SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

LivewireとInertiaによるLaravelのフロントエンド的画面作成入門

LaravelのInertia+Vueの組み合わせでフロントエンド的な画面を作成する【応用編】

LivewireとInertiaによるLaravelのフロントエンド的画面作成入門 第4回

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Inertiaにおけるフォームの実装方法

 次に、図1のカクテル追加画面での処理について説明します。

データ追加のアクションメソッドは従来通り

 図1のカクテル追加画面での[追加]ボタンをクリックした際のパスを/addCocktail、その際に呼び出されるアクションメソッドをaddCocktail()とした場合、そのコードはリスト3のようになります。

[リスト3]first-inertia/app/Http/Controllers/CocktailController.php
class CocktailController extends Controller
{
  :
  public function addCocktail(Request $request)
  {
    $request->validate([  // (1)
      "cocktailName" => "required",  // (1)
      "cocktailPrice" => "required|gte:100"  // (1)
    ]);  // (1)
    $cocktail = new Cocktail();  // (2)
    $cocktail->name = $request->cocktailName;  // (2)
    $cocktail->price = $request->cocktailPrice;  // (2)
    $cocktail->save();  // (2)
    return redirect("/cocktailList");  // (3)
  }
}

 リスト3のコードを見るとわかるように、Inertiaを利用していても、データ処理コードは、Bladeを利用した場合と全く同じものとなります。

 (1)では入力データのバリデーションを行っています。カクテル名のリクエストパラメータであるcocktailNameには必須チェックを、同じくカクテルの金額であるcocktailPriceに必須チェックと最小値チェックを行っています。これらは、第2回で紹介したものと同じバリデーションです。

 その後(2)でデータベースへの保存処理を行い、(3)でカクテルリスト画面にリダイレクトしています。

フォーム用のFormコンポーネント

 一方、画面そのものであるコンポーネントのコードは、当然Bladeとは違い、リスト4のようになります。

[リスト4]first-inertia/resources/js/pages/cocktail/CocktailAdd.vue
<script setup lang="ts">
import {Link, Form} from "@inertiajs/vue3";
interface Props {  // (1)
  errors: {  // (2)
    cocktailName?: string;  // (3)
    cocktailPrice?: string;  // (4)
  }
}
defineProps<Props>();
</script>

<template>
  <h1>カクテル管理</h1>
  <section>
    <h2>カクテル追加</h2>
    <Form action="/addCocktail" method="post">  // (5)
      <label for="cocktailName">カクテル名</label>  // (6)
      <input type="text" name="cocktailName" id="cocktailName">  // (6)
      <div v-if="errors.cocktailName">{{ errors.cocktailName }}</div><br>  // (7)
      <label for="cocktailPrice">金額</label>  // (8)
      <input type="number" name="cocktailPrice" id="cocktailPrice">  // (8)
      <div v-if="errors.cocktailPrice">{{ errors.cocktailPrice }}</div><br>  // (9)
      <button type="submit">追加</button>
    </Form>
    <Link href="/cocktailList">カクテルリストへ戻る</Link>
  </section>
</template>

 リスト4の(6)と(8)に注目すると、通常のフォームの記述と同じであることがわかります。(6)がカクテル名(リクエストパラメータcocktailName)の入力欄、(8)がカクテルの金額(リクエストパラメータcocktailPrice)の入力欄です。

 通常のフォーム記述と違うのは、これらの入力コントロールタグがformタグではなく、(5)のように大文字で始まるFormタグに囲まれている点です。このFormタグは、Inertiaによって用意されたFormコンポーネントであり、Linkコンポーネント同様に、この画面が表示される際、およびリダイレクトなどで別の画面へ遷移する際も、全画面を再レンダリングするのではなく、シングルページアプリケーションのように必要な部分のみレンダリングされるようになります。

バリデーションメッセージはPropsを利用

 さらに、Formコンポーネントを利用することで、サーバサイドバリデーション、すなわち、アクションメソッドにおけるバリデーション(リスト3ならば(1))の結果を効率よく扱えるようになります。それが、リスト4の(7)と(9)です。

 まず、サーバサイドでバリデーションが行われ、その結果、入力画面が再表示される場合、バリデーションメッセージはPropsとして渡されます。そのため、リスト4の(1)のようにPropsインターフェースを定義し、その中に(2)のerrorsプロパティを定義します。

 プロパティ値はオブジェクトです。そのerrorオブジェクト内には、リクエストパラメータ名をプロパティ名、文字列を値とするプロパティを定義していきます。(3)がリクエストパラメータcocktailNameであるカクテル名のバリデーションメッセージ、(4)がリクエストパラメータcocktailPriceであるカクテルの金額のバリデーションメッセージが格納されるプロパティです。ただし、これらのバリデーションメッセージは、入力値が適切な場合は存在しません。そのため、?を記述してオプション扱いとします。

 このようにしてPropsとして渡されるバリデーションメッセージを表示しているのが、(7)と(9)です。(7)がカクテル名に関するバリデーションメッセージ、(9)がカクテルの金額に関するバリデーションメッセージです。ただし、バリデーションメッセージはオプション扱いなので、v-ifを利用して、メッセージがある場合のみ表示させるようにしています。

次のページ
もうひとつのフォームの実装方法useForm()ヘルパー

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
LivewireとInertiaによるLaravelのフロントエンド的画面作成入門連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

WINGSプロジェクト 齊藤 新三(サイトウ シンゾウ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。Web系製作会社のシステム部門、SI会社を経てフリーランスとして独立。屋号はSarva(サルヴァ)。HAL大阪の非常勤講師を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/22255 2025/09/26 11:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング