泥臭い採算性試算で投資決裁を突破。ROI最大化の3つのポイント
こうした画期的なAIシステムを開発し、業務プロセスに本格導入するには、当然ながら会社からの投資決裁が必要となる。河原氏のチームは「いくら効果があるのか」という経営層からのシビアな問いに対し、非常に泥臭い作業で定量的な効果の試算を行ったという。
具体的には、部門ごとに昨年度の案件数を全部洗い出してヒアリングを実施し、提案書作成にかかる工数をすべて算出した。仮にAI活用で工数を20%削減できた場合、約1,800万円の経済効果が見込めるという数値を算出し、投資決裁を突破したのだ。
河原氏は、これまでの経験に基づいて「AIのROIを最大化する3つのポイント」を示した。
一つ目は、AIを局所的な「点」の成果に留めず、業務プロセス全体へ適用すること。議事録作成などの単発の効率化にとどまらず、すべての業務をAIと伴走させる前提で設計することが重要だという。
二つ目は、定量的な経営数値にコミットすること。「業務が楽になる」といった定性的な目標だけで満足するのではなく、エンジニア自らが事業採算性などの数字に対して責任を持ち、コミットする姿勢が求められる。
三つ目に、事業戦略をAIに組み込み、過去の組織知を強制的に活用することを挙げた。過去の提案・見積もりのノウハウやレビュー指摘といった組織の資産を、「人によって使う・使わない」という属人的な状態から脱却させ、アーキテクチャによって強制的に担保することが鍵だ。
「当社には『炎上プロジェクトを発生させない』などの定性的な事業戦略があります。そういった戦略にしっかりコミットする目標を立てる必要があります」と河原氏は語る。技術と事業目標を直結させたAI活用のあり方を提示し、セッションを締めた。
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