Kiro、Devin、Genesis/Nexus、Snowflakeを組んだフルスタック構成
2026年度の期初、みずほ証券は上流から下流までをフルスタックでAI駆動型にするプロセスの構築に着手した。要件定義・基本設計を担うのはAWSのKiro。ビジネスユーザーと議論しながら仕様を固め、アウトプットとしてマークダウンの設計書を生成する。この設計書をDevinに連携してコーディングを行わせ、プルリクエストが上がった後は、同じ設計書をもとにオーティファイのGenesis/Nexusがテストケースを起こして自動実行する。Devinは2026年度に入って本番業務でも活用が始まっており、Devinが書いたコードはすでにプロダクションリリースされている。
もう一つの構成要素がSnowflakeだ。コーディングAIからナレッジとコンテキストを切り離し、Snowflakeに集約する。JiraやRedmineの変更チケット、ServiceNow上の情報、CMDB(構成管理データベース)に蓄積された非構造化データなどをMCP経由でコーディングレイヤーとつなぎ、コーディングAIがそれらを参照しながら作業を進められるようにする構想だ。人が手作業でこなしていた一連の工程を、AIへの委譲とAIによる支援に置き換えていく。これが現在みずほ証券が構築を進めているフルスタックのAI駆動開発プロセスの全体像である。
「点」の生産性が上がっても、ボトルネックが移動するだけ
杉谷氏が繰り返し口にしたのが「プロセス」という言葉だ。Claude Codeを使えばコーディングのスピードは10倍速くなるかもしれない。だが、それは開発プロセス全体で見れば一局面の話にすぎず、リリースまでのリードタイムは大きくは縮まらない。むしろ一箇所だけ極端に生産性が上がると、他の工程がボトルネックとして浮かび上がってくる。みずほ証券のように、新規開発よりも既存システムのエンハンスメントが中心の会社では、1人の担当者が開発もテストも担うことが珍しくない。開発だけ生産性が5倍、10倍になっても、その人がテストも担当する以上、必要な人数は大きくは減らない。上流から下流までを一気通貫でAI駆動型に変えて初めて、全体の生産性が向上する。
この発想の転換の延長線上にあったのが、テスト自動化ツールとして使ってきたRanorexの限界だった。会社のアジリティが上がっていく中で、テストケースをその都度修正しながら運用するのが厳しくなり、下流工程の見直しにも着手することになった経緯を杉谷氏は語った。
