アカマイは4日、クラウドベースのセキュリティソリューション「アカマイ・クラウド・セキュリティ・スイート」の提供を開始した。
アカマイは、Webコンテンツを効率的に配信する「コンテンツデリバリネットワーク(CDN)」を手がける最大手。主な特徴として、世界70か国のISPに61,000台以上のサーバーを配置し、コンテンツ配信元のWebサーバー(オリジンサーバー)の処理を肩代わりすることで、エンドユーザーに近いエッジの部分で負荷分散する、分散コンピューティング環境「EdgePlatform」を提供している。
ミドルマイル(異なるネットワーク間接続)の通信を最適化するため、インターネットをリアルタイムで監視しており、その成果は四半期毎にホワイトペーパー「インターネットの現状」として公開されている。
米アカマイ・テクノロジーズ 技術開発担当 上級副社長のハラルド・プロコップ氏は、最近のサイバー攻撃の傾向として「日本は端末の普及数に比べ、攻撃の踏み台にされる割合は少ないが、今の段階ではという状況。ボットネットワークは撲滅が困難。統計データをみると、状況の悪化はあっても改善はない」と危機感を示した。日本の平均消費帯域は韓国に続いて2位であり、「ブロードバンドの普及による消費帯域の増大と、デバイス能力の向上は、攻撃を激化させる可能性がある」とセキュリティ対策への意識向上も促す。
また、オンラインでのビデオ配信と、DDoS攻撃への耐性の類似点として、どちらも分散させて発生源の近くでの対処することが有効なことを示し、2009年のオバマ大統領就任式の中継で1Tbpsを越すトラフィックを支えた実績のあるアカマイのプラットフォームの可用性を強調した。
クラウド利用においてCIOが最も懸念する点はセキュリティであるが、アカマイ株式会社 技術本部長 新村信氏は、「開発の複雑化・短期化によって十分なコードレビューが行えず、現実的にはWebアプリケーションファイアウォール(WAF)での対応が少なくない。従来型のデータセンター内での対処だけでは可用性に不安があるが、一般的なセキュリティ脅威をアカマイのサーバーがインターネットのエッジで止めてしまえば、その負担が軽減される」とコンセプトを説明した。「脅威はネットワーク上に分散しているので、防御も分散させる必要がある。クラウドベースのセキュリティ機構がクラウドを守れる」と、今回のソリューションの優位性を語った。
【関連リンク】
・アカマイのセキュリティ・ソリューション
・インターネットの現状
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斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)
株式会社翔泳社 ProductZine編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテックジン)」...
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