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FileMaker Pro によるソリューションの規模と運用形態

第2回 FileMakerの運用環境

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2007/10/31 18:10

この連載では、システム開発において採用が増えつつある「FileMaker」というデータベースソフトウェアについて、最前線で活躍するエンジニアがリレー形式でその魅力を紹介します。第2回は、FileMakerによるソリューションの規模や運用形態について、詳しく解説します。

目次

はじめに

 本連載は、全12回(予定)のリレー形式で「FileMaker Pro」というデータベースソフトウェアを紹介していきます。第1回は、株式会社ジェネコムの高岡氏がFileMakerによるシステム開発の概要やメリットなどを紹介しました。第2回は、私、Juppoグループの永井が、FileMakerを使ったソリューションの規模や運用形態について、特長や留意点を交えつつ解説します。

具体的な開発手法の前に……

 さて、ソリューション開発に着手する前の検討要素として、「運用環境」があります。システム開発全般にいえることですが、導入先の規模や目的を想定して運用環境を選択する必要があります。

 個々の社員がツールとして活用する程度なのか、情報の共有・集約・分析まで行いたいのか、不特定多数に対して情報を提供/収集したいのかなど、目的・規模はさまざまです。当然それらに合わせてシステム内容や運用環境も、シンプルになったり複雑になったりします。

 当然、FileMakerが提供する運用環境にもいくつかの選択肢があり、条件によって必要となるソフトウェアやハードウェアも変わってきます。

 今回は具体的に開発を進めて行くにあたって、どの環境を選択する(あるいは組合せる)かを判断するための情報を紹介します。

クライアントの目的と意向に添った選択

 前述のとおり、FileMakerでのソリューションを提案する場合、クライアントの規模や用途・目的に応じて、運用環境を選択する必要があります。

 導入規模には次の3種類があり、

  1. スタンドアロン環境
  2. 小規模ネットワークによる情報共有
  3. 中・大規模ネットワークによる情報共有

 さらにデータの共有方法は、大きく分けてFileMaker Proを使用したクライアント・サーバー型の運用と、Web公開機能を利用した運用の2種類があります。

規模による運用環境の種類
情報共有 運用規模 運用形態
しない スタンドアロン 1クライアント FileMaker Proを使用
する 小規模ネットワーク C/S型
(同時9クライアント
以下)
FileMaker ProをサーバーとしたC/S型
Web公開型
(同時5クライアント
/セッション以下)
FileMaker ProをサーバーとしたインスタントWeb公開
中規模ネットワーク C/S型
(同時250クライアント
以下)
FileMaker ServerをサーバーとしたC/S型
Web公開型
(同時100クライアント
/セッション以下)
FileMaker Server AdvancedをサーバーとしたインスタントWeb公開
大規模ネットワーク Web公開型
(上記以上)
FileMaker Server/FileMaker Server AdvancedをサーバーとしたカスタムWeb公開
 ODBC/JDBCを利用した接続を行う場合にはFileMaker Server Advancedが必要になります。

 上記の内容はあくまで規模を軸として分類をしましたが、導入先の目的にあわせて環境を選択することも必要です。また、それぞれの機能を複合的に運用することもできます。クライアントの予算・コスト・機能と照らし合わせて、バランスの良い運用環境を選択することが重要となるでしょう。

 それでは、上記の各運用形態について詳しくみていきます。

スタンドアロンソリューション

 FileMakerのデータベースファイル(以下、DBファイル)を1台のPC上に保存し、そのファイルをFileMaker Proで動作させ運用すること、これを「スタンドアロンでの運用」と呼びます。スタンドアロンは運用方法の選択肢の中では最小単位であり、FileMaker Proによるシステム構築の基本中の基本と言えます。

 弊社がシステム構築を受注する場合、そのほとんどが後述のC/S(クライアントサーバー)やWEB公開での運用を前提としていますが、まずはスタンドアロン環境で開発に着手することになります。というのも、C/Sでの運用上留意しなければならない部分(後述)はあるものの、スタンドアロンとして開発したソリューションファイルがそのままC/Sのソリューションへシフトできるからです。いくつかの設定を行うだけで情報共有が可能になり、C/S型運用のために新たに追加開発をする必要がありません。次の規模へのステップアップのしやすさも、FileMaker Proの大きな特徴と言えるでしょう。

 ハードウェアの動作環境の面では、多少のメモリー増設が必要な場合もありますが、現在市販されている一般的なPCのスペックで十分運用に堪えると思います。

 既存のPCへの導入時には、ハードウェア以外にOSバージョンも注意が必要です。現行のFile Maker Pro 9の動作環境は、WindowsプラットフォームではWindows 2000が対象外ですし、Macプラットフォームも10.4.8が最低条件となっています。不特定多数への配布や、導入規模が大きい場合は事前に確認をしておいた方が良いでしょう。

スタンドアロン運用時における留意点

 ところでスタンドアロンでの運用の場合、PC上にデータがあることから、C/SやWEB公開に比べてファイルの散在化、情報漏えいのリスクは高いと言えるでしょう。FileMakerファイルのアクセス権設定機能によるアクセス制御は必須です。また、アプリケーションやOSが異常終了した場合、その影響が直接DBファイルに及ぶため、最悪の場合DBファイルの破損につながる場合があります。こまめなバックアップは運用上、特に注意したい点です。

自己実行型アプリケーションとしての運用
 余談ですが、論文集や画像集、販促ツールなど、広く配布することを目的にシステムを開発する場合、ランタイムという選択肢があります。スタンドアロンでの運用が前提となりますが、ランタイム化されたシステムはPC上で自己実行型アプリケーション(FileMaker Proを必要としない)として動作します。自社独自のパッケージソフトとしての展開も考えられます。
ランタイムソフトの運用上の留意点は、スタンドアロンの場合と同様です。
なお、このランタイムアプリケーションの作成には「FileMaker Pro 9 Advanced」が必要となります。このFileMaker Pro 9 Advancedは、文字通りFileMaker Pro 9の機能拡張版で、開発を進めて行く上で便利な機能が実装されており、その有効性は価格差以上であると思います。

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著者プロフィール

  • 永井 求 (ナガイ モトム)

    株式会社ジュッポーワークス IT solution ディレクター。 1995年に入社。当時、自身の制作データ管理のために、事務所の傍らに置いてあったソフトに手を伸ばす。それがきっかけとなり、この10数年の間にそのソフトを活用しての開発実績を数多く積む。

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