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イベントレポート

東レが進めるモダナイゼーション、Cursor+GitLabで目指すは「ワクワクする開発」

 50年来のレガシーシステムを抱えながら、近年AI駆動開発を始めとした新しい開発手法を採用しモダナイゼーションを進める企業がある。世界でも有数の化学繊維メーカーとして、ファーストリテイリングや航空機にその素材を提供する東レだ。2023年のAWSへのクラウドリフトから始まったモダナイゼーションはこれまでどのように進んできたのか。「GitLab Epic Tour Japan 2025」に登壇した同社 デジタルソリューション部門 統合システム推進部長 坂井秀樹氏、東レシステムセンター アプリケーション基盤サービス部 主任部員 美里晋一氏、東レシステムセンター アプリケーション基盤サービス部 塙賢哉氏がその道程と目指す未来を解説した。

東レが進めるモダナイゼーション、目指すはAIを活用した「ワクワクする開発」

 冒頭で坂井氏は、東レの事業とシステム開発の現況について説明した。 東レは、グローバルで従業員が約5万人、売上が2兆5000億円に上る日本でも有数の大企業だ。化学繊維を用いた製品をベースに、航空機の炭素繊維などにもその技術が用いられている。

 一方で、同社システムの状況については「非常にモノリシックなものがいっぱいあって、それがスパゲッティ状につながっていて、とても大変な状況」と坂井氏は説明する。50年ほど前からホストコンピューターを導入し、SAPも2000年代初頭から導入。さらにJavaをベースとした自社製フレームワークを開発し200を超えるシステムが存在している。

東レにおけるシステムの状況
東レにおけるシステムの状況

 そこで現在、同社が進めるのが、基幹システムの刷新プロジェクトだ。ホストコンピューター、SAPのECC6.0などを新しいプラットフォームに変えるプロジェクトを進めている。これと歩調を合わせて、自社製フレームワークを利用している周辺システムのモダナイズも進めている。

 このモダナイズの狙いと詳細については、同社でアプリケーション基盤サービス部の主任部員を務める美里氏から解説された。

 同社は2023年からわずか1年半でAWSへのクラウドリフトに取り組み、その次のフェーズとして2025年からモダナイゼーションを実施。既存メンバーに加えて新規メンバーを継続的に募集し、その知識を融合しながら進めている。

クラウドリフトからモダナイゼーションへ
クラウドリフトからモダナイゼーションへ

 美里氏は、アプリケーションモダナイズを「4つの柱」で進めていると紹介した。その4つとは「セキュリティの向上」「自動化・CI/CD」「モノリシックなシステム群からの脱却」「常に新しい技術の採用」だ。これらを掲げながら、20年来の古いアプリケーションを新しい技術へジャンプアップさせ、同時に従来型システムの運用に忙殺されているエンジニアをビジネスに貢献できるIT集団に変えていくことが狙いだ。

 同社が目指すモダンアプリケーションとはどのようなコンポーネントで構成されているのだろうか。美里氏は、GitLabを中心とした7つの技術要素「セキュリティチェック」「CICDで開発・運用サイクルを回す」「クラウドネイティブな開発と運用」「モダンアーキテクチャ」「AI駆動開発」「UI/UXデザイン」「アジャイル開発」を紹介した。

モダンアプリの構成要素
モダンアプリの構成要素

 セキュリティチェック並びにCI/CDのサイクルを回すための土台としてGitLabを採用し、さらにCursorとGitLab Duoの組み合わせによってAI駆動開発を実施。加えて、アジャイル開発やUI/UXデザインの改革なども織り交ぜながらモダナイズを進めている。

 取り組みを開始してから3カ月ほどで試行的なモダンアプリケーション第1弾を開発し、現在は試行フェーズから本番開発フェーズに移行している状況だ。来年度以降はこのアプリを量産、あるいは内製化していくことを目指している。「ワクワクを毎日体感しながら進めていきたい」と美里氏は締めくくり、AI駆動開発の説明へとバトンを渡した。

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東レのCursor活用術──実装ルールとチェックプロンプトで作る「開発の再現性」

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この記事の著者

中野 佑輔(編集部)(ナカノ ユウスケ)

 SIer勤務を経て2025年6月よりCodeZine編集部所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/22760 2025/12/17 11:00

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