開設から30年、「とほほのWWW入門」を今日も更新している理由
「はい、では、今ご紹介いただきました、杜甫々と申します」。「とほほのWWW入門」管理人として知られる杜甫々氏は、こう挨拶して講演を始めた。「とほほのWWW入門」の運営歴が9月でちょうど30年になること、インターネットに触れてから38年になることを紹介した。
サイトを始めたきっかけは、1988年7月に就職先で初めてインターネットに触れたことにさかのぼる。1996年8月に自宅で初めてプロバイダに加入してHTMLを学び始めたが、当時は日本語の資料がほとんどなかった。「しゃーない、自分でまとめてみるか」「せっかくまとめたので公開してみるか」という経緯で、1996年9月10日に「とほほのHTML入門」を公開したのが始まりだ。2週間後の9月24日には「とほほのJavaScript入門」、続いて10月3日には「とほほのCGI入門」を公開し、コンテンツを増やしていった。
サイトはその後、他のホームページ入門や素材集と並ぶ1コンテンツから、いつしかサイト全体のトップへと成長した。2026年現在、トップページから4ページにわたってコンテンツが並ぶまでに拡大し、ページ数は1,662ページに達している。杜甫々氏によれば、サイト内で最もアクセスが多いのは、プログラミング関連のページではなく「珍しい名字」など読み方を集めたページだという。
扱うジャンルも多岐にわたる。プログラミング言語やフレームワークの入門記事に加え、今年はSwiftやAlpine.js、WordPressについての記事を新たに追加した。去年からはAI関連の記事も増え始め、今年はローカルAIとClaude Codeについての記事を追加しているという。技術系の記事だけでなく、陶磁器入門やタイ料理入門といった趣味の「○○入門」シリーズにも手を広げていると紹介した。
掲示板文化の源流に、実は自分がいたのかもしれない
コンテンツだけでなく、杜甫々氏は記事以外の「発明品」もいくつか手がけてきた。GIF画像の圧縮方式がUNISYSの特許に抵触するとしてフリーソフトが軒並み有償化された際には、特許に抵触しない方式で画像を生成するGIFカウンターライブラリを公開し、当時のアクセスカウンターとして使われていた。個人サイト向けのgrep型全文検索エンジンも手がけ、当時としては最高速をうたえるものだったという。
もう1つの「発明品」が、書き込みのあったスレッドが最上部に表示される、スレッドフロート型掲示板だ。1997年に自身のサイトで「とほほラウンジ」として公開したこの仕組みについて、杜甫々氏は「2ちゃんねるがあめぞうを真似して作ったんだよね、と言われたときに、開発者の方が『いや、あめぞうは全然参考にしていない。ベースにしたとしたら、こっちの掲示板だ』とおっしゃっていたそうで、もしかしたらうちの掲示板だったのかな、なんて思っております」と振り返った。1998年に登場した「あめぞう」、1999年に登場した「2ちゃんねる」よりも先に、自身の掲示板が存在していたことになる。
こうして技術の実装だけでなく、ネット文化の周辺にも関わってきた杜甫々氏だが、続けて語ったのは、この30年間で技術そのものがどう進化してきたかという視点だった。
