厚生労働省によると、2025年の日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳。少子高齢化により、日本の生産年齢人口も年々、減少している。中でも深刻化しているのが、ITエンジニアである。その一方で、IT技術は日々進化しており、自動化や機械化が進んでいる。またエンジニア側も30代、40代、50代と歳を重ね、ライフステージにも変化が生じる。いつまでエンジニアとして第一線で仕事ができるのか。IT黎明期からエンジニアとして働き、現在はアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)でシニアソリューションアーキテクト Developerスペシャリストである福井厚氏に、キャリアの変遷やシニアになってもエンジニアとして活躍し続けるための心構えを伺った。
60歳超でもエンジニアとして第一線で活躍できる理由
今や日本の平均寿命は80歳超。60歳で定年退職しても、その後の人生は20年以上続く。そのような状況の中で、できれば、長くエンジニアライフを続けたい──。そう考えているエンジニアも少なくない。とはいえ、本当にシニアになってもエンジニアとしてトップランナーとして活躍し続けられるものなのか、不安に感じている人も多いのではないか。そんなエンジニアのロールモデルとなるのが、福井厚氏である。
福井氏はIT業界に入って40年以上、ソフトウェア開発者としても30年以上の経験を持つ。大学時代、経済を専攻していた福井氏は、卒業後、出版系の企業に就職。
「その会社でたまたまコンピュータを使った仕事を任されたことが、ITエンジニアとしてのキャリアをスタートするきっかけとなりました」(福井氏)
1986年、福井氏はコンピュータメーカー系のサポート職に従事した後、国内SIerに転職し12年間、ソフトウェア開発に携わる。その後、外資系SIerではアーキテクト、コンサルティング会社では4年間コンサルティングなど、さまざまなポジションを経験し、2015年にAWSに入社。現在はアプリケーション開発に特化して支援するDeveloperスペシャリストとして活躍している。
「昨年までは、DDD(ドメイン駆動設計)やDDDをベースにしたイベントストーミングというフレームワークを使って、マイクロサービスアーキテクチャの設計、実装の支援をしていましたが、今年は、AI駆動開発ライフサイクル(AI-DLC)というAIをソフトウェア開発プロセス全体に適用して最適化する手法をお客様に導入する支援を中心に活動を行っています」(福井氏)
AWSのソリューションアーキテクトというロールは細分化されており、その多くは特定のお客さまを担当するアカウントSAだという。福井氏もAWSに入社後2年間はアカウントSAとして、エンタープライズのお客さまを中心に支援。その後、DevOpsやサーバーレスという領域のスペシャリストを経験し、2023年3月からアプリケーション開発に特化したDeveloperスペシャリストというロールを担っている。
「プロダクションコードを書くわけではありませんが、お客さまに説明するためのサンプルコードを実装することもあります。実際に動かして、技術を確認して頂きたいので。」(福井氏)
なぜ、これほどまでに長くエンジニアとして活躍できるのか。その質問に対して福井氏は「エンジニアの仕事が"楽しい"というのが大きな理由です。コードを書くのも好きですし」と笑みを見せる。
単に技術が好きというだけではない。ソフトウェアは人が作るだけに、世の中には失敗や苦労している事例も多い。失敗の原因はエンジニアのスキルが足りない、経営層の理解が足りないなどいろいろと泥臭いところがある。そのような案件を支援するときも、「より正しいソフトウェア開発とは何か、どうすれば改善できるのか。そういうことを考えていることが楽しい」と福井氏は言うのである。
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)
大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
-
鍋島 英莉(編集部)(ナベシマ エリ)
2019年に翔泳社へ中途入社し、CodeZine編集部に配属。同志社大学文学部文化史学科卒。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
