柳井です。 中島敦の短編集「李陵・山月記」から最後の1本。4話目「李陵」についてです。漢の武帝の時代、匈奴と戦い、捕らえられた李陵の物語です。彼は祖国が自分に加えた仕打ちを思い、匈奴の王に仕えます。しかし、愚直に祖国に従い続ける友人の姿を見て悩みます。後にその友は祖国に帰る機会を得、李陵は「天は見ていた」と思い、悲しみの内に匈奴の地に留まります。 この物語を読んで、人の幸せとは何なのだろうかと思いました。結局のところ、本人が満足するかどうかだという気がします。もちろん、最低限の食と安全の保障や、家族や友人との絆は必要でしょう。あとは自分の生き方を認め、肯定できるかだと思います。 人は人生の意味や、幸福の証拠を探したりします。しかし、人生には意味などなく、幸福とは曖昧なものだと思います。後悔しないように日々を送る。それが、人生を満足のいくものにしていくのだと思います。 |
||