その経験、プロポーザルで伝わっていますか? デブサミ2027コンテンツ委員が明かす「選ばれるプロポーザル」の作り方
【デブサミ2027連動企画】コンテンツ委員会が明かす「選ばれるプロポーザル」の作り方 ~テーマから審査基準まで!プロポーザルの疑問に答える座談会【Developers Online #4】~
ブログや勉強会でのアウトプットを重ね、次はカンファレンスで登壇したい──。そう考えるエンジニアが最初に向き合うのがプロポーザルだ。2026年11月6日、翔泳社のオンライン勉強会「Developers Online」第4回では、デブサミ2027のコンテンツ委員を務める風間裕也(ブロッコリー)氏と横山翔(ゆずたそ)氏による座談会が開催された。両氏は審査の進め方や評価の観点を明かし、架空の「もったいないプロポーザル」3例を講評しながら、選ばれるプロポーザルの書き方を語った。
コンテンツ委員はプロポーザルのどこを見ているのか?
Developers Summit(デブサミ)は、翔泳社が主催するソフトウェア開発者向けのカンファレンスだ。25回目を迎えるデブサミ2027は、2027年2月17日〜19日に有明セントラルタワーホール&カンファレンスで開催される。現在、一般から登壇者を募る公募セッションのプロポーザルを11月12日まで受け付けている。セッションの選考は、CodeZine編集部だけでなく、外部のエンジニアで構成される「コンテンツ委員会」が議論を重ねて行う。
その審査の視点を明かす場として開かれたのが、「Developers Online」の第4回だ。Developers Onlineは、技術書やCodeZine、デブサミなど、翔泳社のITエンジニア向けサービスと連動した勉強会シリーズであり、平日に気軽に参加できるオンライン形式をとっている。今回は「デブサミ2027連動企画」として、コンテンツ委員会の2人が登壇した。
1人目の風間裕也(ブロッコリー)氏は、株式会社10Xの品質管理チームに所属している。あわせて個人事業「B-Testing」を立ち上げ、テストの考え方を社内外のエンジニアに伝えるテストコンサルティングやテストコーチも手がける。ソフトウェアテストの合宿型勉強会「WACATE」や、ソフトウェアレビューのシンポジウム「JaSST Review」では実行委員長を務めている。『Agile Testing Condensed』や『The BDD Books』シリーズなどの翻訳にも携わってきた。デブサミのコンテンツ委員は2025年、2026年に続き、2027年で3回目となる。
2人目の横山翔(ゆずたそ)氏は、株式会社風音屋の代表取締役だ。リクルートやメルカリでデータ活用を推進し、AWSを経て風音屋を創業した。約2,000人が参加するSlackコミュニティ「datatech-jp」を運営し、延べ参加者15,640人以上の勉強会「Data Engineering Study」では立ち上げとモデレーターを担当した。Googleが認定する技術エキスパート「Google Developer Experts」や、IPA(情報処理推進機構)の情報処理技術者試験委員なども務めてきた。
両氏はともに、プロポーザルの書き方をテーマにしたブログ記事を発信している。ブロッコリー氏はコンテンツ委員として審査する中で、内容は魅力的であるにもかかわらず、伝えたいことが表現しきれずに不採択となるプロポーザルを数多く目にしてきた。一方で、採択側の着眼点を伝える記事は少なかったという。そこで執筆されたのが「プロポーザルを書くときに心がけ、採択するときに注目していること」だ。
ゆずたそ氏も、6年間の審査経験を基に、プロポーザル執筆時に意識してほしい14のポイントを約1万字にわたって解説した記事「カンファレンスの審査委員として6年で約400件のプロポーザルに投票コメントをしたときの観点」を公開している。
ブロッコリー氏は、上記の2本のブログ記事をもとに、GeminiのGem(用途に合わせて指示を設定できるGeminiのカスタム機能)「プロポーザル添削くん」も作成した。
タイトルと概要だけで「どんなセッションか」が分かるか
デブサミの公募には毎年80件近い応募がある。運営を担うCodeZine編集部とコンテンツ委員がすべての応募に目を通して投票し、得票数に加えて全体のバランスも考慮しながら協議を重ねて採択を決めている。
ブロッコリー氏が何よりも重視しているのは、添付資料を見る前の段階で、タイトルと概要文から必要な情報が得られるかどうかだ。初めてコンテンツ委員を務めた2025年には関連資料も隅々まで確認していたが、採択後に一般公開されるのはタイトルと概要文だけである。そのため、概要文だけでセッションの中身が伝わることが極めて重要だと実感したという。前回の審査からは、プロポーザルの本文に書かれた内容だけでの判定へ切り替えている。
ゆずたそ氏は、ほぼすべてのプロポーザルに対して詳細なコメントを記録している。その過程で見えてきたのが、審査しやすい提案としにくい提案の違いだ。この差は取り組み自体の優劣ではなく、書き手と読み手の持っている情報量の差から生じる。どれほど優れた実践であっても、発表内容が具体的にイメージできなければ適正な判断は下せない。ゆずたそ氏は「『この話をしたら、きっとこのような人たちが喜ぶだろう』と具体的に想起できるかどうかを重視している」と語り、発表の中身が見えたうえで、聴講者が次の行動に移せるか、実践的な知見を持ち帰れるかを見定めていると明かした。
採択は、票数を競うゲームではなく「すり合わせ」の場
デブサミ2027のコンテンツ委員は8人で構成され、翔泳社のスタッフも同様に投票へ参加する。委員には各自の得意領域がある。QAエンジニアであるブロッコリー氏にはQAセッションの背景が理解できても、他領域の委員にまで通じるとは限らない。専門的な前提知識がなければ理解できないプロポーザルは、全体の票を集めにくくなる。
だからこそ、委員同士の「すり合わせ」が欠かせない。同一のプロポーザルを読んでも受け止め方は人それぞれであり、採択会議では評価が大きく分かれる場面も珍しくない。ブロッコリー氏はすり合わせの場において、専門分野の背景を補足したり、「技術的な深掘りが不足するのではないか」といった懸念点を共有したりしている。投票時にもその判断理由をコメントとして残しているという。
ゆずたそ氏も、投票スコアの多寡だけで採否が決まるわけではないと強調する。得票数が控えめであっても採択されるケースはあり、判断に迷った際には該当分野に精通した委員の意見に耳を傾ける。「テーマとして尖っていても、デブサミで扱う意義が大きい」といった議論も活発に交わされる。ゆずたそ氏は「単に票を集めるゲームではなく、優れた場を創出するための対話を重ねている実態を知ってもらいたい」と、委員間の議論の意義を説いた。
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小玉 莉子(編集部)(コダマ リコ)
株式会社翔泳社 CodeZine編集部、Developers Summit FUKUOKA/Developers Boostオーガナイザー。公立はこだて未来大学情報アーキテクチャ学科情報デザインコース卒。2022年に新卒で翔泳社へ入社し、CodeZine編集部に配属。好きなものは、車と動物とポーカー。愛車は200系Crown。 Twitter:@rico01_CZ Facebook
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