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AI導入、あの組織はどう乗り越えた? 現場の試行錯誤とベストプラクティス

スクウェア・エニックスに学ぶ、組織の壁を超えた「AI導入方法」とは? ──アイデアを実装する若手主導の技術的挑戦


 多くの企業がAIの導入を模索する一方で、取り組みが単なる技術的検証(PoC)に留まり、組織変革や具体的な現場の成果に結びつかないケースは多い。AIが真の価値を発揮するには、単なるツール導入を超え、現場の課題に「定着」させるプロセスが不可欠だ。本稿では、株式会社スクウェア・エニックスで行われた社内コンテスト「プロセス改善AIチャレンジ」で技術検証を担った3名にインタビューを行った。AI&エンジン開発ディビジョンの星野貴彦氏、情報システム部の窪田庄太氏、情報システム部マネージャーの小林正幸氏に対し、AIがもたらす技術的効率化と組織変革のヒントを聞いた。また、同コンテストを機にAI開発部門と情報システム部の相互理解を実現した、若手エンジニアの主体的な成長にも注目する。

スクウェア・エニックスが挑む組織横断の技術検証

 近年、ゲーム業界においてもAIへの期待は急速に高まっている。開発現場では活用の幅広さが実感されるようになった。常に最先端の技術を作品作りに取り入れ数々の世界的ヒット作を創出する株式会社スクウェア・エニックスも、現在は全社を挙げAIの活用と推進を加速させている状況だ。

 こうした業界全体の大きな変化の中で、同社の若手エンジニアたちの反応は極めてポジティブであった。

 個人として強い「わくわく感」を持ってこの動きを受け止めていたと語るのは、新卒入社2年目の星野貴彦氏である。星野氏は大学院で機械学習やゲームAIの研究に従事し、現在はAI&エンジン開発ディビジョンでAIの活用推進やツール開発を担っている。

 また、情報システム分野における定量的業務をAIで改善できる可能性に注目しているのは、入社4年目で情報システム部に所属する窪田庄太氏だ。窪田氏は大学で情報系の学科を専攻し、現在は社内向けサーバーの構築運用やAzure環境の管理を担当している。

 同社では社内での業務改善をAIで推進すべく、ボトムアップのアイデアを募る社内コンテスト「プロセス改善AIチャレンジ」を開催した。このコンテストは単なるアイデアの創出に留まらず、実装フェーズまでを見据えた試みである。

 そして、この熱気あふれるプロジェクトの技術検証において、組織の垣根を越えて若手エンジニアたちを支えたマネージャークラスの一人が、情報システム部エンタープライズ・システム マネージャーの小林正幸氏だ。小林氏はIT業界で20年、同社で10年のキャリアを持つ。業務アプリケーションのマネジメントを統括する立場から、情報システム部・AI&エンジン開発ディビジョンメンバーで組閣された技術検証チームの軌跡を見守ってきた。

「現場視点」で加速させる全社的なAI活用

 全社的な戦略としてAI推進を掲げるスクウェア・エニックスでは、現場のエンジニアにとってAIが「新たな武器を手にする期待」となるよう、丁寧なプロセスを重視している。

 星野氏はAI技術の進化を「興味深い技術」として捉え、自らの好奇心をエンジンに検証に取り組んできた。一方、窪田氏は情報システム部の立場から、人間が手作業で行っていた定型業務をAIに代替させることで、より高度な業務へ時間を割けるようになる未来を描いていた。

株式会社スクウェア・エニックス AI&エンジン開発ディビジョン プログラマー 星野貴彦氏
株式会社スクウェア・エニックス AI&エンジン開発ディビジョン プログラマー 星野貴彦氏

 また、同社が掲げる推進目標は単にAIツールを導入することだけではない。社内ブログを通じた知見の発信や、独自の生成AIツールの開発など、現場が自発的にAIを使いこなし、改善を繰り返す風土を育むことに重きを置いている。

 この取り組みの第一歩が、前述の社内コンテスト「プロセス改善AIチャレンジ」である。このコンテストには、職種の偏りなく全22チームが参加し、現場ならではの切実な課題解決に向けたアイデアを競い合った。

次のページ
社内コンテストがもたらしたAIへの向き合い方とは?

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この記事の著者

井山 敬博(イヤマ タカヒロ)

 STUDIO RONDINOのカメラマン。 東京綜合写真専門学校を卒業後、photographer 西尾豊司氏に師事。2008年に独立し、フリーを経て2012年からSTUDIO RONDINOに参加。 STUDIO RONDINO Works

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小玉 莉子(編集部)(コダマ リコ)

 2022年に新卒で翔泳社へ入社し、CodeZine編集部に配属。 公立はこだて未来大学情報アーキテクチャ学科卒。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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