録・共有できる音楽サイト)の導入事例を挙げ、Apolloで作成したアプリケーションにより、利用者にとっては「ブラウザとは独立してBGMを流せる」「Webとデスクトップを連動できる」、開発者にとっては「Webのコーディングをそのまま再利用できる」といったメリットが生まれることを示した。色々なWebコンテンツをマッシュアップするWeb 2.0のスタイルに、さらにローカルなデータも加えられるのがApolloの強みであると強調した。
Apolloの内部では、Flashベース(ActionScript 3)、HTMLベース(JavaScript/CSS/AJAX/XHTML)の2種類の主要テクノロジーが動いており、片方だけを利用することも組み合わせて使うこともできる。また、これらは非常にローレベルで統合されており、オブジェクト参照を直接受け渡すことなども可能。組み合わせることにより、ブラウザだけではできないことも実現する。
APIで「ファイルI/O」機能が提供されるため、ローカルファイルへアクセスできるほか、「オンライン/オフラインを自動で検知する」ネットワーク機能など、Webとデスクトップをつなぐアプリケーション開発の環境が整っている。また、開発の実演も行われ、シンプルなコーディング・修得コストの低さが示された。
今後の予定として、パブリックβを今夏に、Apollo 1.0を今秋にリリースする。Apollo 1.0では、ランタイムが英語となるが、日本語のアプリケーション開発には問題ないという。また、7月10日に「Adobe Apollo Developers Night」、11月1日~2日で「MAX 2007 JAPAN」を開催することも発表した。
その他に、パプリックβで追加される次のような各種機能の紹介やデモが行われた。
- ドラッグ&ドロップ、クリップボードの対応
- PDFのサポート
- HTMLの透過性のサポート
- OS固有のファイルダイアログの利用
- 複数ウィンドウの対応
- オンライン/オフラインサービスのAPI
- Apolloで作成したアプリケーションに特定の拡張子を関連付ける
以上のように、アイデア次第では、未知の体験を予感させてくれそうな技術だ。画期的なキラーアプリの登場や、Flashのような幅広い普及を期待して、今後の展開を見守りたい。
参考資料
- 書籍 「Apollo for Adobe Flex Developers: Pocket Guide」、Mike Chambers・Robert L. Dixon・Jeff Swartz 著、Oreilly & Associates Inc、2007年4月
- Apolloポケットガイド邦訳WIKI
- VIDEO.ONFLEX.ORG
- http://weblogs.macromedia.com/mxna/
- http://labs.adobe.com/technologies/apollo/
- http://www.mikechambers.com/blog/
- http://weblogs.macromedeia.com/
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