「インドのIT企業の日本法人で働く」という選択肢
現在、中国とならぶ世界の成長センターがインドだ。とりわけIT分野におけるスキルは高く、オフショア開発の受注だけにとどまらず、欧米や日本への優れたIT技術者の輸出拠点としても存在感を示している。
タタコンサルタンシーサービシズジャパン株式会社(以下、TCSジャパン)は、インド最大のコングロマリット(複合企業体)であるタタグループの一員であり、日本で最初に活動を始めたインドIT企業として、1987年から日本の国内マーケットへ向け、サービスを提供してきた。今回はその経営トップ、人事マネージャー、そしてエンジニアそれぞれの視点からお話をうかがった。

アウトソーシングはもはや、単なるコストカットではない

まず最初に思うのは、なぜインドのIT産業がここまで盛んになっているのかということだ。代表取締役社長の梶正彦氏に、この初歩的な疑問に答えていただこう。
「現在のようなアメリカからインドへのアウトソーシングが定着したのは、ここ6~7年のことです。1998年頃、いわゆる“Y2K”問題が起こった際にアメリカが技術者不足になり、インドから多くの技術者がアメリカに渡りました。その後ITバブルが崩壊して帰国した彼らが、インターネットの急速な発達を見て、これならオンラインでアメリカと仕事ができると考えたのがきっかけです。まだ歴史は浅いのですが、アウトソーシング化の進行は速く、仕事のボリュームも飛躍的に増えてきています」
インド本国のTCSはこうした時期に先立つこと40年の、1968年に設立された。当時の国内ではコンサルタント事業を行う企業はほとんどなく、1980年頃までは単独でインドの業界をリードしてきたパイオニア的存在だったと梶氏は語る。
「TCSジャパンは、1987年に開設されました。当初はアメリカなど英語圏の顧客が多かったのですが、2年ほど前に日本企業がインドのオフショアに注目し始め、急速に認知度が高まってきました。この背景には日本が好むと好まざるにかかわらず、グローバル化していかなくてはならないという時代の要請があり、その流れの中でいよいよ私たちの実力を発揮できる時がやってきたと感じています。
2008年9月以降の景気の激変も、むしろ時代の変化を後押しする力になるのではないでしょうか。今後は、今までのような小手先のコストカットでは追いつかず、経営手法そのものの構造的な大転換が要求されてきます。そうした新しい時代の経営手法への橋渡し役としても、当社の役割は大きいと思っています」(この続きはCAREERzineでどうぞ!)