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GitHub Universe 2026 レポート

「AIは物語を書かない。あなたが書く」AI slopに向き合うGitHubが示した、メンテナーを守る機能と人間の役割【GitHub Universe 2026】

GitHub Universe 2026 Day2 Closing Keynoteレポート

近藤 佑子(編集部)[著]


計画を「1人でやる」のをやめる、GitHub Nextの共同計画ツール「Chopin」

 GitHub Nextは、エージェント型開発の最前線で何ができるかを探る、研究とプロトタイプづくりを担うチームである。Staff Research Engineerを務めるAppleton氏は、Spec KitやAgentic Workflowsなどに取り組んできた。

GitHub Next Staff Research Engineer Maggie Appleton氏
GitHub Next Staff Research Engineer Maggie Appleton氏

 Appleton氏が問題にしたのは、エージェントとの計画の立て方である。終わりのない選択式の質問に答えるうちに、質問9あたりで疲れ、「はい、選択肢A、おすすめで」と答えはじめる。小さな選択式の枠は複雑なトレードオフを考えるのに向かず、結局は偏りのある決定になる。しかも、これを1人でやっている。チームメイトは自分が承認した計画を見られず、自分も彼らの計画を見られない。PRを開いてから「これを作るべきか」と聞くのは遅すぎ、その会話は、書き直すか捨てるかもしれないものにトークンを使う前にするべきだった。

 そこで作ったプロトタイプが、作曲家のショパンにちなんで名付けた「Chopin」である。GitHub Nextの公式ページは、Chopinを小さく初期段階のリサーチ・プロトタイプと位置づけ、現時点での利用は勧めないとしている。実演では、Appleton氏とWoodward氏が同じ計画のドキュメントに書き込み、チャットで意見を交わし、エージェントも同席した。題材は、2人のバッジで歩数を合わせて目標に届く、共同の歩く冒険である。Appleton氏が風景のような画面を、Woodward氏が大きくて読みやすい数字を望むと、Chopinは両案のモックアップを作り、操作して比べられるようにした。2人は2案を組み合わせることに決め、決定は、誰がいつ決めたかの記録とともに計画に残る。数カ月後に誰かが設計の理由を知りたくなったとき、本人に聞かなくても分かる。

 決まった計画はタスクに分かれ、それぞれのプルリクエストが開かれた。完成したゲームをバッジを持って歩いて試すと、2人の合計は目標の1万歩を超え、10,978歩になった。Woodward氏はこのプロトタイプについて、バックログの整理のような感じが減り、一緒に作る感じが増えると評した。

「助けを求めるのを怖がらないで」、学生が語った一歩

 続いて壇上に立ったのは、GitHubのキャンパスエキスパートであるJocelyn Velarde氏である。高校の卒業研究で、脳の信号で動かす義手のような脳コンピューターインターフェース(BCI)に取り組んだとき、新しい分野でメンターを見つけるのは簡単ではなく、大学の教授にコールドメールを送った。現在はUC DavisのNeuroprosthetics Labの訪問学部生として、発話を取り戻すBCIの研究に加わっている。

GitHub キャンパスエキスパート Jocelyn Velarde氏
GitHub キャンパスエキスパート Jocelyn Velarde氏

 学生へのアドバイスは、短期、中期、長期の目標を描き、その途中で支えてくれるコミュニティを見つけることだ。「助けを求めることを怖がらないでください。メールを送ってください。私がそうしました。粘り強く、関心を示せば、助けてくれる人が必ずいます」。

創造性と判断とセンスを、あなたが持ち込み続ける

 ソフトウェアの作り方は変わったが、なぜ作るのかは変わっていない。開発者は、問題を解き、物を作り、他の人と働き、できることの限界を押し広げることで学ぶ。Woodward氏はそう語り、帰路につく参加者に3つの問いを残した。学んできた人の輪をどう広げるか。自分の知っていることの限界をどう押し広げるか。そして、やってみることでどう学ぶか。

 「AIは、この方程式の中で人間の心の代わりにはなりませんし、なれません。この新しい時代にも、創造性と判断とセンスを、あなたが持ち込み続けなければなりません。AIは物語を書きません。あなたが物語を書くのです」。

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この記事の著者

近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

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