米Microsoftは、公式ブログにおける12月5日(現地時間)付の投稿で、「2025年に注目すべき6つのAIトレンド」を発表した。
1つ目のトレンドでは「AIモデルはより有能で有用になる」として、OpenAI o1のような高度な推論能力を備えたモデルによる、人間が難解な問題を解く時にするような論理的なステップを経た複雑な問題の解決や、Microsoftの小規模言語モデルPhiによる高品質なデータのキュレーションを通じた、モデルの性能や推論の能力向上、同じくMicrosoftのOrcaやOrca 2による合成データの小規模言語モデルにおける事後学習への活用を例に、AIのさらなる進化を予言する。
2つ目のトレンドでは「エージェントが仕事のあり方を変える」として、2025年には新世代のAIを搭載したエージェントが、さらに多くの業務を自動化してタスクを代行するようになるとの見通しを示した。メモリ、推論、マルチモーダルといった能力の進化によって、エージェントは高度なスキルと新たな対話方法を駆使して、より複雑な業務の遂行が可能になる。
3つ目のトレンドでは「AIアシスタントが日常生活をサポート」として、Microsoft Copilotが2025年には仕事以外の生活におけるさまざまな場面で、人々をサポートしていくと予告する。人々のつながりをサポートし、機能を増やしつつ今後1年間を通じてCopilotを進化させるとして、1日の始まりにニュースや天気のサマリを読み上げるCopilot Daily、閲覧中のWebページを理解して質問に答えたり、次のステップを提案したりするCopilot Visionなどを提供するとともに、意思決定もサポートするようになるという。
4つ目のトレンドでは「AIは時間とともに、より効率的に資源を利用するようになる」として、MicrosoftがAMD、Intel、NVIDIAなどとの協力によって行ってきた、Azure MaiaやCobaltといったカスタムシリコンシリーズ、大規模AIシステムを効率的に冷却するための液冷熱交換ユニットといったハードウェアの効率化に加えて、今後数年以内にAIが稼働するデータセンタの冷却に、水を一切使用しない新システムを導入して、コールドプレートなどの高効率な液冷システムの拡充予定を明らかにした。さらに、ほぼゼロカーボンの鋼材やコンクリート代替品、クロスラミネート木材といった低炭素建材の使用のほか、世界中でクリーエネルギーソリューションの拡大を進めているという。
5つ目のトレンドでは「評価とカスタマイズが責任あるAI構築の鍵となる」として、Microsoftが進める「責任あるAI」に向けた取り組みの1つとして進めている、AIアプリケーションの構築における厳密で包括的なテスト開発を挙げる。同テストでは、ハルシネーションのような内部の脅威に対する評価に加えて、高度化する外部からの攻撃を検出する能力の向上に注力していると述べた。
6つ目のトレンドでは「AIは科学的な進歩を加速させる」として、2024年にMicrosoft Researchが発見した、AI駆動のタンパク質シミュレーションシステムを使用した、生体分子ダイナミクスをシミュレートする方法「AI2BMD」によって、これまで解決できなかった課題への挑戦を支援し、タンパク質設計、酵素工学、新薬開発といった生物医療研究の加速への寄与を例として挙げ、2025年には科学研究におけるAI活用が世界のもっとも喫緊の課題解決を、どのように推進していくかに関心が集まるだろうとの見方を示している。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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